小6国語「思い出を言葉に」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「思い出を言葉に」です。本単元の学習活動は、「伝えたいことを明確にして書き、思い出に残る文集を作ろう」です。そのため、どのような思い出があったか、印象に残る思い出を基にして構成や表現の工夫をどうするかといったことが重要です。子供たちの手引きになるよう、小学校6年間を振り返って印象に残った出来事を共有できる板書、表現に役立つ板書などの工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立学校教諭・須藤由恵(せせらぎの会)

 

単元名 伝えたいことを明確にして書き、思い出に残る文集を作ろう
教材名 
「思い出を言葉に」(光村図書 6年)

単元の計画(全7時間)

1 単元のめあてを確認し、「学習の進め方」を見ながら学習の見通しをもつ。小学校生活で印象に残った出来事を出し合い、小学校思い出マッピングを作る。
2 伝えたいことを2~3つに絞り、詳しく思い出す。
3 伝えたいことを明確にして、さらに詳しく思い出す。
4・5 今までの学習を生かし、表現を工夫して書く。
6 推敲して、清書をする。
7 作品を読み合い、お互いのよさや成長を認め合う。

板書の基本

小学校6年間を振り返り、印象に残った出来事を共有できる板書

小学校思い出マッピングを作成します。板書では、6分割したマップに学級全体で共有した出来事をまとめます。これにより、子供たちが小学校生活を振り返りやすくなります。子供の発表を行事・学習・生活に分類しながら、色チョークで板書します。

表現の工夫に役立つ板書

本単元では、既習事項の掲示物を板書の資料として活用します。準備するものは、「せんねんまんねん」で学習した擬人法と反復、「『鳥獣戯画』を読む」では、書き出し、比喩及び生き生きとした表現、「やまなし」では、オノマトペ、「人を引きつける表現」では、倒置の掲示物です。これは、今まで学習したものを画用紙にまとめ、常時参考になるように教室に掲示してあるものです。本単元では、既習事項を生かした表現の工夫を高めるために、一覧にして黒板に貼ります。

板書を利用した授業の進め方(1/7時間目)

小6国語「思い出を言葉に」 板書
7時間目の板書 

1 単元のめあて・目的・形式を確かめ、単元の見通しをもつ

次のような流れで、学習を進めます。

①単元のめあて「伝えたいことを明確にして書き、思い出に残る文集を作ろう。」と板書します。
②小学校のまとめの時期のため、子供たちが自ら見通しをもち、学習に取り組めるように、教科書で学習の進め方を確かめさせます。
③学習の興味関心が高まるように、目的(成長や喜びを認め合う)や相手(お互い⦅友達⦆)を意識させ、板書します。ここでは、学習を価値付けるために、学級目標(絆・チームワーク)と結び付け、板書しました。
④決定事項である文集の原稿の文字数と原稿用紙の枚数を記述し、イメージをつかませます。
⑤本時のめあて「小学校生活をふり返って、印象に残ったできごとを出し合おう。」と板書します。

2 印象に残った出来事を出し合う

①タブレット端末のジャムボード(デジタルホワイトボード)を活用し、班ごとに印象に残った出来事を話し合わせます。子供たち同士で共有しながら進めることで、多くの出来事や楽しかったことを思い出すことができます。

 
 ジャムボードの画面

②付箋機能を使って、学年ごとに行事、学習及び生活に分けて、記述させます。
③話合いの間に、教師は、黒板に6分割した「小学校思い出マッピング」を描いておきます。
④その後、各班の発表を受けて、付箋の色に合わせて、行事は白チョーク、学習は赤チョーク、生活は黄色チョークで板書します。
※Google Jamboardは2024年12月31日にサービス終了します。

3 より詳しく思い出すためのアイテムを考える

伝えたい出来事や自分にとっての意味や価値を考えるために、思い出すアイテムを考えます。子供たちの発表を受けて、板書します。

4 学習の振り返り、次時の学習内容を確認する

本時のめあてが達成できたかを振り返り、次時の学習内容を確認します。

本時の学習を生かし、思い出アイテムも活用しながら、6年間の詳しい出来事を思い出したり、聞き取ったりすることを課題とします。教師は、学校に保存してある写真を6年間のフォトアルバムとして制作し、鑑賞の時間を取ることも有効です。

※教科書の学習の進め方を参考にして、教室に学習の流れを掲示しておきます。

板書を利用した授業の進め方(4/7時間目①)

小6国語「思い出を言葉に」 板書
4/7時間目①の板書

1 本時のめあてを確かめる

学習の流れを確認し、教科書を読みます。本時のめあて「今までの学習を生かし、表現を工夫して書こう。」と板書し、学習の見通しをもたせます。

2 前時までの学習を生かして、構成メモを考える

前時までは次のような学習をしています。

①2時間目に、伝えたいことを2~3つに絞り、その内容について詳しく思い出して、箇条書きにします。子供たちはワークシートを活用して、付箋に書きます。教師は、短冊に子供たちのモデルとなるように自作のメモを示します。
②短冊の色の区別は、以下のようにしています。
 ◯出来事・したことなどの行動……水色
 ◇心に残っている言葉や音…………黄色
 ☆感想・思い・考えたこと…………ピンク色
③3時間目には、前時で使用したワークシートを使い、伝えたいことを1つに絞り、さらに明確にして、詳しく思い出させます。ワークシートの表の一番下に付け足した付箋を貼ります。
 

2・3時間目の板書より抜粋(教師の原稿)

本時では、初めに、縦軸に文章構成の欄と「構成メモ」「表現を工夫して書く」の3段の表を作り、板書します。横軸には、3部構成の「初め・中・終わり」を記述します。

板書を利用した授業の進め方(4/7時間目②)

小6国語「思い出を言葉に」 板書
4/7時間目の板書

構成メモの書き方の見通しをもつ

次に、2・3時間目の板書で使用した模造紙と短冊を活用し、教師の原稿を参考にして、学級全体で構成メモの書き方の見通しをもたせます。表現する順番に短冊を貼り替え、足りないところは、付け足して板書します。

そして、伝えたいこと(自分の強い思い・自分にとっての価値)を確認させ、赤の波線を引きます。ここでは、「努力のすばらしさ」「みんなへのメッセージ」を付け足して板書し、5箇所に波線を引きました。

見通しがもてたところで、子供たちは、自分の前時の原稿からワークシートの構成メモの欄に付箋を貼り替えます。

ワークシート
「思い出を言葉に」のワークシート ※下記ボタンをクリックするとダウンロードできます。

板書を利用した授業の進め方(4/7時間目③)

小6国語「思い出を言葉に」 板書
4/7時間目の板書

今までに学習した表現の工夫を振り返る

今までに学習してきた「表現の工夫」には、どのようなものがあったかを子供たちに問い、発表を受けながら、黒板の左側に貼ります。今回は、「せんねん まんねん」「やまなし」「『鳥獣戯画』を読む」「人を引きつける表現」から、教室に掲示されていたものを抜粋して黒板に貼りました。

全体で共有した後、表現の工夫を意識し構成メモを再確認するように教師は助言し、子供たちに適宜修正させます。特に、ここでは、書き出しの工夫と伝えたい思いが重要になります。熟考させ、自分の伝えたいことが表現できるように指導します。

ここで活用する表現の工夫は、ワークシートの下段にも示しています。

板書を利用した授業の進め方(4/7時間目④)

小6国語「思い出を言葉に」 板書
4/7時間目の板書

教師自作の原稿から、原稿の書き方を学ぶ

小6国語「思い出を言葉に」 板書

そして、教師自作の原稿を掲示し、教師が読み上げます。

子供たちは、書き出しに戸惑うことが多いため、教師自作の原稿でもいくつかのパターンを用意して、提示します。ここでは、Aは「すてきな表現」、Bは「会話」からの書き出しとしています。

板書を利用した授業の進め方(4/7時間目⑤)

小6国語「思い出を言葉に」 板書
4/7時間目の板書

表現を工夫してワークシートに記述する

今回はAの書き出しを選びました。さらに、表現の工夫を意識させるために、教師自作の原稿に赤のサイドラインを引きます。波線は、伝えたい思いです。

子供たちは、表現を工夫してワークシートに記述します。文章を書く時間は、個人で自分の思いや考えを見つめる時間になります。

※ワークシートの構成メモ、表現の工夫及び教師自作の原稿が、子供たちの学習の手がかりとなります。
※本単元は、タブレットを使って書くことを考えています。

 

構成/浅原孝子

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