小4 国語科「本のポップや帯を作ろう」「神様の階段」板書例&全時間の指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小4国語科「本のポップや帯を作ろう」「神様の階段」(光村図書)の板書例、発問例、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した全時間の授業実践例を紹介します。

小四 国語科 教材名:「本のポップや帯を作ろう」「神様の階段」(光村図書・国語 四上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/大妻女子大学家政学部児童学科教授・樺山敏郎
執筆/埼玉県さいたま市立針ヶ谷小学校教頭・樋口 浩

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、読んだ本のポップや帯作りを通して、必要な情報を得たり、感じたことを伝えたりする力を育てていきます。
また、読んだ本のよさについて交流することで、一人一人の感じ方の違いに気付くとともに、選書の幅を広げてより読書に親しむことができるようにしていきます。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

言語活動を設定する上で、「神様の階段」という「教材」の特色と身に付けたい資質・能力の関係に触れておきます。
本教材は、景色の明暗や色鮮やかさ、自然や生活に息づく音、異国に漂う香り、温度の変化などが様々な感覚で豊かに描写されています。これらは読んでいる中で、読者をまるで現地に降り立たせてくれたような感覚に誘います。また、挿入されている写真が、それらの描写に説得力をもたせる一助にもなっています。
文章を読み取った後に、一人一人の感じ方の違いについて実感はしづらいものです。
しかし、この教材を共通モデルとして、本を紹介する活動を設定することで、読者によって、文章中のどのような表現によって、どのような感覚が呼び起こされ、どのようなことを感じるのか、子供たちが、互いの感じ方の違いを探し出そうとする意欲にもつながることでしょう。
ここでは、読んだ本のよさをポップや帯を作って紹介し合う言語活動を設定しています。
ポップは、本の置き方に関係なく、視覚への立体的な働きかけがあります。形も自由に工夫できます。帯は、横長ですが表紙、背表紙、裏表紙分のある程度の表現スペースが確保されています。そのスペースを工夫し、本を読んで感じたことが、端的な表現で相手に伝わるようにします。それだけに、子供一人一人の感じ方の違いについて、比較し、それに気付くためには効果的なものといえるでしょう。

4. 指導のアイデア

主体的な学びを生み出す上で大切なのは、導入において、単元の学習が始まる前までの生活経験、学習経験を想起し、本単元での学びにおける課題に対して必要感をもつことです。
今回で言うところの経験とは、生活の中での読書、学習の中での読書となります。それらの経験から子供たちの関心と意欲を高めて、見通しをもつことへつなげていきましょう。
今回は「本をポップや帯で紹介する」としましたが、他にも「推しの登場人物をキャラクターカードで紹介しよう」「題名から本のナゾにせまる読書探偵になろう」「写真ギャラリーで写真絵本を紹介しよう」など様々な学習課題を立てることができますので、子供たちの学びに最適な単元を構想するとよいでしょう。
立てた課題により、登場人物、題名、本の種類など、選書に限定条件をつけて読書に取り組みます。
言語活動や単元の構想に必要なことは、指導事項の育成に対して役割を果たせるものであるのかを判断することです。
対話的な学びが有効に機能するのは、対話する他者と自分、時には他者と他者の相違点に着目することが大切です。他者との比較には、その観点を明確にし、共有することも相違点の確かな把握につながることでしょう。
観点の存在は子供の学びの拠り所でもあり、指導する側にとっての拠り所でもあります。観点に沿っているかどうかを評価する一つの規準にすることもできます。そのため、帯やポップを作成するときには観点を提示し、交流する際も再提示することになります。
深い学びに向かうためには、インプットした知識を土台に自らが形成した考えを乗せてアウトプットできるようにする必要があります。そしてその成果として、単元の学習が始まる前に得ていた経験より、学習後の豊かな経験につながることが理想です。
ここでは、学習前には自分では選択しなかった本への関心が高まり、学習後にはそのような本を手に取って読書するようになるようにしたいところです。
単元の導入部では、アウトプットするポップや帯の表現様式を分析しインプットします。
すると単元の終末部では、読み方を意識して読書したことによる感じ方の変化を反映させてアウトプットしようとする、深い学びに向かう姿勢が現れやすくなります。

5. 単元の展開(5時間扱い)

 単元名: 自分の感じ方をポップや帯に表し、読んだ本のよさを伝え合おう

【主な学習活動】
・第一次(1時
① 本のポップや帯を見た経験について語り合い、ポップや帯に書かれていることを話し合う。〈 端末活用(1)〉

・第二次(2時3時4時
② 本の読み方について話し合い、読書に親しむために大切なことをまとめる。
③「神様の階段」を読み、紹介してみたい自分の感じたことを話し合う。
④ 紹介したい本を読み返し、自分の感じたその本のよさが伝わるように、ポップや帯にまとめる。

・第三次(5時
⑤ 読んだ本のよさを紹介し合い、次に読んでみたい本について考える。〈 端末活用(2)〉

全時間の板書例、発問例、児童の発言例

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

〇 複数のポップや帯の画像を示し、見たことがあるか、どのようなことが書いてあるかについて話し合うようにします。その際、児童が自らの気付きについて、言葉や印を端末上の画像に直接書き込めるようにしておきます。児童は、その画像を示しながら話合いを進めることで、具体的なイメージを共有することができます。
その話合いの視点として、ポップや帯が、「何(本に関心をもってもらう・紹介したい)のため」にあるのかということを要所で押さえ、そのシステムの中に児童を落とし込んでいけるようにしましょう。

ポップや帯には、どのようなことが書いてありますか。

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イラスト/横井智美

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