小3国語「漢字の組み立て」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「漢字の組み立て」です。本単元では、漢字の部首について理解させることが主な学習内容です。そのため、子供たちに部首という組み立てに興味をもたせ、漢字のおもしろさに心を向けさせるような板書の工夫を紹介します。

監修/元京都女子大学教授
 同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・古垣内千鶴子

 

教材名 「漢字の組み立て」(光村図書出版)

単元の計画(全3時間

  1. 漢字が、へん、つくり、かんむり、あし、にょう、たれ、かまえなどの部首から構成されていることを理解する。
  2. いろいろなへんやつくりをもつ漢字を集め、分類し、それぞれの部首の意味を理解する。
  3. いろいろなかんむり、あし、にょう、たれ、かまえをもつ漢字を集め、分類し、それぞれの部首の意味を理解する。

板書の基本

〇教材「漢字の組み立て」は漢字の部首について理解させることが主な学習内容です。
教材は「次の□と□を組み合わせて、漢字を作ってみましょう。」というリード文から始まり、「へん」「つくり」「かんむり」「あし」さらに、「にょう」「たれ」「かまえ」という7つの部首を提示しています。

〇3年生の子供にとって、漢字の好き嫌いははっきりと態度に表れてきます。記憶を中心とした学習経験をしてきた子供がほとんどです。その子供たちに部首という組み立てに興味をもたせ、漢字のおもしろさに心を向けさせるのが本板書の意図です。

〇板書においては、教科書の内容を教えるというより、部首を通して板書で漢字を整理しながら、漢字に興味をもたせ、漢字の力を育てることを大事にしたいと考えています。

〇そのために、教材の全ページをまず1人学習させ、分かったこと、知っていること、分からないことなど自分の学習力を自己評価させながら、板書を通して整理していくという手順で授業を進めるようにしました。

板書のコツ(1/3時間目前半)

「漢字の組み立て」 3/3時間目前半の板書
1/3時間目前半の板書

板書のコツ①

〇最初に、日付、題名を板書します。めあては、「漢字を二つの部分に分け、構成をとらえる。」です。学習内容を考えさせるために、教科書全文(4ページ分)を1人読みさせます。

〇漢字の組み立てについては、教科書には、「漢字の多くは、いくつかの部分が組み合わさってできています。」と記述されています。本時では、「二つの部分に分け、構成をとらえる。」ということを目的に指導しました。

〇1人学習の内容は、教科書の文章を読んで、「大事だと思うこと」「すでに知っていること」、また、「調べたいこと」など、自分の力で教材「漢字の組み立て」を考えることです。授業では、1人学習の内容を発表(自由発言)させました。教師は、子供の発表を聞きながら、子供の関心の拠りどころを観察します。

板書のコツ②

「今日はこの漢字について学習します」と指示し、次の8つの漢字を板書します。「休」「頭」「花」「意」「通」「庫」「国」「間」。左右に2つに分けたときに「へん」と「つくり」ではない部分も漢字になるものを選びました。左右2つに分けられるものは「休」「頭」。左右に2つに分けたものでないのは「花」「意」「通」「庫」「国」「間」。それは、教科書の「かんむり」「にょう」「たれ」「あし」も指導したいと考えたからです。

板書のコツ(1/3時間目中盤)

「漢字の組み立て」 3/3時間目中盤の板書
1/3時間目中盤の板書

板書のコツ①

1人学習で理解した「漢字の組み立て」を全員で確認するために、次の手順で学習活動を行いました。

①8つの漢字をそれぞれどのように2つに分けたか、それぞれの学習を共有し、グループで確認します。分からなかったものを確認したり、意見の分かれたものを話し合ったりして、発表させます。それを板書しました。
②次の部分を「部首」といい、漢字を分類するときに大事なものであることを教えます。2つのうち、部首になる部分がどちらになるか、なぜそちらを選んだかも発表させて、まとめます。部首は、意味に大きく関係していることを発表から押さえます。このとき、「花」を部首ではない部分で2つに分けたり、3つに分けたりして、意味に関係があることがよく分かるように、子供に揺さぶりをかけます。

板書のコツ②

グループの話合いから大事なことを確認し、次のように学習内容を板書にまとめました。

①へん  (れい)にんべん→人にかんけいする。
②つくり (れい)おおがい→人の行動やせいしつ。
③かんむり(れい)くさかんむり→草のしゅるい、じょうたい。
④あし  (れい)こころ→心(しんぞうの形)やせいしん。
⑤にょう (れい)しんにょう→十字路や足。行く・すすむ。
⑥たれ  (れい)まだれ→やねのおおい。家・やね・おおう。
⑦かまえ (れい)くにがまえ→かこみ。かこむ。
      (れい)もんがまえ→とびらがついた門。あく。とじる。中を見せない。

板書のコツ③

板書の手順は次の通りです。

①教科書の2つの部分が生きるように黒板の上段に7枚のカードを貼る(カードは部首の部分を青色にしておく)。
②黄色のチョークで、「へん、つくり、かんむり、あし、にょう、たれ、かまえ」と板書します。
③部首の説明をしながら、それぞれの部首の意味を板書する。

学習全体を通して見直し、部首の意味が理解できたかどうかを確認し、次の活動として、「さがしてみよう。意味を考えてみよう。」を板書します。

板書のコツ(1/3時間目後半)

「漢字の組み立て」 3/3時間目後半の板書
1/3時間目後半の板書

板書のコツ①

学習を踏まえ、次のように発展学習を指導しました。

①辞書をひらいて、部首の調べ方を確認する。
②教科書巻末の漢字のまとめなどから、例以外の部首の漢字を集める。

これらの活動を、自分で選ばせながら、部首の意味を考える時間をしばらく設けます。そして、多くの子供たちが発表した「きへん」「さんずいへん」を板書します。子供たちがよく知る「きへん」「さんずいへん」を板書することで、部首を身近に感じることができます。

板書のコツ②

次に、「ちから、たけかんむり、あめかんむり」を板書しました。子供たちの意識にはあまり上がっていなかった部首です。最後に、関心を呼び起こすために、意図的に「えんにょう」や「ぎょうがまえ」を板書しました。

3年生の子の一部は、より難しいことを求めることもあり、その子たちの満足度を高めることを意図したものです。授業が盛り上がってくると、より難しいものへと興味が動き、意欲が高まります。授業の後半で「えんにょう」と「ぎょうがまえ」を板書したのは、もっと知りたいという気持ちになる子を育てたいという意図があります。

 

構成/浅原孝子

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