小1算数「たしざん」指導アイデア(6/12時)《たすかずのほうが大きいけいさん》
執筆/富山県公立小学校教諭・山本真裕
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、前富山県公立小学校校長・中川愼一
目次
本時のねらいと評価規準
[本時 6/12 : 加数分解を扱ったあとの発展的な内容]
ねらい
たされる数で10のまとまりとする方法を基に、たす数で10のまとまりとする方法を考える。
評価規準
くり上がりのあるたし算について、10のまとまりをつくって解決することを考えている。 [数学的な考え方]

問題場面
たまごはあわせてなんこですか?

白い卵と赤い卵は、合わせて何個ありますか。
白い卵は3個で、赤い卵が9個だから、合わせて12個あるよ。
3+9をすればいいよ。
どうやって計算しますか。
3を10にして計算します。
3を10にするのに7個も動かすのは大変だよ。
9を10にしたほうが1個動かすだけでいいよ。
本時の学習のねらい
たすかずのほうが大きいけいさんのしかたをかんがえよう。
見通し
問題場面を提示する際、板書の図や発問に合わせて、子どもの机上のブロックを動かすようにします。このとき、ワークシートとして、ブロックを置くための枠を用意しておくと、10のまとまりへの意識が弱い子どもへの支援となります。
子どもたちは、前時までにくり上がりの計算について、たす数を分解する方法(加数分解)を学習しています。そのため、3+9についても、これまでと同様に9を分解しようと考えることが予想されます。たす数の9を7と2に分解して、たされる数の3に7をたすことで10のまとまりをつくるということです。この方法をよりよい方法に高めていくという立場で学習を進めていきます。
子どもたちが安心して学習を進めることができるように、まず卵の数は12個であることを確認するとよいでしょう。
ワークシート上に板書と同じようにブロックを並べると、たす数の側に空欄が1マスできます。この1マスを埋めようとする子どもの動きをうまくとらえて、学習を深めていくようにすることが指導のポイントです。
自力解決の様子
A つまずいている子
順番に数えて12個を求めている。
5のまとまりを基に12個を求めている。
B 素朴に解いている子
加数分解で考えている。

C ねらい通りに解いている子
被加数分解で考えている。

学び合いの計画
子どもたちが「3を10にする(加数分解)」で考えているのか、「9を10にする(被加数分解)」で考えているのかを机間指導の際に把握しておきましょう。全体での学び合いでは、既習の加数分解を先に取り上げます。実物投影機等を活用し、ブロックを操作しながら説明させると視覚的にも理解しやすくなります。その後、被加数分解の考えも同様に板書に位置付け、加数分解と被加数分解の違いを考えていきます。その上で、「どちらも10のまとまりをつくっている」という共通点に気付かせるようにします。
ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
(※加数分解の考えを、子どもが説明し終わった後)
3を10にしてみましょう。1、2、3、4、5、 6、7。(ゆっくりブロックを移動させる。)
もっと速く計算する方法があるよ。
9を10にすればいいんだね。
どうやって9を10にするのですか?
3を2と1に分けて、その1を9にたせばいいんじゃないかな。
動かす数が少ないと、速いし、簡単そうだね
そうすれば、数を1個しか動かさなくてすむね。
大きい数をそのままにして、小さい数のほうを分けて計算すればいいのかもしれないね。
本時のまとめ
かずが大きいほうで、10のまとまりをつくるとよい。
学習のまとめで、「被加数分解のほうがよい」と結論付けるのではなく、「加数分解でも被加数分解でも計算することができる」ということを子どもの言葉でまとめるようにするとよいでしょう。数が大きいほうで10をつくるという合理的な方法よりも、機械的にたす数を分解する方法が納得できるという子どももいることに配慮しましょう。
評価問題では、被加数分解で計算しやすい問題を出題しますが、加数分解で解いても構いません。 ただし、どちらを分解して10のまとまりをつくったのかを説明できるように取り組ませましょう。 何となく計算をするのではなく、頭の中の計算のプロセスを言語化できるように仕向けることが大切です。
評価問題
ひよこが3わいます。にわとりが8わいます。ぜんぶでなんわいますか。
期待する解答の具体例

感想例
- 大きい数を10にしたほうがよいと思いました。
- 小さい数を分けて10のまとまりをつくると、計算しやすかったです。
イラスト/コダシマアコ 横井智美
『教育技術 小一小二』2019年10月号より