小4らくらくUnit 1「Hello, world!」①【モトヨシ先生のスライドde外国語活動】
ゆたかな言語活動を行うためにICTを活用した授業が求められる外国語活動。しかし、様々なツールや教材を切り替えながらでは、手惑う場面もしばしばでしょう。本好利彰先生がこれまでの授業で作成してきたパワーポイント(スライド)教材は、これひとつ、授業の導入から終末までモニターに映すだけで授業を組み立てられる”お助け教材”です。「モトヨシ先生のスライドde外国語活動」で外国語活動の授業を、らくらくクオリティアップ!
今回は、Let’s Try! 2 Unit1「Hello, world! 世界のいろいろなことばであいさつをしよう」の第1時のらくらく授業の進め方です。
執筆/千葉県公立小学校教諭・本好利彰
監修/拓殖大学准教授・居村啓子
目次
スライドは学級の実態にあわせて修正して使いましょう
小学校4年生の「Let’s Try! 2」の最初の単元「Hello, world! 世界のいろいろなことばであいさつをしよう」全2時の1時目の授業の流れです。本時も、私が作成したパワーポイント(スライド)を使った授業を紹介します。学級の実態に合わせて修正し活用してください。
パワーポイント(スライド)を使った授業の進め方
この記事の最後で、パワーポイントのファイルをダウンロードできるようになっています。必要な教師の発話やイラスト、音源などを挿入してあり、この資料を使うことで1時間の授業を行うことができるように作成してあります。このスライドを活用して、クリックしながら授業を進めてみてください。
- クリックでスライドを進めるだけで、スムーズに授業を行えます。
- デジタル教科書を使用する場合は、パワーポイントから切り替えてください。
目標と授業の流れ
【目標】
世界の国々の挨拶の仕方を知る。
○様々な挨拶の仕方があることに気付くとともに、様々な挨拶の言い方に慣れ親しむ。(知識及び技能)
○友達と挨拶をして、自分の好みなどを伝え合う。(思考力、判断力、表現力等)
○相手に配慮しながら、友達と挨拶をして、自分の好みなどを伝え合おうとする。(学びに向かう力、人間性等)
【言語材料】
◎Hello. Good [morning / afternoon / night]. I like (strawberries). See you.
[既出]挨拶・自己紹介、Do you like (blue)? Yes, I do. / No, I don’t.
- 挨拶
- サイモンセズ
- 数字の歌を歌う(セブンステップス)
- じゃんけんゲーム(足し算)
- 世界の挨拶の仕方を知る→(デジタル教科書を活用する。Let’s Try! 2 P2)→めあて
- 黒板に挨拶や国名を貼ろう
- デジタル教科書P3 Let’s Listen!①
- デジタル教科書P4 Let’s Play
- デジタル教科書P5 Let’s Listen!②
- ふりかえり
各活動の流れ
①挨拶
②サイモンセズ
前時の授業開きで行ったサイモンセズです。すぐにサイモンセズのアクティビティーを始めるのではなく、「Let’s practice!」もしくは「 練習タイム!」などと言って動作の確認をしましょう。できれば前回と同じではなく、新しい動作を1つでも2つでも加えるとよいです。ほんの少しの工夫や変化が大切です。
例
Touch your nose. Touch your mouth.
Open your textbooks. Close your textbooks.
ここで扱っておくと本時の後半でLet’s Try!を使う時の支援となります。是非、意図的に扱ってみてください。この授業で新たに加えた文は赤文字にしてあります。動作の確認を復習として1分程度行ったらサイモンセズを行うとよいと思います。
③数字の歌を歌う
セブンステップス 3の数字で手を叩く版
④じゃんけんゲーム(足し算)
前時にやったことと同じですので、実態に合わせてデモンストレーションを児童と行ってやってみるとよいでしょう。次時から引き算に入っていきます。
⑤世界の挨拶の仕方を知る
→(デジタル教科書を活用する。Let’s Try! 2 P2)
世界の挨拶の仕方についてデジタル教科書を活用しながら学習していきます。
Look at this flag. What country is this?
日本! Japan!
Yes, that’s right. We say “konnichiwa” in Japanese.
黒板に「日本の国旗」と「こんにちは」のカードをペアで板書、貼りましょう。
Look at this flag. What country is this?
アメリカ!
Yes, that’s right. How do you say こんにちは in English?
黒板に「アメリカの国旗」と「ハロー」のカードをペアで板書、貼りましょう。
3年生の時に、韓国、中国、インド、ケニアも扱っているので、簡単に扱ってもよいでしょう。
Look at this flag. What country is this?
中国? ロシア?
The answer is Indonesia. How do you say こんにちは in Indonesian?
分からない。
Let’s check today’s goal!
●めあてにつなげる
ここで分からないことと児童が感じたことをめあてにつなげるとよいと思います。パワーポイントにあるめあては例として記載してあるので、実態に合わせて変えてください。
Let’s watch the movie about Indonesia.
ビデオで児童たちが「スラマッシアン」といっているシーンを視聴させます。
インドネシアの挨拶、何て聞こえたかな?
指名して発表させても、全体で一斉に言わせてもよいかと思います。大切なポイントは聞こえたように言わせるということです。この後に出てくる初めて聞く挨拶の時の手立てとなります。
中国語China、アラビア語Arabic等でも、同じ流れで進めていきます。
⑥黒板に挨拶や国名を貼ろう
いろいろな国の挨拶をデジタル教科書の映像を通じて学んだところで、児童たちが国旗と挨拶を結びつける活動を行います。ちょっとした遊び心とALTの演技力で楽しみながら活動できると思います。
教師が児童たちと国名をリピートしている間に、ALTに挨拶のカードを黒板から取ってもらいます。リピートが終わった頃にALTがわざとらしく転んで、持っていたカードを教室の床にバラバラに落としてしまうというシーンを意図的に(演技力重要です!)行ってもらいます。ALTが例えばアメリカ出身ならば、こんな形で進めてはいかがでしょうか。
Oh, my god! ○○先生, what are you doing!!!!
Oh, I’m sorry. I’m from America, so I know “hello’’.
と言って、アメリカの国旗の横にハローのカタカナのカードをALTに貼ってもらいます(1人で授業をする場合は、1人で2役でもできます)。
But, ジャンボ? I don’t know. Please help me.
Hands up, please.
と言って児童にカタカナの挨拶のカードを貼るように促します。他の挨拶のカタカナカードをすべて貼り終わるまで同じ流れで進めます。
黒板に国旗とすべての国の挨拶が貼られている状態になります。
次は、挨拶のリピートを行います。その間に、ALT(教師)が国旗のカードを黒板からまた取っていきます。そして、同じように転ぶ演技をします(笑)。2回目です。2回目になると児童たちは「わざとだ! またやった!」などと言いますが、聞き流しながら先ほどと同じことを行います。
Oh, my god!
○○先生, what are you doing!!!!
Oh, I’m sorry.
I’m from America, so I know ‘’ This is the American flag’’.
と言ってALTが、アメリカの国旗のカードをハローのカタカナのカードの横に貼ります(1人で授業をする場合は、1人で2役でもできます)。
But, this one is? (ケニアの国旗を見せながら) I don’t know.
Please help me.
Hands up, please.
と言って児童たちに国旗のカードを貼るように促します。
⑦デジタル教科書P3
Let’s Try! 2の3ページのリスニングを行います。サイモンセズでOpen your textbooks.を扱っておくと児童たちもスムーズに教科書を開けますが、初めて教科書を使うのでジェスチャーをしながらゆっくり行ってください。鉛筆と定規も見せながら準備するように伝えます。
Open your textbooks to page 4. (教科書を開くジェスチャーをしながら)
Get your pencils. (鉛筆を実際に見せながら)
答え合わせの仕方は、指名してもよいでしょうし、全体で確認してもよいと思います。1番のhello以外は、児童が迷うこともあるので1問ずつ答え合わせをするとよいでしょう。
評価については記録には残さない時でも、名簿を使ってメモ程度に児童の学習状況を書き留めておくことも大切です。目標に向けて指導していきましょう。
⑧デジタル教科書P4 Let’s Play
ここでは、挨拶をして自分の好きなことを伝える活動を行います。まずはALTとデモンストレーションをしましょう。
Hello.
Hello.
My name is Motoyoshi Toshiaki. I like basketball.
(ALTはワークシートに情報を記入する)
My name is 〇〇. I like coffee.
(教師はワークシートに情報を記入する)
See you.
See you.
前半は挨拶をHelloで限定するとよいでしょう。中間指導では、児童の様子を称賛し、例えば、What’s your name?と相手に名前を聞いている児童を意図的に発表するなどして、友達のよいところを称賛し、後半の活動に導くとよいでしょう。また、児童にHelloやその他の挨拶を自由に活用させ後半の活動へと移ります。デモンストレーションは児童ー児童で行うのもよいと思います。
スラマッシアン
ジャンボ
My name is A. I like soccer. What’s your name?
My name is B. I like curry and rice.
⑧デジタル教科書P5 Let’s Listen②
登場人物について分かったことを□に書かせます。このようなリスニングをする場合もやり方はたくさんあります。実態に合わせて行ってみてください。
例えば、最初に登場人物の名前を確認したり、「この子の名前、何だと思う?」と児童とやりとりしたりして始めるのもよいと思います。名前を確認してから内容に入っていくことで、名前が分からなかったからその後の内容を聞き逃してしまう児童でも安心して内容を聞くことに集中できます。
その後は、1度聞かせてみることもよいでしょうし、ワークシートを表裏に印刷して配るのも工夫のひとつです。例えば、表はヒントなし、裏はヒントありのワークシートにして、児童に選ばせて行うのもよいでしょう。
●ワークシートは、パワポスライドといっしょにダウンロードできます
1度聞き終わったら、隣同士で聞こえた単語などを共有してから2度目のリスニングを行うことも考えられます。またどんなカテゴリーの話をしているか、リスニングの視点を実態に合わせて与えてもよいでしょう。
例えば、①のたけるの場合は、What color does Takeru like? What color Takeru doesn’t like? と教師がジェスチャーをしながら視点を与えることもできます。同じように2、3問目も行えます。机間指導をしてみて児童の回答の様子等を確認しながら支援していくとよいでしょう。
⑨ふりかえり
本時のめあてを確認して、ふりかえりをさせるとよいと思います。ここで「楽しかった」等を書いていることが悪いわけではないですが、めあてからの感想を書いている児童を意図的に指名して共有するとよいです。本時であれば、「いろいろな国の挨拶の仕方を初めて知った」等の感想を書いている児童を意図的に指名するとよいでしょう。
※外国語活動は教科ではないので、Let’s Try!は教科書ではなく教材という扱いになっていますが、この連載では、教科書、textbookと表示しています。
※外国語活動の授業の進め方やスピードは授業者によって違うと思います。パワーポイントをご覧になった時に、学級の実態からすべてはできないと感じたりする場合は、授業者の判断でとばすことも可能です。
居村啓子(いむらけいこ)
拓殖大学外国語学部英米語学科准教授。言語学博士。児童図書出版社、児童英語教育機関勤務、立教大学異文化コミュニケーション学部助教、上智大学言語教育研究センター嘱託講師を経て現職。2020年よりNHKラジオ「小学生の基礎英語」講師を務める。研究テーマは「子どもの第二言語習得」、「フレーゾロジー」。
本好利彰(もとよしとしあき)
福島県公立小学校教諭。福島県小学校・中学校・千葉県小学校教諭を歴任。また地区外国語教育推進リーダーを務める。2018年より拓殖大学外国語学部で「小学校英語教育入門」を担当。2021年東京書籍アドバイザー。2023年より東京書籍の会員制教育情報サイト「東書Eネット」にて実践事例、指導技術などを連載中。
パワーポイント(スライド)ダウンロード
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構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ アニメーション/鶴岡信治