小3算数「表とグラフ(棒グラフ)」指導アイデア(7/10時)《ぼうグラフの見え方がちがうわけ》
執筆/富山大学人間発達科学部附属小学校・羽柴直子
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、前・富山県公立小学校校長・中川愼一
目次
本時のねらい(本時7/10時 整理のしかたや棒グラフのかき方を学習した後)
1目盛りの表す数の大きさや棒の長さを読み取り、データの表し方の工夫について考える。
評価規準
1目盛りの表す数の大きさや棒の長さに着目して、グラフを比較し、表し方の工夫について考えている。(思考・判断・表現)
問題
A、B、Cのぼうグラフは、三年生のある組が4月、5月、6月に図書室で本をかりた人の数を表しています。3つのぼうグラフから、どんなことが分かりますか。

棒の長さで本を借りた人数の多い少ないが分かるから、Aはたくさん本を借りていて、BやCはあまり本を借りていないことが分かります。
棒の長さの変わり方から、Aは借りる人数がぐんと増えているけど、Cは、あまり増えていないことも分かります。
実は、3つの棒グラフはどれも、この3年1組の人数を表しているのですよ。
え、本当に!? 同じ表なのに、どうしてこんなに見え方が違うんですか?

学習のねらい
ぼうグラフの見え方がちがうわけを考えよう。
見通し
- それぞれの棒の長さが表す数の大きさを確かめてみよう。 〔方法の見通し〕
- 縦軸の目盛りに着目して、1目盛りが表す人数を調べてみよう。〔方法の見通し〕
自力解決の様子
A つまずいている子
棒の長さのみに着目し、縦軸の目盛りの違いに気付いていない。
B 素朴に解いている子
縦軸の目盛りの違いに気付き、1目盛りの大きさを調べて考えている。
C ねらい通り解いている子
縦軸の目盛りの違いから1目盛りの大きさを求めて考えている。また、どの棒グラフが見やすいかを考えている。
学び合いの計画
ここでは、1目盛りが表す数の大きさの違いによる棒グラフの見え方について考えることが大切です。
そのために、同じデータを基にした、1目盛りの大きさが異なる3つの棒グラフを比較します。そうすることで、「人数の多少がはっきりしているもの」「人数が読み取りやすいもの」などの特徴を捉えていきます。
そして、何を表したいかによって、1目盛りの大きさを考えるとよいことに気付くようにします。
ノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
棒グラフの見え方が違うわけは見付かりましたか。
3つの棒グラフを比べると、縦の軸の目盛りが違うことに気付きました。つまり、3つの棒グラフは、1目盛りが表す人数が違います。
1目盛りが表す人数は、Aが2人、Bが5人、Cが10人です。だから、同じ12人でも棒の長さは違ってくるから、見え方が違ってくることが分かりました。
1目盛りが表す人数が大きいBとCは、グラフの上がたくさん余っています。
BとCは、棒の先と目盛りがぴったりではないから人数が分かりにくいです。
Aは、人数の違いや、5月から6月に借りた人数がたくさん増えていることがよく分かります。
何を表したいかによって、1目盛りの大きさを考えるとよいと思いました。
学習のまとめ
<ぼうグラフをよむとき> → 1目盛りが表す数の大きさを確かめる。
<ぼうグラフをかくとき> → 表したいことに合わせて、1目盛りの数の大きさを考える。
評価問題
次の表をぼうグラフに表しました。たてのじくに目盛りを入れましょう。

本時の評価規準を 達成した子供の具体の姿
表の数値や表したいことに着目して1目盛りが表す人数を考えるなど、表し方を工夫している。
感想例
- 棒グラフを読むときは、1目盛りが表す人数によって見た目がずいぶん違うから、1目盛りの大きさを確認することが大切だと分かりました。
- 棒グラフをかくときは、何を表すかによって1目盛りが表す人数を考えるとよいと分かりました。
- 棒グラフを使って、もっと本を借りて読書する人が増えるように呼びかけたいです。
イラスト/小沢ヨマ、横井智美
『教育技術 小三小四』2021年6/7月号より