一年生「はじめての国語」授業アイディア
ピカピカの筆箱とキレイに整った鉛筆、真っ白な消しゴムを準備して、「はじめての授業」を受ける子どもたちは、期待と緊張でドキドキ&ワクワク。そんな特別な授業をどのように行うべきか、ベテラン教師である、神奈川県公立小学校教諭 神谷良太先生と、神奈川県三浦市教育委員会教育研究所指導主事(所属は当時)鈴木夏來さんに、小学一年生の国語、はじめての授業のアイディアをお伺いしました。
目次
教科書とノートをフル活用しよう
「はじめての授業」はそれだけで面白い
はじめての授業だからといって、奇をてらう必要は全くありません。パフォーマンスあふれる楽しい授業だから印象的で面白いのではなく、はじめてやることは、なんでも印象的で面白いと感じるものなのです。
ただ、一年生で学習することは、子どもたちが六年生になるまでのベースになるものが数多くあります。なので、発表の仕方や音読の仕方、ノートの書き方など、授業を進める上でのさまざまなルールを最初に教えることが大切です。
私は、一年生の1回目の国語では、次の3つの活動にしぼって授業を進めることにしています。
「はじめての授業」の3つの活動
- 国語の持ち物を確認する
- 国語の教科書を音読する
- 国語のノートに自分の名前を書く
大事なのは、2と3を2回目以降ではなく最初の授業で行うということ。「教科書を用意したのに使わなかった」「ノートを持たせたのに書く機会がなかった」となると、保護者も子どももがっかりしてしまいます。
黒板に大きく書いた詩を読ませたり、ワークシートに名前を書いたりするのも結構ですが、それでは何を学習したのか、保護者にはまったく伝わりません。国語がある日に、国語の教科書とノートを持参するよう保護者にお願いしたのならば、それらを使うことが強烈なメッセージになるのです。
【主な準備物】
- 国語の教科書 2冊(1冊は黒板掲示用)
- 国語ノート 2冊(1冊は黒板掲示用)
- 国語ノートを拡大コピーしたもの(黒板掲示用)
- マグネットクリップ ほか
活動1:国語の持ち物を確認する
持ち物は保護者が用意しているので、教科書をここではじめて見る子もいるでしょう。また、算数のノートや自由帳など、似たようなノートがあるため、どれを出せばいいか迷ってしまう子もいるかもしれません。
そこで、まず国語の教科書を子どもたちに見せながら、「これが国語の勉強で使う教科書です。どこを見れば国語の教科書とわかるでしょうか?」と聞きます。すると、「こくご」というひらがなに着目して答える子もいるでしょうし、表紙に書かれているイラストに着目して答える子もいるでしょう。
ここでのポイントは「こくご」という文字と表紙のイラストを関連させて、国語の教科書はこれだということを子どもたちに教えること。この活動を入れることで、次の授業から「国語の教科書を出します。〇〇の絵が描かれた教科書ですよ」と言うだけで、子どもたちはさっと引き出しの中から教科書を探し出すことができるようになります。
また、黒板にも次のようにマグネットクリップを使って掲示しましょう。
活動2:国語の教科書を音読する
教科書は、最初のページから取り扱う必要はありません。私は物語文、例えば「大きなかぶ」の最初から2ページ程度をいきなり読ませることから始めます。このお話は絵本で読んだことがある子も多く、子どもたちにとっても親しみを感じる教材だからです。
ここでのポイントは、スラスラ読めるという経験をさせること。「文字がたくさんあっても、先生の後を追いかければ読める」「文字が読めなくても聞き覚えで読める」「声を出して読むことは楽しい」、そう子どもたちが感じられることが大切です。
子どもたちが読んだあとは、「○○さん、はっきりした声で、読むことができていますね」「みんなの声がそろうと、とてもきれいな音読になりますね」というように、たくさんほめてあげましょう。
なお、音読の基本は、読む姿勢をつくることです。自分のお腹と背中に握りこぶし1個分が入るように、机といすの間隔を調整するように子どもたちに説明します。それから、教科書を両手で持ち、机の上に立てて読むように伝えます。
活動3:国語のノートに自分の名前を書く
「はじめての授業なのにノートも使うの?」と思われるかもしれませんが、1回目の授業だからこそノートも使いましょう。子どもたちは「ノートにどんなことを書くのかな?」とワクワクしています。
保護者も「わが子はどんな勉強をしてきたのか知りたい」という思いをもっています。そんな期待があふれるなかで、ノートを使わなかったら・・・。「せっかく持ってきたのに」という残念な思いを子どもたちにも保護者にも味わわせてしまいます。
子どもたちにとって何をノートに書くのが一番うれしいか、また保護者にとって何が書かれているノートを見るのが一番うれしいのかというと、やはり一人ひとりの名前だと思います。
そこで、国語のノートには子ども自身の力で、名前を書かせることにしています。一年生の机には、ひらがなで子どもたちの名前が書かれたシールが貼ってあると思います。それを見ながら、丁寧に書いていくのはどうでしょうか。
ここでのポイントは、スモールステップで行うこと。下敷きを敷く(先生がまず見本→子どもがやる)、日付を書く(先生→子ども)、右上のマスから書く(先生→子ども)、というように小刻みにやることが大切です。
そして、子どもたちが一生懸命に名前を書いたノートには、大きな花まるをつけましょう。子どもたちは帰宅後、ノートを笑顔で家の人に見せることができます。保護者もわが子のがんばりをほめるきっかけになります。また、自分の名前を丁寧に書いたノートは、小学校生活最初の記念にもなるでしょう。
『小一教育技術』2016年4月号より