ページの本文です

小6国語「あなたは作家」板書の技術

連載
見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
関連タグ
連載 見やすく理解しやすい 京女式 単元別 板書の技術  バナー

今回の教材は、「あなたは作家」です。本単元の目標は、「てんかいを工夫して物語を書こう」になります。そのため、実際の物語をもとにして、物語の書き出しの工夫や展開、やま場、終わりを考えやすいような板書の工夫を紹介します。

監修/元京都女子大学教授
 元同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立学校教諭・新藤美和子(野っ原詩の会)

 

単元名 てんかいを工夫して物語を書こう
教材名 「あなたは作家」(教育出版)

単元の計画(全5時間)

  1. 写真から着想を得た物語(教科書例「不思議な風船」)を読み、学習の見通しをもつ。
  2. 物語の設定を考える(登場人物・物語の大体・場所や時)。
  3. 物語の構成を考えて、物語を書く(話の展開、主人公の変容・やま場)。
  4. 物語を書く(書き出しの工夫)。
  5. 物語を推敲し、友達と読み合う。

板書の基本 

〇想像を働かせながら、物語の設定を考えられる板書

教材「あなたは作家」は、学習活動では物語を作ることが目的で、学習内容を教科書では、「てんかいを工夫して物語を書こう」と示しています。単元計画で示しているように5時間の指導です。

1時間目は、教科書のデータにある物語の例「不思議な風船」を参考にしながら、人物の設定や物語の場面や展開を考えていきます。書きたい物語を考える手がかりになるように教科書の写真をスクリーンに映し、「不思議な風船」の中心人物となる少女を示していきます。写真の中心人物の年齢、性別、性格、くせ、得意なこと、苦手なこと、夢などを考え、人物設定をすることを板書します。物語の例ではどのような設定になっているかが分かるように、1時間目に配った「不思議な風船」を読み上げながら確認をしていきます。

やま場の場面を、何かの出来事を通して主人公が変化していくこととして考えさせます。「不思議な風船」のやま場を読み返し、どのような出来事があったのかを読み上げながら確認します。やま場の場面の大体の出来事を考え、友達と交流させることでいろいろな設定が思い描けるようにしていきます。

〇書き出しの工夫を考えながら、物語の展開を考えられる板書

物語を書き始める前に、「これだけは書こう」と「ポイント」を留意点として挙げていきます。「これだけは書こう」は、「中心人物の変容」と「変容が起こったできごと」を書くことであると確認し、板書します。

「ポイント」は、「書き出しの工夫」「表現の工夫」「セリフ」「情景描写」であることを伝えながら、板書します。

物語の展開を意識させるための表を板書し、「始め」「てんかい」「やま場」「おわり」と上段に板書します。表の「始め」の下段に「書き出しの工夫」と板書します。1時間目に読んだ物語の例から書き出しの部分に着目し、どのような書き出しかを再度読ませ、「まどから見える空は…」を板書します。

教科書で既習の「川とノリオ」や「あの坂をのぼれば」などの書き出しを事例としてあげ、「様子」「気持ち」「音」「会話」で始まっていることを確認し、子供たちがどのような書き出しをしていきたいか、意欲を高められるようにします。

また、様々な書き出しの工夫に触れられるよう、事前に図書の時間を活用し、図書館や学級文庫の本の書き出しの部分を読み、印象に残った書き出しの部分を探しておくようにします。探した書き出しが「会話」「動作」「音」「様子」「気持ち」「思ったこと」などから始まっていることを確認させながら、子供たちがどのような書き出しで物語を始めるかイメージをもたせます。

物語の展開を考えるために、「てんかい」では主人公に何が起こったか、「やま場」では、さらに何が起こったか、「おわり」では主人公の変容を書けるようにします。「不思議な風船」をもとに、何があったのかを箇条書きにしていきます。「これだけは書こう」の「中心人物の変容」「変容が起こったできごと」のイメージをもたせていくためです。

板書を活用した授業の進め方(2/5時間目前半)

フッターです。