小5算数「単位量あたりの大きさ」指導アイデア
執筆/東京都公立小学校教諭・大村英視
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、東京都公立小学校校長・長谷豊
目次
本時のねらいと評価規準
本時の位置 1/4
ねらい
にわとり小屋の面積とにわとりの数が異なる場合の込み具合の比べ方を考える。

評価規準
にわとり小屋の面積とにわとりの数が異なる場合、一方の数をそろえて、もう一方の数で比べたり、単位量あたりの大きさで比べたりする方法を考えている。

どのにわとり小屋が、一番混んでいますか。
にわとりの数が多いのは(う)の小屋だよ。
でも、(あ)の小屋は狭いよ。
小屋の面積を教えてほしい。
正方形の板1枚が1㎡です。
(あ)は5㎡、(い)と(う)は6㎡だね。
(い)と(う)はどちらも6㎡で、(い)には8羽、(う)には9羽いるから、(う)の小屋が混んでいます。
同じ面積なら、にわとりの数が多いほうが、混んでいることになるんだね。
(あ)と(い)だと、(あ)が混んでいることになると思う
よ。
(あ)と(い)は、にわとりの数はどちらも8羽だけど、(あ)の小屋のほうが狭いものね。
(あ)と(う)では、どちらの小屋が混んでいるのでし
ょうか。
にわとりの数も小屋の面積も違うから、比べられない。
本時の学習のねらい
面積もにわとりの数もちがう、にわとり小屋のこみ具合を比べる方法を考えよう。
見通し
どちらの小屋が込んでいるのか、比べるにはどうすればよいでしょうか。
面積かにわとりの数が同じときは、比べられるけれど……。
面積が5㎡と6㎡だから、どちらも30㎡にそろえられそう。
面積をにわとりの数でわると、1羽分の面積がわかるな。
自力解決の様子



学び合いの計画
発表検討場面では、子供が互いの考え方を理解しようとする態度を引き出せるよう配慮します。本時であれば、一人の子供に自分の解決方法を全て説明させるのではなく、その子供が立てた式のみを提示させ、他の子供に、その式の意味を考えさせるとよいでしょう。このような展開にすることで、子供から出された様々な考えを学級全体で共有し、学びを深めていくことができます。

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
はじめに面積を30㎡にそろえる考え方を取り上げます。この解決方法は、面積が6倍になれば、にわとりの数も6倍になるという比例関係を前提にした考えであることを、図や数直線などを用いてどの子供も理解できるようにします。
また、8×6=48で求めた「48」は、小屋の面積が30㎡だとすると、にわとりが48羽いることを表していることなど、計算によって求められた数が、何を表しているのかを十分に考えさせましょう。
また、1㎡あたりのにわとりの数で比べる方法と、1羽あたりの面積で比べる方法を共通理解する場面でも、それぞれの計算で求めた数の意味を、子供に表現させる活動を大切にします。その際、導入場面で(あ)と(い)、(い)と(う)を比較したときのことも想起させるとよいでしょう。面積をそろえたときには、にわとりの数の大きいほうが混んでいて、にわとりの数をそろえたときには、面積の小さいほうが混んでいることを子供の言葉で整理できるようにします。
学習のまとめ
面積もにわとりの数も違うにわとり小屋の混み具合の比べ方を考えてきましたね。いくつかの方法がありましたが、共通点はありますか。
考え方のAは30㎡、Cは1㎡と、同じ面積の中のにわとりの数で比べているところが同じです。
Bの考え方は1羽あたりの面積、Cは1㎡あたりのにわとりの数で比べていました。どちらも単位量あたりの大きさで比べています。
面積を同じにしてにわとりの数で比べたり、にわとりの数を同じにして面積で比べたりと、面積か、にわとりの数をそろえて比べているところは、どの考えも同じです。

本時の評価規準を達成した子供の姿
面積を45㎡にそろえ、にわとりの数が多い(あ)が混んでいると考える姿。1㎡での(あ)のにわとりの数や、1羽あたりの面積を求め、(あ)が混んでいると考える姿。
次時では、(あ)~(え)以外のにわとり小屋を提示し、にわとり小屋を混んでいる順番を明らかにするという問題を解決させる中で、公倍数を使った考えが面倒であることに気付かせ、単位量あたりの大きさで比べるよさを、子供が実感できるようにします。
イラスト/やひろきよみ
『教育技術 小五小六』 2019年11月号より