小5理科「もののとけ方」指導アイデア
執筆/福岡県公立小学校教諭・安元博美
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、福岡県公立小学校校長・松山修司
目次
単元のねらい
物の溶け方について、物が水に溶ける量や様子に着目して、水の温度や量などの条件を制御しながら、物の溶け方の規則性を調べる活動を通して、それらについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に予想や仮説を基に、解決の方法を発想する力や主体的に問題解決しようとする態度を育成する。
単元の流れ(三次 総時数 12時間)
◆第一次 溶けた物のゆくえ(4時間)
① 水に入れた食塩がどうなるか観察し、気付いたことや疑問に思ったことを話し合う。
溶かした物が全部溶けてしまった時、「見えなくなったからなくなった。」と考える子供は少なくありません。そんな子供が、実体的な見方を働かせ、「見えないけれど、水の中に在る。」と捉えることができるようになることが大切です。そのために、本単元ではまず、溶かした物がだんだん小さくなって見えなくなる現象をじっくりと観察することに取り組みます。
② 気付いたことや疑問を基に学習問題をつくる。
③④ 食塩などを水に溶かした時の重さを調べる。
3年生の「ものの重さ」の学習で学んだ「形が変わっても物の重さは変わらない。」という知識と関係付けて考えることにより深い学びにつながります。
⇒小3理科「ものの重さをしらべよう」指導アイデア
第二次 水に溶ける物の量(4時間 )
①② 物が水に溶ける量には限りがあるか調べる。(食塩、ミョウバン)
③④ 物が溶ける量を増やすにはどうすればよいか調べる。(水の量を増やす、水溶液の温度を上げる。)
水溶液の温度を上げると物が溶ける量が増えるかを調べる実験をした後、ビーカーをそのままにしておきましょう。
溶けていたミョウバンが出てきたよ!
食塩の水溶液は食塩が出てきていないみたいだけど、取り出せるのかな。
取り出してみたいね。
子供の疑問や思考の流れにそった展開を計画することで、主体的な学びになります。
第三次 溶かした物の取り出し方(4時間)
① 溶け残ったミョウバンをろ過して取り出す。
②③ 水溶液に溶けている食塩やミョウバンを取り出すことはできるのか調べる。(水の量を減らす、水溶液の温度を下げる。)
④ 物の溶け方のまとめをする。
単元の導入
※①→②→③の順に取り組むとよいです。
① ティーバッグに入れた食塩が水に溶ける様子を観察する。
ティーバッグからもやもやしたものが出てるよ。
もやもやは何だろう?
どのくらい溶けるのかな?
※トールビーカーや1mくらいのアクリルパイプを使うと、見えなくなる瞬間がよく見えます。
② 1粒の食塩が水に溶ける様子を観察する。
途中で消えて見えなくなった。
食塩が、どんどん小さくなっていくよ。
溶けた食塩はまた取り出せるのかな?
食塩は水の中にあるのかな?
③ コーヒーシュガーが水に溶ける様子を観察する。
粒はなくなって、全体が茶色になった。
※溶けてしまうには時間がかかるので溶けてしまって均一になった水溶液を用意しておくとよいです。
みんなで解決しましょう!
活動アイデア
導入時の活動を通して子供は「食塩は見えなくなったけど、水の中に在るのではないか」という予想をもち始めています。そこで、溶かす前の物の重さに水の重さを加えた全体の重さと、溶かした後の水溶液の重さの変化を比較しながら調べ、自分の予想と結果を関係付けて考えることにより、子供は、「物が水に溶けても、水と物とを合わせた重さは変わらないこと」を実感を伴って理解することができます。
授業の展開
イラスト/佐藤雅枝、横井智美
『教育技術 小五小六』2020年12月号より