小6算数「比例と反比例(1)―比例―」指導アイデア

執筆/埼玉県さいたま市立上落合小学校教諭・西村 良平
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫
目次
本時のねらいと評価規準
(本時の位置 8/ 16)
ねらい
比例の性質を活用して、問題を解決する方法を考える。
評価規準
比例の性質を活用して指定された画用紙の枚数を用意する方法を考え、説明している。(数学的な考え方)
問題
画用紙300 枚を、全部数えないで用意する方法を考えましょう。
学習してきたことを使って、枚数を数えないで調べる方法はありますか。
枚数が増えると厚くなったり、重くなったりするかな。
画用紙の重さや厚さをはかることができれば、調べることができそうです。
どうして、重さや厚さをはかるのですか。
画用紙の枚数と重さや厚さは、比例の関係にあると思うからです。
比例の関係を使って、調べられるのかな。
本時の学習のねらい
比例の関係を使って、画用紙の枚数を調べよう。
見通し
「重さ」の他に「厚さ」が出ることも考えられます。今回は、誤差を小さく測定できることから、「重さ」で考えることに絞ります。本当に「枚数と重さ」の2量は、比例関係にあるのかを子供に問うことで、まずは、比例関係の有無を確かめる必要があることに気付かせます。
10 枚(73g)、20 枚(146g)等、調べやすい枚数を子供と共に設定し、重さを調べさせます。そして、「枚数と重さ」に比例関係があることを全体で確認します。その後、自力解決へつなげていきます。どのように比例関係を使って300 枚の重さが求められたのかが分かるよう、表を用いて説明を書かせることが大切です。
自力解決の様子
A つまずいている子
誤答、300 枚の重さの求め方が分からない。
B 素朴に解いている子
1 枚あたりの重さから考える。
73 ÷ 10 = 7.3
7.3 × 300 = 2190
C ねらい通りに解いている子
(1)10 枚の重さから、比例関係を用いて求めている。
73 × 30 = 2190
(2)300 枚に対応する重さを求めている。
300 × 7.3 = 2190
学び合いのポイント
表を縦に見ても横に見ても解決できることに気付かせる学び合いにしていきます。はじめに自力解決でのBの子供や、Cの子供の(1)の考え方を紹介します。既習である単位量当たりの学習と結び付けながら、表を横に見て解決したことに触れ、称賛します。その後、Cの子供の(2)の式を紹介し、表を縦に見て解決したことを称賛します。また、数値の意味を考えさせることで、表と式の数値を関係付けて理解を深めさせていきます。
ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
(Bの子供の発表後)
73 × 30 = 2190 と求めました。
× 30 って、何だろう。表には、ありますか。
表を横に見ると、300 枚は、10 枚の30倍でしょ。枚数と重さは比例しているから、73g の30 倍が、300 枚の重さです。
私は、300 × 7.3 = 2190 と求めました。
× 7.3 って、何だろう。
表を縦に見た時の決まった数です。枚数と重さは比例しているから、(枚数)× 7.3 =(重さ)と分かります。
学習のねらいに正対したまとめ
・枚数と重さの比例関係を使うと、およその枚数を用意することができる。
・表を縦に見たり横に見たりすると、求めたい枚数の重さが分かる。
感想例
表を横に見るだけでなく、縦に見て求める方法があることが分かった。
今後、調べることが大変な時には、比例関係を使って調べてみたい。
ワンポイントアドバイス
浦和大学教授 矢部一夫
第六学年では、これまでに学習してきた数量関係についての見方をまとめるために、伴って変わる2つの数量の中から特に比例の関係にあるものを中心に考察し、関数の考えを伸ばすことをねらいとしています。
ここでは、300 枚の画用紙を用意するとき、1枚1枚数えるのでは手際が悪いという意見をもとに、枚数と重さ(または厚さ)が比例関係であることから、10 枚や30 枚の重さを求めれば効率よく300 枚を用意できることに気付かせることが大切です。
この単元では、比例についての理解を深めるために反比例や和が一定の場面を学ぶというねらいであるので、様々な場面を比例と比較しながら事象を考察することが大切です。また、事例にもあるように、表にまとめた後、対応(縦に並ぶ2量のきまり)や変化の仕方(横に並ぶ2量の変わり方)で考察するなど、表を柔軟に見ることについても丁寧に指導してください。
■小6算数 比例と反比例(2)―反比例― に続きます。
イラスト/横井智美
『小六教育技術』2018年10月号より