単元丸ごと!板書&ノート① 小1国語「やくそく」
連載|ayaya先生のすてきやん通信
Instagramでは1万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による人気連載! 国語の授業について単元全体の板書とノートの具体例を紹介するシリーズが始まります。今回の教材は、「やくそく」(光村図書1年上)です。
執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香
目次
「やくそく」光村図書1年(全8時間)
今回からは、単元全体を通した国語科授業ついて、板書とノートでご紹介します。
1時間目 お話を読んで、感想を書こう。
児童
- ノートに箇条書きや文章で、初発の感想を書く。
授業者
- 「思ったこと」と「素敵な言葉」を二段に分けて板書し、素敵な表現を全体へ広げる。
2時間目 どんなお話かを考えよう。
児童
- 授業者と同じスピードでお話の設定をノートに書き、大体のあらすじを捉える。
授業者
- 「どんなお話か」という具体的な言葉を「お話の設定」という抽象語で押さえる。
- 冒頭・事件・事件の変化・事件解決という流れを意識して、出来事を確かめるようにする。
3時間目 二匹の青虫の気持ちを想像しよう。
児童
- 青虫になりきるために、ノートに青虫の表情を想像して描き、吹き出しの中に気持ちを書く。
- 二匹の青虫の気持ちを比べたり、音読で気持ちを表現したりする。
授業者
- 「想像」するために必要なことを児童といっしょに考える。
- 「 」(かぎ)を正しくかける指導を丁寧に行う。
- 初めて顔の絵を描くため、表情が出るポイントを押さえる。
- 吹き出しの中に書いた気持ちを音読で表す際、表情豊かに伝えようとしている児童、体の動きで伝えようとしている児童に着目し、全体へ広げる(地団太を踏んで怒りを表現したり、自分とそっくりな青虫に目を丸くして驚く児童が現れる)。
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4時間目 三匹の青虫の気持ちを想像しよう。
児童
- 一匹目と二匹目の青虫の気持ちを思い出し、三匹目の青虫の気持ちと比べる。
- 前時で学習した気持ちの表し方を思い出し、表現豊かになるようグループで交流する。
授業者
- 前時で初めて行った、吹き出しを書くことや、なりきり音読を、児童が主体的に進められるよう支援する。
- 児童のよい表現を机間指導によって見出し、共有する(比喩表現で表す子が現れる)。
5時間目 どうしてけんかをやめたのかを考えよう。
児童
- 木の上まで行くと見えるものを想像してノートに書く(くじらぐもの学習を思い出す子や、高いビルに上ったときに見たものを発表する子多数)。
- 目を丸くした青虫の気持ちを書くために、顔と吹き出しをノートに描く。
授業者
- 木の上まで行って見えるものについて、想像が膨らむよう、「飛行機に乗った」「高いビルに上った」「山登りをした」「学校の4階から景色を見た」等の経験はないか、具体的に問う(自分の経験で伝える子もいれば、青虫になったつもりで答える子もいるが、どちらでもよいこととする)。
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■国語の構造的板書① ~子どもの気づきを引き出す~
■国語の構造的板書② ~二段対応表で比較する~
■国語の構造的板書③ ~逆Yチャートで考えを広げる~
■国語の構造的板書④ ~イメージマップで考えを広げる~
■国語の構造的板書⑤ ~考えを整理する~
■国語の構造的板書⑥ ~感想マトリクス~
6時間目 やくそくをした三匹の青虫の気持ちを想像しよう。
児童
- グループで、それぞれ青虫になりきり、約束をした三匹の気持ちを想像し、吹き出しに書く。
授業者
- 表現を豊かに表せるよう、グループ学習を取り入れる。
- 初発の感想にあった、「約束をしたあと、三匹はどう過ごすか」について問い、物語世界を楽しめるようにする。
7時間目 なりきり音読をしよう。
児童
- なりきり音読とは何かを考える。
- 役割(青虫三匹・大きな木・語り手)を決める。
- 音読練習をする。
授業者
- なりきり音読とは何か、児童といっしょに考える。
- 目指したい音読の姿(音読発表会の評価基準となる)を児童と共有する。
8時間目 なりきり音読の発表会をしよう。
児童
- 1グループずつ、音読発表をする。
- 友達のよいところを見つける。
- 振り返りには、自分ががんばったこと(評価基準に照らして)を書く。
授業者
- 児童の様子を録画し、後で評価や所見に役立てる。
- 発表には緊張が伴うが、緊張することのよさや、みんなの前で話すことの難しさ、練習や本番一生懸命やることの大切さなどを伝え、児童が音読発表会をポジティブに捉えられるようにするとともに、これまでの学習が大切であることを伝える。
次回も「単元丸ごと! 板書&ノート」をお伝えします。
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以下の記事では、綾香先生が「板書」の基本を教えてくれます!
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■「板書」の基本① ~見やすい文字の書き方~
■「板書」の基本② ~低学年の板書のポイント~
■「板書」の基本③ ~児童の意見を広げるポイント 前編~
■「板書」の基本④ ~児童の意見を広げるポイント 後編~
樋口 綾香
ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書出版)ほか。編著・共著多数。