小1国語科「サラダでげんき」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小1国語科「サラダでげんき」(東京書籍)の全時間の板書例、発問、想定される子供の発言、1人1台端末の活用例等を示した授業実践例を紹介します。

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/相模女子大学学芸学部 子ども教育学科准教授・成家雅史
執筆/東京学芸大学附属竹早小学校・曽根朋之
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元は、場面の様子や登場人物の行動など、内容の大体を捉えること、言い換えると物語に誰が出てきて何をしたのかを捉えることを、資質・能力として身に付けられるようにしていきます。
本教材の最初に、りっちゃんという女の子が病気のお母さんのためにサラダを作ることを思いつきます。作っていると、様々な動物たちが次々と出てきて、サラダに入れる材料とその効果を教え、完成したサラダをお母さんが食べて元気になるというお話です。
出てくる動物によって登場のしかたや材料が違い、それぞれの動物ならではの個性が表れています。出てくる動物と提案した材料、登場のしかたを表にまとめると以下のようになります。

動物たちの登場によって場面が分かれ、同じようなやり取りが繰り返されるので、「誰が」「何をした」かが読み取りやすい教材です。
2. 単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴
この単元では、劇遊びを通してそれぞれの場面で「誰が」「何をした」かについて捉えながら進めていきます。
劇遊びとは、幼児教育や小学校低学年などでよく行われる活動で、物語の内容に合わせて子供たちが楽しく演じながら言葉を捉える活動です。あくまで「遊び」なので、細かく役を決めたり、発表したりすることはせず、演じることを楽しむのが目的です。
ここでは、劇遊びをしながら着目した言葉に印を付けたり、書き込みをしたりすることも合わせて行います。例えば、最初に出て来るのらねこであれば、「のっそり入ってきて」という言葉に着目し、ゆっくり焦らず入る様子を演じることで、「のっそり入ってきて」の様子を想像し、内容を捉えていきます。
また、初読後に「どの場面が好きか」という内容を中心に初発の感想を書き残しておきます。
第二次で劇遊びを通して言葉に着目し、第三次では第二次までの活動を通して、新たに気付いたことやおもしろさを「すきなところカード」に書き表します。
このような言語活動を通して、言葉に着目して学ぶことで、物語の様々なおもしろさを実感できるようにしていきます。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉 劇遊びを通して「誰が」「何をした」かを捉える
教師の指示のもと、場面ごとに「誰が」「何をした」かを捉える活動にしてしまうと、主体的な学びは生まれづらいものです。
本単元では、劇遊びを通して、「誰が」「何をした」かを読むことで、楽しみながら主体的に子供たちが学べる活動にします。
〈対話的な学び〉 他者と共感したり、違いを楽しんだりする
劇遊びは、三人程度の少人数で行います。劇遊びをしながら着目した言葉に印をつけたり、書き込みをしたりすると、気付く言葉は人によって異なります。
同じグループ同士で気付いたことを見合ったり、他のグループの劇遊びや着目している言葉を見合ったりする場を設定し、他者が着目した言葉に着目できるような工夫をします。
〈深い学び〉 言葉にこだわって想像するよさを実感させる
出てくる登場人物は、それぞれ個性的な特徴をもっています。
例えば、最初に出てくるのらねこの挿絵を見ると、少し偉そうで不思議な印象を受けます。行動に着目すると「のっそり入って」きたり、「なりますよ」と丁寧な言葉づかいをしたりする特徴があります。
劇遊びを通していろいろな言葉に気付き、新たなおもしろさに気付けるような工夫をしていきます。
5. 単元の展開(8時間扱い)
単元名: おはなしのすきなばめんをしょうかいしよう
【主な学習活動】
・第一次(1時、2時)
①「サラダでげんき」の読み聞かせを聞いてあらすじを捉え、好きな場面を三つ選ぶ。
② 自分が選んだ好きな場面の理由を中心に感想を書く。
・第二次(3時、4時、5時、6時)
③ のらねこが出て来る場面の劇遊びを通して、内容の大体を捉える。
④ 犬、すずめが出て来る場面の劇遊びを通して、内容の大体を捉える。
⑤ あり、うまが出て来る場面の劇遊びを通して、内容の大体を捉える。
⑥ 白くま、アフリカぞうが出て来る場面の劇遊びを通して、内容の大体を捉える。
・第三次(7時、8時)
⑦ 第二次までを振り返り、「すきなところカード」を書く。
⑧ 書いたカードを使って、発表し合う。
全時間の板書例と指導アイデア

●「主体的な学び」のために
初めて「サラダでげんき」で出会う時間に捉えさせたいのは、物語の概要と場面です。
この二つを捉えることができたら、初読の印象で好きだなと思った場面を三つまで選びます。挿絵の下にシールを貼ることで、選んでいる人数が可視化されます。この人数の差から理由を考えたり、他者の考えを聞いたりする見通しをもてるようにします。
「サラダでげんき」という物語を読み聞かせします。楽しみながら聞いてくださいね。読み聞かせのあとに、誰が出てきて何をするお話だったかを聞きますね。
イラスト/横井智美
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