小3国語「文様」京女式板書の技術
今回の教材は、「文様」です。本教材は、教材「こまを楽しむ」での学習を生かすための教材と位置付けられています。そのため、「段落」や「問い」と「答え」、さらに「はじめ」「中」「おわり」などの言葉に着目し、文章の構成や内容を捉えることが大切です。板書では、文章の構成や言葉に着目できるような工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・古垣内千鶴子
教材名「文様」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全8時間)
- 「文様」の全文を音読し、学習の手引きを活用し、学習の見通しをもつ。
- 「段落」や「問い」と「答え」「はじめ」「中」「おわり」などの言葉に着目し、「文様」の文章の構成や内容を捉える。
- 「文様」で学習したことを生かし、「こまを楽しく」で、「問い」と「答え」「全体のまとめ」に着目し、「はじめ」「中」「おわり」のまとまりを捉える。
- 「問い」に対する「答え」を見付け、段落の中心となる言葉や文を確かめて、内容を整理する。
- 「おわり」と「はじめ」「中」との関係に着目し、文章の構成を捉える。
- 本文の叙述に基づき、自分がいちばん遊んでみたいこまと、その理由をまとめる。
- 自分がいちばん遊んでみたいこまについて、友達と交流して、一人一人の感じ方などに違いがあることに気付く。
- 全体と中心など情報と情報との関係について理解し、文章や話の「中心」を捉えることのよさを感じる。
板書の基本
〇教材「文様」は、「れんしゅう」として位置付いています。教科書では、はじめに「『こまを楽しむ』の学習にいかしましょう」という呼びかけがあります。「何をいかすか」ということは具体的に示していません。したがって、授業において、「学習にいかす」ということを解いていくことであると考えました。板書では、めあてに「学習に役立つ」という内容を示しました。
〇教材研究段階で、「こまを楽しむ」の学習に生かすものは何かということを考えました。分かったことは次のことです。
★文章構成として、「はじめ」「中」「おわり」の言葉が上段に書いてあること。
★各段落の始まりに①②③④⑤の番号が書いてあること。
★朱書きで①段落では「問いの文」と書き、②段落では「答え」と書いてあること。
★脚注では、「問い」「問いの答え」「まとめ」の説明を短い文で書いてあること。
また、「見通しをもとう」では「言葉に着目しよう」という学習活動への導きもあり、これらの用語の理解もこれからの授業では大事であると考えました。
これらのことを考え、板書では、「文様」の指導で学習用語を意識し文章構成に着目する視点を大事にしたいと考えました。
板書のコツ(2/8時間目前半)
板書のコツ①
最初に日付・題名を板書します。次に「文様」の全文を音読した後、教材のはじめに指示している「れんしゅう」「こまを楽しむの学習にいかしましょう」の意味について説明します。そして、めあてである〈「文様」の文章から学習に役立つ言葉を見つけ覚える。〉を板書します。「いかしましょう」に気を付けて、本文の1人読みをさせ、見付けたことを発表につなげます。この段階では、漠然と考えている子も多いのは当然です。学習意欲をもたせ持続させるために、「みつけたこと」と板書をします。
板書のコツ②
まず、「覚える言葉」と板書し、学習用語として「言葉に着目しよう。」「問い・答え」「段落」そして、「はじめ・中・おわり」の4つを板書し、ノートに写させます。
〇「言葉に着目しよう」は、教科書の「見通しをもとう」の下段に記述しています。子供たちには、文章のどこに書いてあるかという意味の説明をします。
〇「問い・答え」は、「どんなことをねがう文様があるのでしょうか。」の文に「問い」と朱の囲みで書いています。「答え」は「元気で長生きをするように。」「よい知らせを運んでくれるように。」「じょうぶに育つように。」の文に黄色の囲みで書いています。
また、脚注にも提示しています。
〇「段落」は、教科書では①②③④⑤と番号が付いています。これを「段落」と言うということを説明します。ノートには、漢字で書かせます。「段落」を緑で囲み、言葉を繰り返し使って慣れさせます。
〇「はじめ・中・おわり」は、「文様」の文章の上段に書いています。文章の仕組みであることを補足します。
これらの言葉を使いながら指導を進めることを予告します。
板書のコツ(2/8時間目中盤)
板書のコツ①
〇板書は、学習用語として示した語句の理解を大事にします。
まず、「段落」を理解させることを目的に、全文を音読し言葉に慣れるようにします。「文様」の意味を理解させるために絵がかいてあることを説明します。続いて、「しくみ」「段落」「書いていること」と言葉の意味を説明しながら板書します。
〇段落①は4文で成り立っています。書いていることとは、「服やおさらなどには、『文様』とよばれる、いろいろな形の絵や図がらがついています。」からは「文様」のこと、「いろいろな形の絵や図がら」からは絵や図柄のこと、「いいことがありますように。」からは願いが込められていることが書いていることを理解させ、大事な言葉を板書します。
〇問いの文である「どんなことをねがう文様があるでしょうか。」を確かめます。板書は「問い(の文)」を書き加え、さらに、しくみのところに「はじめ」の板書をし、「はじめ」のカードを貼ります。このようにして、文章の読み方を指導しているのは、「言葉に着目する」ことの意味の伏線にしたいという意図があります。
板書のコツ②
〇段落②③④の内容を理解させるための板書です。
まず、②の段落では「つるかめ」、③の段落では「かりがね」、④の段落では「あさの葉」の説明であることを確かめます。
次に、②の段落が4文であることや具体的な文様の絵がかかれていること、さらに4文目は文様の願いが書かれていることを理解させます。「②の段落に答えが書かれています。どこに書かれていますか」と「段落」の言葉を使います。「元気で長生きするように」という文を見付け、「言葉に着目する」ということを具体的に指導するときに、板書を活用します。つまり、段落①の問いに対する答えであることに気付かせます。
〇段落③段落④も答えの段落であることを1人学習とペア学習で確かめさせます。各段落の要点を板書し、「しくみ」として「中」のカードを貼ります。
この板書の意図は、③④⑤の段落が、同じ書き方であることを理解させ、自分の力で文章を読み解くことの楽しさに気付かせることです。この学習経験が、次の教材である「こまを楽しむ」に役立つと考えています。
板書のコツ(2/8時間目後半)
板書のコツ①
〇段落⑤は、まとめの段落です。「このように」から始まる文を音読し、まとめの文として「文様には、人々のくらしから生まれた様々なねがいがこめられています。」を板書します。また、「このように」が、中の段落の「まとめ」であることを理解させます。
つまり、文章の構成が、「問い・具体的な答えの説明・答えのまとめ」であることを補足し、「はじめ・中・おわり」の理解を促しました。
〇「こまを楽しむ」の学習に役立てることを目的に、板書を読み返す時間を設けました。手がかりは、最初の「覚える言葉」です。覚えた言葉として、子供からは「問い・答え」「はじめ・中・おわり」はすぐに出ます。難しいと思える「段落」も繰り返し使いながら言葉に慣れさせることができます。
「言葉に着目する」は、学習過程を振り返り、問いについて、答えを探したときに行っていた学習活動であることを補足します。「問い」と「はじめ」は赤、「中」と「答え」は黄色、「おわり」と「まとめ」は青で囲み、色を対応させました。最後に、「段落」の意味を定着させるために、おさらいとして段落番号の①②③④⑤にも緑の丸を書きました。
〇練習を意識した本時の板書の学習成果は、「こまを楽しむ」で一人一人の子供が1人学習で学習の手がかりとして本時の学習内容を活用しているかどうかで知ることができます。そのことを見通した板書です。
構成/浅原孝子