子どもたちそれぞれの「マイゴール」設定で、個別最適で楽しいマット運動を!
マット運動をはじめ、器械運動領域の指導が苦手という声をよく耳にします。器械運動領域は、小学校学習指導要領解説(平成29年告示)体育編で、唯一「技」という文言が使われます。そのため、「できた」「できない」がはっきりします。「マット運動はできないから嫌だ」というネガティブな思いを少しでも前向きにできるよう、私は子供たちへの指導に「マイゴール」という言葉を大切にしてきました。ぜひ、これまでの記事も読んでいただけたらと思います。
<前回の記事はこちら>
・子供たちが「やってみたい」「またやりたい」と思える体育にするために~小4体育ネット型ゲーム みんなでつなげ! ふわふわバレーボールの実践~
・苦手な子ゼロへ! みんなで楽しく盛り上がろう! 小4体育ネット型ゲーム みんなでつなげ! ふわふわバレーボールの実践②
執筆/東京都公立小学校教諭・河田侃也
目次
マイゴールについて
子供たちは、以下のようなマイゴールを設定しました。
●前転と後転をきれいにできるようにする。
●開脚前転をいつでもきれいにできるようにする。
●いつでも、2秒くらい壁倒立をできるようにする。
などでした。
このマイゴールを設定するために、大切にしたのは「課題を見付けること」です。上記したように、器械運動領域は、「できた」「できない」が明確になるため、課題が見付けやすいです。しかし、それは正しい「課題」でしょうか。そのため、子供たちに適切な知識を与えるために、以下のような手だてを用意しました。
☆マット運動 行い方カード

着手・回転・着地の3つの局面での技のコツを記し、チェックボックスのついたカードにしました。
この行い方は、小学校学習指導要領解説(平成29年告示)体育編を参考にし、子供たちに分かりやすい言葉を意識して示しました。
こうしたカードを渡しておくと、子供たちがいつでもどこでも見ることができるため、知識定着の礎を築くことができます。
しかし、知識を与えるだけでは、課題を見付けることにはつながりません。そこで、タブレット端末のカメラ機能を活用しました。これまでの体育学習で、カメラ機能を様々活用していたので、使用する機能は限定しませんでした。
子供たちが、自分の必要感に応じて機能を活用しました。子供たちが活用していた機能は以下の3つです。
●カメラ機能(Chromebook)
動画を保存し、局面ごとに確認することができたり、スロー再生することができる。
●タイムシフトカメラ(遅れて再生される)
起動し、遅れる時間を設定するだけで、自分や友達の試技を見返すことができる。
●連続写真100(25)枚
自分や友達の試技を、局面ごとに画像のように細かく確認することができる。


このようなアナログ(行い方カード・秘伝の書)とデジタル(カメラ機能)を組み合わせることで、自分や友達の課題を見付けることができるようにしました。課題を見付けるだけではなく、「考えたことを伝える」という面でも、この2つは大きな手だてとなりました。
学習過程について
学習過程は、以下の通りです。
マイゴール(学習課題)

場の設定について
場の設定は、以下のように行いました。

子供たちが安心して場の準備ができるように、色ごとに準備をするところを決めました。この場は、子供たちのマイゴールによって場は変えていきました。授業中にも、「マット追加してもいいですか」など、子供たちの必要感に応じて、子供たちが場を作っていきました。


