「主体的・対話的で深い学び」の実践における「新・教師力」

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学習指導要領の改訂によって求められている 「主体的・対話的で深い学び」。その実践において、教師はどのような力を身に付けるべきか――。『学習指導要領2020 実現のための「新・教師力 20 」』著者の、和歌山大学教育学部 教職大学院特任教授の深澤英雄先生に、いま求められる「教師力」についてお話をうかがいました。

深沢英雄先生

和歌山大学教育学部 教職大学院特任教授
深澤英雄先生

問いを持って「見る力」が重要

――『学習指導要領2020 実現のための「新・教師力20 」』を書かれた理由を教えてください。

深澤 近年はベテラン教師が大量退職し、若い先生が全国的に激増しています。今後は20代後半で学年のまとめ役になる先生も増えてくるでしょう。そして、 経験不足から、保護者の対応や職場の人間関係に悩んでしまうこともあるでしょう。そこで、私の経験や他の先生の失敗談・成功例を紹介しつつ、いま求められる教師力について考察しようと考えました。

――著書では、今後必要とされる様々な教師力を解説していますが、例えばどのような力ですか?

深澤  今後は、教師が子供をどのように見ていくのか、つまり「見る力」がとても大事になってくると思います。子供の言動から、内面を的確に見とることができなければ、どのようなよい指導も効果が薄くなるからです。

さらに「疑問力」も重要だと考えています。「主体的・対話的で深い学び」を実践する上では、まず教師自身が 「問い」を持たねばなりません。例えば、教科書や教材に対しても、子供たちが意欲的になるためにはどういった指導が必要か、その教材の使い方ははたしてそれでよいのか、常に疑問を持ち、問い続けることが非常に大切です。

若手教師に必要な「訊く力」・「聴く力」

――若手の先生には特にどんな力が必要だとお考えですか?

深澤   まず、「訊く力」でしょうか。「訊く」とは、自ら主体的に尋ねるという、いわば「質問」に近い能動的な言葉です。最近は、社会人になったら自分の力で頑張るべきと考え、先輩や周囲の仲間に訊くことに対してハ ードルを上げてしまう若い先生が多いように思います。

しかし、若手の特権は「訊くこと」。訊くことによって自分でわからないことや、自分がスキルアップしていくべきところが見えてくるのです。

子供の気持ちを訊いたり、保護者の話を「聴く」という「聴く力」も重要です。これは「受容力」にもつながりますが、例えば子供たちは「先生、脚が短い」とか「その服ダサいよ」など、教師を傷つけながら近寄ってきたりします。しかし、そこには本当は「先生と話したい」という気持ちがあるのです。その気持ちに気付き、話を聴いてあげられるかどうか。

クレームを言う保護者も、心の裏側には、「自分の子をもっと伸ばしてほしい、自分の子を受け止めてほしい」という願いがあることに気付けるかどうか。 教師が相手の表面的・否定的な 言葉だけを受け取らずに言葉の裏側の気持ちを聴き、受容できるかどうか。その力量が問われてくると思います。


深澤英雄先生の著書

『学習指導要領2020 実現のための「新・教師力20」』
深澤英雄・著  定価:本体1400円+税 ISBN:978-4-09-8401871
https://www.shogakukan.co.jp/books/09840178
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2018年度からの新学習指導要領実施に際し、これからの教師に必須の「教師力」(きく力、話す力、読む力、書く力、見る力、疑問力、相談力、気配り力など)を羅列・詳説。教職に対して不安を抱く教員志望大学生・若手教師必読の一冊です。


インタビュー/EDUPEDIA まとめ/出浦文絵

●これと関連したインタビュー記事が「EDUPEDIA」でも配信されています。

『教育技術』2018年4月号より

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