小5国語「“古典”を楽しむ」指導アイデア
教材名/「古典」を楽しむ(教育出版 五年下)
領域/伝統的な言語文化
執筆/沖縄県公立小学校教諭・村吉優子
編集委員/国立教育政策研究所 教育課程調査官・菊池英慈、那覇教育事務所指導主事・上里亮
目次
単元で付けたい資質・能力
①言語活動とその特徴
本単元では、「好きな古典作品を読んで感想をまとめる」言語活動を行います。感想には、「あらすじ」「この本を選んだ理由」「古典の魅力」を位置付け、古典の魅力に迫ります。書き終えた感想は、クラスで読み合い、次の読書活動へとつなげていきます。
②言語活動を通して付ける資質・能力
感想をまとめることを通して、昔の人のものの見方や感じ方に触れ、古典への興味関心を深めるようにします。
さらに、普遍的な人間の心などに気付かせ、古典作品に込められた教訓や示唆など、さまざまなことを感じ取らせます。
古典作品の言葉には、現代の言葉と似たような言葉や、異なる言葉があることにも気付かせ、言葉への関心を高めていきます。
③指導のポイント
・繰り返し音読することで、独特の言葉のリズムや美しい語調を感覚的に味わわせます。
・古典を解説した文章を読むことを通して、それぞれの時代において、人々がどのようなものの見方や感じ方をしていたのかを知る手がかりをつかみます。
・教科書やその他の資料を通して視覚的にその時代の生活の様子や歴史的背景の説明を加えることで、より理解が深まり、興味を引き出します。デジタル教科書等の利用も有効です。
指導事項:五・六年 伝国 (1)ア(ア)(イ)
単元の展開(4時間扱い)
昔から読み継がれている物語(例)
「ものぐさ太郎」「はちかづきひめ」「イソップ物語」「うらしま太郎」「桃太郎」「さるかに合戦」「一寸法師」「かちかち山」「したきりすずめ」
アイディア① 古典を身近に引き寄せる
「浦島太郎」「一寸法師」「竹取物語」の一部を提示し、これから学習することに興味を持たせます。
最初に、昔から読み継がれている作品を「古典」と言うことをおさえましょう。子供がこれまでに出合ってきたであろう古典を取り上げることで、古典が自分たちの身近にあることに気付かせます。
作品の内容を全て理解させることが目的ではなく、知っているお話とつなげたり、現代でも使われている言葉に着目させたりすることで、ある程度内容を捉えられることに気付かせます。知っていたお話が昔から読み継がれてきた作品であったという驚きや意外性は、これからの学習の意欲につながります。
浦島太郎の話は、いじめられていた亀を助けると思っていたけれど、亀を釣り上げたとなっているね。絵本で読んだ時と少し話が違っているところが面白いな。
小さい頃から知っていた物語が、昔から伝わる古典だったなんて意外だったな。そのほかにも身近にある古典作品はないかな。
今、私たちが使っている言葉もいくつか使われているから、大体の話の内容は分かったよ。
何年前ぐらいに作られたお話だろう。ほかの古典も読んでみたいな。
・子供向けに書かれた古典の図書資料などを準備し、読書環境を整えます。単元の終盤には、自分で選んだ古典作品で感想をまとめることを事前に伝えておくことで、見通しをもって学習に臨むことができます。
・ここでは、古典を詳細に読むことを目的としません。子供にとって身近な物語が古典であったことに気付き、「面白そうだな」「もっと知りたいな」といったような興味を引き出すことが大切です。どんな言葉で話の内容が分かったのか、面白いと思ったところはどこなのかなど、子供が感じたことを引き出して次の学習につなげていきましょう。
アイディア② 古典が読み継がれてきた理由について考えよう
ここでは、教科書教材の「竹取物語」「平家物語」「はととありのこと」を取り上げます。この時間の目標は、内容の大体を知ること、昔の人のものの見方や考え方に触れることです。
いきなり読み継がれた理由を考えるのは難しいので、昔の人々がこれらの古典を読んで、どんな点に面白さを感じたのかということを切り口に読み進めていきます。
今のぼくたちが読んでみても、面白いと感じる意外な展開や発想の面白さがあるね。 昔の人も同じところに面白さを感じたのかな。
イラスト/和久田容代
『小五教育技術』2018年10月号より