小2算数「長さ」指導アイデア《1㎝に満たない長さの表し方と㎜の意味》
執筆/新潟市立上山小学校教諭・久道知弘
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、新潟市立新津第一小学校校長・間嶋哲
目次
単元の展開
第1時 ものの長さに着目して、任意単位を使った長さの表し方を考え、その限界に気付く。
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第2時 普遍単位の必要性に着目して、長さを同じ数値で表す方法を考える。㎝の意味を知る。
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第3時 (本時)下位単位の必要性に着目して、1㎝に満たない長さの表し方を考える。㎜の意味を知る。
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第4時 ものさしの目盛りの読み方を理解し、長さの測定の仕方に習熟する。
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第5時 直線の意味を知り、同じ長さの表し方を複数知る。
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第6時 ものさしを使って、指定された長さの直線を引くことができる。
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第7時 長さの加減計算の仕方を理解する。
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第8時 身の回りのものの長さを測定する。
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第9時 学習内容の定着を確認するとともに、数学的な見方・考え方をふり返る。
本時のねらい
下位単位の必要性に着目して、1㎝に満たない長さの表し方を考える。㎜の意味を知る。
評価規準
・長さの単位である㎜の意味を知り、測定することができる。(知識・技能)
・はしたに着目し、1㎝をより細かくして捉えようとしている。(思考・判断・表現)
・長さを比べる場面において、はしたの差に対してもはっきりさせようとしている。(主体的に学習に取り組む態度)
本時の展開
※問題を提示する。
おはじきはじきゲームをしよう!
〈ルール〉
1 まん中におはじきをおき、それをゆびではじいて、遠くにとばしたほうがかち。
2 丸い台からはみ出したら記ろくはなし。
〈やりかた〉
1 まん中におはじきをおく。
2 ゆびでおはじきをはじく。
3 とんだおはじきのところに点をうつ。
3 まん中から、とんだおはじきのところまでを、線でむすぶ。
4 線が長いほうがかち。
面白そう。
隣の人とゲームをしてみたいと思います。どうやったら記録を比べられそうですか。
前の勉強で使った工作用紙の目盛りで比べればできそうです。
cmで比べればできそうです。
なるほど。では実際にやってみましょう。
※ゲームを楽しむ。
困った人がいるみたいです。どっちが勝ったと言っていいですか。
2人とも記録が同じように見えるね。工作用紙のますの数や㎝で比べてみたらいいんじゃないかな。
どっちも7ますとちょっとだね。
ということは、7㎝とちょっとということだね。
2人とも同じ記録ということですね。では同点ですね。
よく見ると、Aさんが勝ってるんじゃないかな。
そうかな。Bさんが勝っているようにも見えるけど。
どうして勝敗をはっきりさせられないのですか。
ぴったり何㎝ではなくて、2人とも7㎝と8㎝の間で比べられないからです。
ぴったり㎝で比べられないときは、どうしたらいいかな。
見通し
㎝や方眼用紙のマスでははっきりさせられません。どうしたらいいでしょうか。
もっとマスを細かくすればいいと思います。
どうしてそう思ったのですか。
前の勉強でも、長さを比べるときに、はっきりさせるために大きいブロックがいくつ分だと分かりづらいからもっと小さいブロックで比べました。それと同じようにもっと小さいもので比べればいいと思いました。
1㎝の長さより小さいものを使って調べればいいんじゃないかな。
単元導入では、任意単位のいくつ分で長さを比べる活動を設定します。そこで、例えば大きさの違うブロックを3種類用意し、どのブロックのいくつ分で長さを考えるとよいかを問うておくことで、対象の長さにあったブロックの大きさを選択するよさを引き出すことができます。これらは、㎜やmなど大きさに合った単位を見いだす素地になると考えます。※1人1台端末活用アイデア①に詳細を紹介します。
1人1台端末活用アイデア①
単元導入では1年生の学習を想起し、任意単位のいくつ分で比べればよいことを確認したうえで、長さを調べる活動を設定するとよいでしょう。例えば下記のように、タブレット上で色の違う3種類の棒を用いて、任意の物の長さを測る活動を設定します。その際、色によって調べやすいものと、調べにくいものがあることに気付かせておくことで、目的に応じた単位で量の大きさを捉えようとする見方の素地を養うことができます。
自力解決の様子
A つまずいている子
・見た目で判断しようとし、正確に長さを比べられていない。
B 素朴に解いている子
・1㎝に満たない具体物を7㎝の目盛り上に合わせて比べている。
・1㎝間隔の方眼紙の方眼に、目盛りをつけて調べている。(等間隔ではない)
C ねらい通り解いている子
・1㎝間隔の方眼紙の方眼の間に、できるだけ等間隔に目盛りをつけて調べている。
学び合いの計画
はしたの長さを調べるために1㎝に満たない具体物を用いたり、等間隔でなくても目盛りをつけて考えたりするように素朴に解いている子も、方眼の間に等間隔に目盛りをつけて考え、ねらい通り解いている子も、はしたの長さに着目して1㎝より細かく長さを捉えようとしているところは共通しています。さらには、つまずいている子も、1㎝より細かく見ようとしている点では共通している場合が多いです。
そこで学び合いの場では、ペアや近くの席の子供と考えを紹介し合うことが想定されますが、その際には考えを伝え合うだけでなく、「どうしてそう考えたの?」と質問し合うように指導をしておくとよいと思います。このあとの全体検討では、考えの紹介に終始せず、いずれの考えの背景にもある「1㎝より細かく長さを捉えようとしている見方」に着目している点で共通しているところを引き出していくことが大切です。
そこで、まずはつまずいている子や素朴に解いている子の考えから紹介し、それぞれの考えに対して「どこを見ていたのか」や「なぜそのように考えたのか」を問います。そのようにすることで、はしたの長さにのみ注目させられるとともに、考えの背景となる数学的な見方・考え方を引き出すことができ、共通点がより明確になります。長さを1㎝より細かく捉えようとしている見方に着目している点で共通していることがはっきりすれば、授業終末で紹介する㎜の単位の良さをさらに実感させることができます。
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
みんなはどのようにして考えましたか。
私は、AさんとBさんの長さをよく見てみると、7㎝とちょっとの長さの「ちょっと」の部分がBさんのほうが長いように見えます。
この考えをした人はどこを見ていますか。
7㎝とちょっとの「ちょっと」のところです。
細かいところを見ています。
Bさんのほうが長いと言っているけど本当ですか。先生にはAさんのほうが長いように見えるけれど……。
そんなことないです。私は7㎝のところに数え棒を縦にして置いて比べてみました。そうすると、Aさんの「ちょっと」は数え棒の幅と同じ長さで、Bさんの「ちょっと」は数え棒より長かったです。
どうして数え棒を縦にして置こうと思ったのですか。(ポイント②)
子供に考えを発表させたら、その考えの背景となる数学的な見方・考え方を引き出す発問をしましょう。今回は、「どうして○○のような考えをしようと思ったのですか」です。
「ちょっと」のところの長さを調べるために、1㎝より小さいものを使えばいいと思ったからです。
だったら、数え棒でなくても、7㎝と8㎝の間に目盛りを引いてみたら分かるよ。このようにすると、Bさんは細かい目盛り3つ目だよ。
でも、それだと目盛りと目盛りの長さが違うから、できるだけ同じにしたほうがいいと思うよ。
目盛りの幅ができるだけ同じほうが正確だね。
目盛りで考える人もいましたが、どうして目盛りをつけようと思ったのですか。(ポイント②)
さっきの数え棒で考えた人と同じように、1㎝をより細かいものがいくつ分かで調べればいいと思ったからです。
1㎝よりさらに細かくして考えればよい。
㎝より細かい単位に、「㎜」があります。1㎝を同じ長さに10個に分けた1個分の長さを1㎜と言います。みんなのものさしの細かい目盛り1つ分が1㎜です。
1㎝の中にわざわざ目盛りを書かなくても、「ちょっと」の長さを調べられるのか。便利ね。
実際にものさしを使って、AさんとBさんの長さを調べてみましょう。
この場合、Aさんは7㎝3㎜と読みます。Bさんの長さを㎝と㎜を使って調べてみましょう。また、自分のゲームの記録も調べてみましょう。
評価問題
Bさんの記ろくは何㎝何㎜でしょう。
子供に期待する解答の具体例
7㎝から6目盛り目だから、7㎝6㎜だね。
感想例
- 1㎝より短い長さを調べるためには、1㎝より細かいものや小さいもので考えればいいと分かりました。㎜は便利だなと思いました。
1人1台端末活用アイデア②
本時は、㎜といった非常に小さい単位が話題の授業となります。そのため、子供が操作した跡や考えはタブレットで撮影し、それをテレビや子供のタブレットに映して授業を展開することが必須となります。
板書例とワークシート
イラスト/横井智美