小4算数「四角形を調べよう」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・佐藤道太
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫

目次
本時のねらい
〔本時7/16時 四角形の弁別の活動〕
ねらい
四角形を分類する活動を通して、台形と平行四辺形の意味を理解する。
評価規準
台形、平行四辺形の意味を理解している。(知識技能)
問題

(正方格子を用いていろいろな四角形を作図させた後)
いろいろな四角形ができましたね。できた四角形を見て気付くことはありますか。
きれいな四角形や斜めの四角形があります。
きれいな四角形って、どういうことですか。
①や②④⑤はきれいな四角形と言えると思います。
上と下の辺が平らになっているからかな。
前に習った上下の辺が「平行」になっているということだと思います。
なるほど、「平行」に着目したのですね。では、平行に着目してグループ分けできないでしょうか。
平行が2組ある四角形もあるよ。
では今日は、四角形の平行な直線の組に目を付けてグループ分けをしましょう。
学習のねらい
平行な直線の組に目を付けて、四角形をグループ分けしよう。
見通し
どのようにしたら、正しくグループ分けできるでしょう。
三角定規を使って、平行かどうかを調べていきます。
平行な直線に色を付けて調べれば、間違いがないと思います。
平行な直線に同じ印を付けて調べれば、見やすいと思います。
自力解決
A つまずいている子
(正方形・長方形に着目している)
正方形・長方形「①⑤」
つぶれた形「②④⑦」
それ以外「③⑥⑧⑨」
B 平行には着目できている子
平行あり「①②③④⑤⑦⑧」
平行なし「⑥⑨」
C ねらい通りに解いている子
平行が1組「③⑧」
平行が2組「①②④⑤⑦」
平行がない「⑥⑨」
学び合いの計画
Aのように既習の正方形や長方形に固執し平行に目が向かない子供には、確かに①⑤に平行な組があることを認めた後、「ほかの四角形にも、平行な辺の組はないか」と発問します。三角定規を使って平行線かどうかを調べる方法を、動的に見せて自ら調べられるように支援することも大切です。
さらに分かった時点で平行になっている1組目には「赤」、2組目には「青」を使って表すようにすると注目している平行が見やすくなり、より平行に着目することができることを全体の場で取り上げ、平行の組数に気付かせてまとめていきます。
本時の子供のノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
Aさん 平行に着目して分けた
平行あり「①②③④⑤⑦⑧」
平行なし「⑥⑨」
Bさん 平行の組数に着目し分けた
平行が1組「③⑧」
平行が 2 組「①②④⑤⑦」
平行がない「⑥⑨」
今回は平行の数に目を付けて、できた四角形をグループに分けるんでしたね。
Aさんは平行な辺の組があるかどうかで2つに分けています。
Bさんは、さらに平行な辺の組の数で3グループに分けています。
どちらの分け方がよいでしょうか。
①と③が同じグループというのも変だよね。
今日の分け方は、長さや角は考えず平行の数に目を付けて、①②④⑤⑦は同じグループと見たほうがいいと思います。形もきれいだし… 。
だったら、③⑥⑧⑨も③⑧は平行が 1 組、⑥⑨は平行がないというふうに分けたほうがいいと思います。
なるほど。平行な辺の組数に着目して、3グループに分けたほうがよさそうですね。
四角形を平行な辺の組数によって分けたグループには名前があります。向かい合った2組の辺が平行な四角形を『平行四辺形』と言います。そして、向かい合った1組の辺が平行な四角形を『台形』と言います。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
向かい合う辺を「平行」ということに目を付けて、四角形をグループ分けすることができる。平行が2組ある四角形を「平行四辺形」、平行が1組ある四角形を「台形」と言う。
評価問題
正方格子を使って、平行が1組の四角形をかきましょう。また、平行が2組の四角形をかきましょう。
感想例
- 長方形や正方形は、辺の長さと直角かどうかで分けていたけど、平行の数に目を付けると同じグループと見ることができる。
- 長方形と正方形、平行四辺形やひし形は、どんな特徴があるのか調べてみたい。
イラスト/小沢ヨマ 横井智美
『教育技術 小三小四 』2019年6月号より