【相談募集中】音楽専科です。多すぎる持ち時間を減らしてもらえません

神奈川県教育委員会 神奈川県立総合教育センター 主幹兼指導主事

鈴木夏來

みん教相談室」に届いたのは、授業の持ち時間が多すぎて疲弊している音楽専科の先生からの相談。ここでは、神奈川県立総合教育センター主幹兼指導主事・鈴木夏來先生からのアドバイスをシェアします。

【相談募集中】仕事のキャパを超えている
イラストAC

Q.音楽専科です。多すぎる持ち時間を、どうしたら減らせるでしょうか

公立小学校で音楽専科の正規教諭です。教員生活のほとんどを音楽専科でやってきました。現任校では、14学級+支援学級の音楽を担当していますが、持ち時間が多すぎます。前任校より3学級分多いです。空き時間もないため疲労も激しいのですが、計算では可能とのことで、時間を減らしてもらえません。校長に訴えると、担任はもっと大変だと言われ、担任とは違う専科の大変さは理解してもらえません。図工専科の先生は非常勤ですが、同じ様に持ち時間が他校に比べて多く、大変な思いをしています。職場までも遠距離で、往復1時間半かかることも苦痛です。朝は6:50には家を出ます。

来年度で定年を迎えますが、来年秋に研究発表があり、子供たちの下校後は研究のために時間が使われ、自分の仕事ができません。自分は授業を公開しないので、蚊帳の外の感じも受けます。

ストレスの多い職場で、心身疲れて、内科、心療内科、鍼灸院も定期的に行っています。来年もうひとクラス増えるので、音楽だけで15学級はどう考えても無理です。考えただけで、ストレスです。どこに訴えたらこの授業時間数を減らせますか?(ミュージック先生・50代女性)

A. ご自身の体調を一番に考えてください。その後で、次の選択肢に進みましょう

まずは「みん教相談室」にご相談いただいたことに感謝申し上げます。ありがとうございます。

結論から申し上げると、ミュージック先生のご体調が最優先です。仕事は確かに大事なことでしょうが、心身疲れるまで、命を削ってまで行わねばならない仕事なんて、そうないと私は思います。

内科、心療内科、鍼灸院も定期的に通われているとのこと。診断書を出せば、十分に療養休暇を取得することができるでしょう。

ご無礼を承知で繰り返しますが、そこまでして業務を続けねばならない理由はないと思います。異動、休職、退職など、いろいろな選択肢がありますから、ひとつ考えてみてはいかがでしょうか。

しかし、それでも今の職場で働きたい、心身を削ってでも働くという覚悟がおありならば、次のようなことを選択肢として考えてみてください。

●学級担任をやってみる

音楽専科をやめて、学級担任をやってみるという選択肢です。学級担任になれば、その分の配慮等で、持ち時間が減る可能性があります。交換授業等で、年休や自習体制を捻出することも比較的ラクになります。学級担任は、教職を目指している若手からも需要があります。「人が足りない」「人が見つからない」といっても、音楽専科よりは「なり手」はまだ見つかる可能性が高い、というのが実情です。

いっぽう、音楽の指導に長けている教員は、なかなかおりません。ミュージック先生は、14~15学級+支援級を担当なさっておられるとのこと。尋常ではありません。担任の学級経営がうまくいっていないと、音楽専科の授業は成り立たないことが多々あるというのに、ミュージック先生は、本当に音楽の指導にも長けておられるのだと思います。学級担任の空き時間をつくるため、校内のほぼ全ての音楽授業をまかなってこられたのだと察します。学校管理職も、学級担任も、ミュージック先生に頼りっぱなしなのかもしれませんね。

音楽の得意な先生は、子供の心をつかむことも、学級を経営することも得意ですから、学級担任をやってみるのはいかがでしょうか。

●代替の音楽専科教員を探す

人手という分母が増えないことには、原則として、一人当たりの持ち時間は減りません。したがって、ミュージック先生の空き時間を増やす最速の方法は、同じ音楽専科の教員をご自身で見つけてみることです。もちろん、そこまでする義務は全くありません。しかしながら、ミュージック先生の持ち時間が減らないのは、人が見つからないからそうなっているのだと察しが付きます。教育事務所や市町村委員会、学校管理職も必死で探しているけれども、見つからないのでしょう。

探すのは、以下のような人材です。

・音楽を教えることができる臨時的任用教員や非常勤講師
・音楽を教えることができる退職したばかりの元教員
・免許状が失効したが、音楽を指導できる元教員(免許状の更新を促し、再び働いてもらう。更新講習を受講し、免許状再発行の事務手続きも含めると最短で4か月程度かかる)

しかし、上記のような方を見つけるのは、なかなか難しいことですよね。では、次のような手はいかがでしょうか。

●音楽を指導できる教員を増やす

小学校の教員である以上、本来は音楽を指導できなければなりません。しかしながら、誰しも得手不得手はあるもの。あれこれ理由を付けて専科に任せている教員もいるでしょう。「自分は体育と図工をやるから、代わりに(苦手な)音楽と理科を専科教員にお願いしたい」。いわゆる「バーター」(交換条件)です。

ミュージック先生が勤務される小学校は、音楽や図工の授業について、プロ化・専門化が進んでしまったのだと思います。専科の教員に任せ続けてきた結果、音楽と図工の指導について、自信をもって指導できる教員がほとんどいなくなった、ということです。これはプロ化・専門化が進んだ学校の宿痾しゅくあとも言えます。

そこで提案です。音楽の指導技術について、ミュージック先生が率先して、同僚の先生方に教えてみてはいかがでしょうか。

音楽の指導の仕方が分からないと悩む若手教員は多いものです。「来週の音楽の時間、〇〇先生にとっては空き時間ですが、もしよろしければ、一緒にやってみませんか? もちろん最初は私がメインでやりますから」。そのように声かけし、少しずつ担任の先生にも音楽の指導に慣れてもらうのです。学級担任に自分にもやれるという自信が付けば、「音楽の指導は学級担任」という学校に変わっていくはずです。

ここまで、3つの選択肢についてお話ししました。最後に繰り返しになりますが、くれぐれも、ご自身の体調を最優先に考えるようにしてくださいね。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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