小5国語「たずねびと」板書の技術

今回の教材は「たずねびと」です。本単元では、「物語の全体像を想像し、考えたことを伝え合おう」を目指します。そのため、中心人物の心情の変化を捉えやすくする、中心人物の訪ねた場所・出会った人・物の役割を考えやすくする板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
元同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・飯塚ひろみ(せせらぎの会)
単元名 物語の全体像を想像し、考えたことを伝え合おう
教材名 「たずねびと」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全6時間)
- 物語を読んだ感想を交流し、学習計画を立てる。
- 場面ごとに「時」「場所」「出会った人・物」を整理し、「綾」の心情の変化の大体を捉える。
- 広島での経験から、「きれいな川」や「ただの名前」は「綾」にとってどのように変化したのかを考える。
- 「綾」が広島で出会った人や物の役割について話し合う。
- 作品を読み、自分の考えたことや理解したこと、心情の変化などをまとめる。
- 第5時でまとめたことを交流し、自分の考えを広げる。単元の学習を振り返る。
板書の基本
〇中心人物の心情の変化を表す表現の効果を捉えることができる板書
本単元の前半では中心人物「綾」の心情の変化と、心情描写の表現の効果を捉えることで物語の全体像を想像することにつなげます。この物語には、繰り返される言葉が多くありますが、特に「名前」という言葉に着目させることが重要です。「綾」にとってはじめの「名前」はポスターに書かれた「ただの名前」でしかありませんでした。ところが「綾」は広島で出会った人や物を通して戦争と向き合うことになり、心情を変化させます。ポスターの「名前」に戦時下を生きた一人一人の面影を投影し、ポスターの「名前」の人々は確かにこの世に生きていたことを実感するようになります。板書ではこのような「綾」の心情の変化が明確になるように工夫します。
〇中心人物の訪ねた場所・出会った人・物の役割を考えられる板書
本単元では物語の全体像を捉えることはもちろん、特に中心人物を取り巻く人などの役割を考えるということが大切な学びとなります。5年生の子供たちは登場人物に同化して読むだけではなく、物語を外側の目から見つめて読むことができるようになります。従って本教材において子供たちには「綾」と同化しながら「綾」の心情を読むことに加えて、物語を俯瞰して読み、物語の全体像を捉えられるように指導します。さらに「綾」の心情が変化する仕掛けとなる場所・人・物からその役割を考えさせられるようにします。