小五算数のプログラミング教育~多角形をかく~

いよいよ2020年度から、小学校でのプログラミング教育が始まります。どのように導入していったらよいか。高学年で必修となる小学5年生の算数のプログラミングの授業実践例を紹介します。プログラミング教育について考えていきましょう。

監修/千葉県公立小学校校長・佐和伸明

佐和伸明先生

佐和伸明●長年にわたり、情報教育や情報モラル教育に関する先進的な実践事例を多数発表。千葉県柏市教育委員会指導主事・副参事を経て2018年度より現職。文部科学省「小学校プログラミング教育の手引」「教育の情報化に関する手引」協力者。全国で、プログラミング教育やタブレット端末を活用した教育等の研修会講師を務めている。

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プログラミング授業風景

小五算数:プログラミングで「正多角形をかく」

めあて(4/11)
・構成する要素に着目し、正多角形をプログラミングによって作成することができる。
・正多角形のプログラミング体験を通して、正多角形をかくための順序や、いろいろな正多角形をかくための「きまり」を考えることができる。

学習内容
4/11の学習内容は、構成する要素(辺の長さ、角の大きさ)に着目して、正多角形をプログラミングでかく方法について理解する。

1.正方形のかき方を考える

すでにプログラミングされている「1本の辺」の続きを考えればよいことを理解させます。繰り返しの機能を先に教えないで、子供に活動させ、プログラミングの基本的な概念である「繰り返し」のよさを体験的に気付かせます。

プログラミングで正方形のかき方を考える
「長さが等しい辺4本と、大きさの等しい角90度をもとに考えればできそう!」
正方形のかき方の手順
※クリックすると別ウィンドウで開きます

2.正三角形をかく

正方形をかいているので、辺の数と回す角度をそれを変えればよいことはすぐに子供が気付きます。ここで教師は子供たちがつまずくことを想定して、あえて説明しないことがポイントです。

「辺の数が3本だから繰り返しを3回したらいいよね。回す角度は60度・・・」
「辺の数が3本だから繰り返しを3回したらいいよね。回す角度は60度・・・」
「簡単だと思っていたのに正三角形がかけない・・・」
「簡単だと思っていたのに正三角形がかけない・・・」

3.うまくかけない理由を考える

正三角形がうまくかけないと子供たちが気付いたときに、「どうして正三角形がかけなかったか」を考える時間を十分に確保します。自力解決させることでプログラミング的思考を育てます。回す角度を120度にした子には、意味理解ができているかを確認します。

「なぜかけないんだろう?」
「なぜかけないんだろう?」

プログラミングは、なぜうまくいかないのか、どうしたらうまくいくのかを考え、検証することが重要です。画面上で考える子もいれば、紙に書いて考える子もいます。歩いて考えるのもよいでしょう。教師は考える場を提供しましょう。

4.正六角形のかき方を考え、共通するきまりを見つける

正六角形のかき方を考える
正六角形のかき方を考える

ワークシートを使って、「きまり」を発見する楽しさを味わわせましょう。このとき、辺の角度と回す角度にプラスして、実際の角度も表に書き入れるようにします。

ワークシートに「きまり」を書き入れる
ワークシートに「きまり」を書き入れる

プログラミング的には、順次処理だけではなく、繰り返しを身に付けさせていくようにします。算数的には、正多角形の性質を理解させることが重要です。

5.きまりを使って様々な正多角形をかく

正百角形をかくとき、1秒待つを入れておくと、100秒待つことになります。辺の長さを130歩にすると飛び出してしまうのでかけません。そこで自分なりの工夫が必要になってきます。

正百角形をかいてみる
正百角形をかいてみる

教科にプログラミングを活用する

外国語活動でプログラミングを活用しよう

小学校学習指導要領での例示はないが、各教科でもプログラミングを活用するように文部科学省は勧めています。例えば、外国語活動では、「道案内をしよう」等の単元で活用できます。使用する英語表現は、次の通り。

「Where is ~? Turn right / left. Go straight. Stop. 」

例えば、町のマップの上に置いた車を使って、消防署へ行くにはどのようにするかを、グループで話し合いながら、プログラミングしていきます。次に自分たちのプログラミングで正確に決めた地点に行くことができるのかを検証します。行くことができなかったら、どこが間違っているかを自分たちで考え、試行錯誤しながら、正しく行けるようにプログラミングします。

外国語で道案内をするプログラミング作成中

そして、案内するときには、「Turn right / left. Go straight. Stop. 」を声を出して言います。声を出して何回も繰り返すことによって表現に慣れ親しみます。

自分が作ったプログラミングによって外国語を話す必然性が生まれてきます。また、自分の車が正しく動いているという思いがあると、自信をもって発表できるものです。

このほか、図画工作や音楽など様々な教科でプログラミングを活用することができるので、工夫してみてください。

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取材・文/浅原孝子

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