小6国語「サボテンの花」板書の技術
今回の教材は、「サボテンの花」です。本単元の学習活動は、朗読(音読)です。朗読(音読)するには、文章を理解し、作品に対する自分なりの考えをもつことが大切です。そのため、子供の「気付き」を言語として黒板に残す板書の工夫を紹介します。また、新年度最初、6年生の国語に対し、どのように向き合っていくかなども併せて学習します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/大阪府公立小学校教諭・岡本美穂
教材名 「サボテンの花」(東京書籍)
目次
単元の計画(全4時間)
1 詩「生きる」を読んで、いいなと感じた言葉や表現などを出し合う。
2 「サボテンの花」を読み、あらすじを捉える。
3 中心人物であるサボテンの「生きる」ことについての考えを読み取る。
4 詩「生きる」を再び読んで、「サボテンの花」とつなげて考え、どのように表現するかを考え、朗読する。
板書の基本
本単元で取り組む言語活動は朗読です。朗読とは、「自分が思ったことや考えたことを踏まえ、聞き手に伝えようと表現性を高めて、文章を声に出して読むこと(『学習指導要領解説 国語編』)」です。したがって、朗読するためには、文章を読み、理解し、作品に対する自分なりの考えをもつことが必要となります。
●「できる」が増えると「好き」になる
自分の力でできたという体験は、もっともっとやってみたいという「やる気」につながります。すると子供たちの目に輝きが出てきます。つまり子供自身で「できること」「自信があること」が増えれば増えるほど、勉強を好きになっていくということです。その「好き」という気持ちが、次の壁を乗り越えさせる意欲を生むのです。
つまり、「できる」という成功体験が増えると「好き」になるということです。その成功体験を生み出す実践の1つが音読です。音読で成功体験をもてる子供にしましょう。すると、もっと勉強したいとなります。「自ら学んでいる」と感じている子供はキラキラしています。
●音読指導は一斉音読から
音読指導の最初は必ず「一斉音読」です。個人読みからは行いません。特に雰囲気が悪いと感じられる学級では個人読みは禁止です。取り組み始めは、 声を出している子供とそうでない子供が気になるかもしれませんが、できていない子供に注意をしません。
教師は、新学期こそがんばっている子供に注目し、評価していきます。そして素直にがんばっている子供がキラキラと輝き、それが学級の雰囲気になっているということを目指します。
●サボテンの生き方について交流
本単元では、物語文「サボテンの花」と詩「生きる」ことを教材として扱います。
しかし、6年生になったばかりの子供たちが、「生きる」ことについて「自分の考え」を伝え合うことは容易ではありません。そこで、まずは「サボテンの花」の中心人物であるサボテンの生き方について交流します。そして学習の最後に「朗読」へと進化させていきます。
板書では「気付き」をしっかり言語として黒板に残すことを意識しています。「生きる」の詩を板書する際も、子供たちが選んだ「いいなと思った言葉」は色チョークで表すなど、ぱっと見ただけで伝わる板書を目指しています。
板書のコツ(2/4時間目前半)
「サボテンの花」の授業展開です。作者名だけ隠して授業します。
板書のコツ
子供たちには「6年の国語に載っている最初の物語です」と伝え、題名を板書しました。そして、「作者名はまだ言いません。知っている人はまだ言わないようにしましょう」と伝え、題名から感じたことを交流しました。
・いたい
・でかい
・とげとげ
など緑のチョークで囲んだような意見がたくさん出てきました。また、サボテンの花の「花」に注目している子供たちの意見は赤色のチョークで違いが分かるように板書しました。
板書のコツ(2/4時間目後半)
板書のコツ
その後、「短い物語なので、立って1回読んだらすわりましょう」と伝え、感想を隣の人と言い合うようにしました。
登場人物を確認して、サボテン・風・旅人で「サボテンの花」の作者はやなせたかしさんということも伝えました。
感想を交流し合う中で、「いのち」がテーマということが出てきたので、教科書の目次をみんなで見合いながら、6年生は「いのち」がテーマになっていることを確認し合いました。
今後学習する作品のすべてが「いのち」をテーマにしながら、みんなで学習することを伝え、振り返りとして音読しました。
構成/浅原孝子