小5算数「変わり方を調べよう」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・天野翔太
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫
目次
本時のねらいと評価規準
本時の位置 3/4
ねらい
伴って変わる二つの数量を見いだして、それらの関係に着目し、表や式を用いて変化や対応の特徴を考察する。

評価規準
表から二つの数量の関係を判断し、表や式を用いて変化や対応の特徴を説明することができる。(数学的な考え方)
問題場面
たての長さが4㎝、横の長さが□㎝の長方形があります。横の長さを1㎝ずつ増やします。
①面積〇㎠はどのように変わりますか。
②周りの長さ△㎝はどのように変わりますか。
(長方形の縦の長さが4㎝に固定され、横の長さが1㎝ずつ増えていく状況を提示する)気付いたことはありますか。
横の長さが増えると長方形が大きくなってるね。
面積がだんだん大きくなっていると言えます。
周りの長さも長くなっています。
横の長さが変わると、面積や周りの長さがどのように変わるか調べましょう。
本時の学習のねらい
長方形の横□㎝と面積〇㎠、横□㎝と周りの長さ△㎝の関係を調べよう。
見通し
どうすれば、2つの量の関係を調べることができそうですか?
表に表すと、2つの量の関係を調べることができそうです。
横の長さと面積の関係は、きっと比例関係だと思います。
横の長さと周りの長さの関係も、きっと比例関係だと思います。
えっ? 私は比例関係じゃないと思います。だって、…。
横の長さと面積は比例の関係にあると言えそうですが、横の長さと周りの長さの関係は意見が分かれましたね。では、それぞれについて関係を調べてみましょう。
自力解決の様子
A つまずいている子
伴って変わる二つの数量の関係を表に表し、一方が増えると他方も増えることから、①も②も比例の関係であると結論付けている。
B 表に表し、関係をとらえている子
表に表して、①は□が2倍、3倍、…になると、それに伴って、〇も2倍、3倍、…になるが、②はそうなっていないことから、①は比例の関係、②は比例関係ではないことが言える。
C 変化の特徴だけでなく、対応の規則性に気付いている子
表に表し、変化の特徴を考察するだけでなく、対応の規則性も考察している。
①面積は横の長さの4倍になっている。
□×4=〇
②たて4㎝と横の長さの和の2倍になっている。
(4+□)×2=△
学び合いの計画
全体で学び合う場では、①の関係の考察から進めます。まず、表に表して考えた児童の意見を取り上げます。その際に、「どうして表に表そうと思ったの?」と問うことで、「2つの量の変化がわかりやすくなるから。」、「表を横に見ると、2つの量の関係がわかるから。」等の児童が働かせた数学的な見方・考え方を引き出すようにしましょう。また、「どうして比例関係と言えるの?」と問うことで、「横の長さの倍関係に着目し変化の特徴を捉えた」という考えの根拠を明らかにすることが大切です。
次に、②の関係の考察をします。①と同様に表に表し、変化の特徴を捉えていきます。ここでも、「どうして比例関係と言えないの?」と問うことで、考えの根拠を明らかにしていきます。これは、同じ長方形を題材にしていても、見いだした二つの数量によっては比例関係でない関係もあることに気付かせることになります。
さらに、①、②の表から、対応の特徴を言葉で表している児童の考えを取り上げ、数を用いた式に表せないかと考えるなど、対応の規則性を次第に式で考察していくようにしましょう。
児童のノート例
全体発表とそれぞれの関連付け
2つの量の関係を調べたいときは、どのようにすればわかりやすかったですか。
表に表して、数値の変わり方を横に見ると、2つの量の関係がわかりやすくなります。
表を縦に見ることで、横の長さと面積、横の長さと周りの長さの関係を式に表すこともできました。
表や式を使うと、2つの量の関係がわかりやすくなります。
同じ長方形の問題でも、2つの量によって比例関係とそうでない関係のものがありました。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
まとめ
横の長さと面積の関係は、比例関係である。横の長さと周りの長さの関係は、比例関係ではない。表に表して、表を横に見たり縦に見たりすると、関係がわかりやすくなる。
問題解決の結果や過程を振り返らせる中で、表や式を用いて、変化や対応の特徴を考察したことを確認しましょう。そのために、子どものつぶやきや素朴な問いを吹き出しで書き残したり、変化や対応の特徴を色チョーク等で強調したりした板書の工夫をすることが大切です。
評価問題
次の2つの量で、〇は□に比例していますか。理由も説明しましょう。
①1まい30円の画用紙を□まい買うときの代金○円。
②たん生日が同じで年れいが2才違う弟の年れい□才と兄の年令〇才。
【子供に期待する解答の具体例】
①は、表に表すと、まい数が2倍、3倍、…すると、それに伴って代金も2倍、3倍、…になるから、比例している。②は、そうなっていないから、比例していない。
感想例
2つの量の関係を調べるときは、表に表すとわかりやすいです。縦に見ると、式にもできます。
『教育技術 小五小六』 2020年4/5月号より