子供たちと読みたい 今月の本#10 隣にいるよ、不思議な仲間たち

全国SLA学校図書館スーパーバイザー・石橋幸子先生にすてきな本を紹介していただく連載です。10回目のテーマは、「隣にいるよ、不思議な仲間たち」。今回は妖怪や幽霊など、ちょっと怖い、でもユーモラスな不思議な仲間たちが大集合します。子供たちは不思議な生き物に興味津々です。本を通して読書の楽しみを広げてくれるでしょう。子供たちの1人読み、先生が読む、読み聞かせなど学級の実態に合わせてください。
監修/全国SLA学校図書館スーパーバイザー・石橋幸子

目次
絵本
魔法が得意ではない魔女が登場したり、同音異義の言葉が出てきたりする絵本があります。魔女と一緒に冒険の旅をしたり、言葉遊びを楽しんだりしてみてください。
『まじょのメルとひかるスープ』

著/たなか鮎子
小学館刊(発行:2024年)
小さなお屋敷に1人で住んでいる魔女のメル。魔法はあんまり得意ではないけど、生き物たちの声を聞くのは上手で、毎日、植物や動物とにぎやかにおしゃべりしています。あるとき、元気のない男の子を元気付けようと魔法の呪文を唱えてみるけれど、大失敗。でも、その失敗のおかげで不思議な扉が開かれ、メルと男の子は不思議な冒険へ駆け出すことに。やさしくてほっこりするファンタジー物語絵本。
石橋先生のおすすめポイント
まず表紙と裏表紙を見せて「どんなお話かな?」と子供たちの声を聞くと、楽しいスタートになりそうです。画面真ん中に大きな壺のような鍋。オレンジ色の煙が立っていてナスやカボチャがふわふわ浮いています。鍋をかき混ぜているのが魔女のメルらしいことが分かります。その後はきっと子供たちの想像が様々に広がると思います。そして、見返し、標題紙(書名が書いていあるページ)とゆっくりめくって読み進めてください。色遣いが独特で魔女の世界観も楽しめますよ(低学年向き)。
『ふしぎぞくぞく ぞくぞくかぞく』

文/大林 大 絵/かとうひろゆき
ポプラ社刊(発行:2024年)
おとうさんの話を違う解釈で思い描く2人の子供たち。2人の想像はちょっとずれていて……。いったいどっちが本当なの!? グラフィカルで鮮やかなイラストとともに同音異義語を楽しむ言葉遊び絵本。
石橋先生のおすすめポイント
この絵本を読み聞かせるときは表紙の次に裏表紙を見せないこと。ちょっとしたネタバレになってしまうからです。お話が始まると、夕飯の支度をしながら子供たちがおとうさんに、どんな日だったかを聞きます。「かいしゃにいくとちゅう そらをみあげたら おおきなおおきなくもが あったんだ」とお父さん。次のページは左がお姉ちゃん。右が弟。ここはゆっくり絵を見せてください。聞き手が2人の言葉と絵からそれぞれが「雲」と「蜘蛛」を想像していることを理解するのに時間がかかるからです。この調子で「雹(ひょう)」と「豹」、「バナナの皮」と「バナナの川」のようにお話が展開します。そして最後にアッと驚くページが続きます。絵と言葉遊び、両方をじっくり楽しませたい1冊です(全学年向き)。
図鑑
妖怪を描いた絵巻物や浮世絵、日本の各地に残るミイラや骨などの遺物などの図鑑があります。ちょっと怖いけれど、子供たちは興味津々だと思います。妖怪をきっかけにして調べ学習につながるかもしれません。
『妖怪さがし絵 おそろし! 妖怪絵巻』

編/グループ・コロンブス 絵/田川秀樹
文溪堂刊(発行:2025年)
妖怪を描いた絵巻物や浮世絵を使い、薬の妖怪と病気の妖怪の戦いや妖怪たちの婚礼風景などユニークな化け物風景とクイズがいっぱい。化け物が生まれた背景の説明や、47都道府県それぞれ代表する妖怪も入っています。
石橋先生のおすすめポイント
まず標題紙(見返しの次で書名などが書かれているページ)を見せます。絵が細かいので書画カメラで拡大しながら見せるとよいでしょう。ここに登場する妖怪たちが案内する仕掛けを知らせて、どこか1か所(見開き2ページで1つの場面が構成されている)を一緒に妖怪探しをすれば、後は子供たちが自分でページをめくりたくなること間違いなし! この本は、室町時代に描かれた「百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)絵巻」や江戸時代の「百物語化け物屋敷の図」(歌川国芳・作)、「画図百鬼夜行(がずひゃっきやぎょう)」(鳥山石燕〈せきえん〉・作)など実際の絵師による鬼や妖怪、亡霊の絵図がもとになっています。そのことが分からなくても友達と一緒にわいわい楽しめる1冊です(中高学年向き)。
『妖怪大探検! ミイラや骨、記録から真実をさぐろう』

監修/香川雅信
PHP研究所刊(発行:2025年)
妖怪とは、もともとは人間の理解を超える奇怪な現象「怪異」をおこす、不思議な力をもつ存在のこと。しかし、造形化された様々な妖怪が、伝説だけでなくミイラや骨などの遺物、絵や記録の形で各地に残っています。それらの妖怪が実在したのか、当時の時代背景や文化から探ります。
石橋先生のおすすめポイント
表紙を見せたら「はじめに」の部分の概略を伝えてください。読み聞かせてもよいですね。監修の香川雅信さんは兵庫県立歴史博物館の方で、日本で最初に妖怪をテーマに博士号を取得されたそうです。次に「この本の使い方」をざっと解説します。そんなことを知ったうえで目次を見て、興味ある妖怪から読むようにすすめてください。高学年の子供たちには奥付ページの取材協力や写真、参考資料も紹介すると、「妖怪について考えることを通じて、研究とはどういうものかを、少しでも感じてもらえたら」という香川さんの気持ちが伝わると思います(中高学年向き)。
