小6国語科「中学校へつなげよう」「生きる」「人間は他の生物と何がちがうのか」 全時間の板書例&指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
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文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小6国語科「中学校へつなげよう」「生きる」「人間は他の生物と何がちがうのか」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小六 国語科 教材名:中学校へつなげよう/生きる/人間は他の生物と何がちがうのか(光村図書・国語 六)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/山梨大学大学院教授・茅野政徳
執筆/早稲田大学系属早稲田実業学校初等部・久保田旬平

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元は、小学校生活の最後に学習する単元として位置付けられています。6年間の国語の学習や身に付けた言葉の力を確認した上で、詩「生きる」(谷川俊太郎作)と説明的文章「人間は他の生物と何がちがうのか」(福岡伸一著)を読んでいきます。

「生きる」(谷川俊太郎作)の学習では、文学的文章(詩・物語)で学習してきた比喩や繰り返しといった表現の工夫とその効果に気付き、詩を読んで感じたことや作者が伝えようとしているメッセージを交流することを通して、自らの考えを広げることのよさを感じることを目指します。
また、「人間は他の生物と何がちがうのか」(福岡伸一著)の学習でも、これまでの説明的文章での学びを生かして、文章の内容や筆者の主張を捉え、自分の考えをまとめていく力を伸ばすことを目指します。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

子供たちは日々たくさんのことを学んでいますが、中には自分が身に付けてきた言葉の力や資質・能力を自覚できない子もいます。まずは、これまでに学習してきたことや6年間で身に付けてきた言葉の力を確認した上で、学んできた力を生かして小学校生活最後の単元に取り組むことを共通理解しましょう。

本単元で扱う文章は、詩「生きる」と説明的文章「人間は他の生物と何がちがうのか」です。
詩と説明的な文章という異なるジャンルの作品ではありますが、「命」や「生きる」というテーマが共通しています。そういったテーマの共通性を生かして、最後には卒業を前にした子供自身が「これから先どのように生きていきたいか」などについて様々な角度から考え、まとめていくような言語活動が展開できます。

6年間の国語科最後の単元として、子供たちが身に付けた言葉の力を自覚するとともに、小学校でともに学んできた仲間と「言葉」を通して語り合ったり、今の自分やこれからの自分の生き方を見つめたりする機会であることを意識させながら単元の学習活動を進めていきましょう。

4. 指導のアイデア

「命」や「生きる」というテーマに対し、自分なりの表現方法で考えをまとめる

本単元では「生きる」と「人間は他の生物と何がちがうのか」を読みます。上述したようにジャンルこそ違う作品ではありますが、「命」や「生きる」という通底したテーマを見つけることができるでしょう。子供の気付きを生かして、単元の最後には「命」や「生きる」ということについて自分が選んだ表現方法で考えをまとめることができるとよいでしょう。

どのような方法でまとめるとよいでしょうか。ヒントになるのが、単元の冒頭で行う「6年間で身に付けた言葉の振り返り」です。文学的文章や説明的文章の学習はもちろんのこと、短歌や俳句、プレゼンテーションや新聞づくりなど、様々な学習に取り組んできたことを子供とともに振り返りながら、子供自身がその発信方法を選択し、自分なりに「命」や「生きる」ということについて考えを表現する活動を展開していきましょう。動画の撮影やプレゼンテーションソフトの活用のように、必要に応じてICT端末も活用すると学習活動の幅もさらに広がるはずです。

自分との対話を大切に

「対話」というと、子供の多くは友達との対話を思い浮かべることでしょう。もちろんそれも学習活動においては重要な対話ではありますので、本単元でも友達との対話を通して考えを広げるような機会を設けましょう。
しかし、単元の終盤に進むにつれて、作者や筆者が紡ぐ言葉を通して自分と向き合い、自分の中で生まれる言葉を見つけ、今の自分は「生きる」ということをどう考えるのだろうかという自己内対話を行う姿を大切にしましょう。じっくりと自分と向き合う時間と場を保障するのです。

これまでの学びを関連付けて考える

「命」や「生きる」というテーマは壮大で、漠然としているため、考えをもつことが難しい子もいることが予想されます。そこで、これまでの学習を思い出す機会を設けましょう。

例えば6年生で学習した「考える」ということについて書かれた三つの文章。どの文章も大変魅力的ですし、生きていく上で「考える」という行為は必要不可欠だと実感したことでしょう。
「海の命」でも主人公太一の生き方について考えたり、題名にもある「海の命とは何か」を考えたりしたのではないでしょうか。
「やまなし」では、命のつながりを読み取ったり、作者である宮沢賢治の生き方について書かれた「イーハトーヴの夢」を読み、宮沢賢治の利他的・自己犠牲的な生き方に心を揺さぶられたりしたのではないでしょうか。

このようにこれまでの学習経験を思い出し、「命」や「生き方」と関連付けて作品を読み進めることで、テーマについて悩む子供の助けになるだけでなく、これまでの学習とのつながりも見え、6年間の最後の国語の単元学習が一層充実したものになることが期待されます。

5. 単元の展開(4時間扱い)

 単元名:「中学校へつなげよう」「生きる」「人間は他の生物と何がちがうのか」

【主な学習活動】
・第一次(1時
○ 6年間の国語学習で印象に残っている単元や教材、学習活動を振り返る。
○「中学校へつなげよう」を基に、6年間で身に付けた言葉の力を振り返る。

・第二次(2時3時
(2時間目)
○「生きる」(谷川俊太郎作)を読み、表現の工夫を考える。
○ 作者が伝えようとしているメッセージや、詩を読んで感じたことや考えたことについて自分の考えをまとめ、友達と考えを交流することを通してその考えを広げる。

(3時間目)
○「人間は他の生物と何がちがうのか」(福岡伸一著)を読み、文章の構成や筆者の考えを確かめる。
○ 筆者の考えに対する自分の考えをまとめる。

・第三次(4時
○「生きる」と「人間は他の生物と何がちがうのか」に共通しているテーマを見つける。
○「いのち」や「生きる」、「言葉」ということについて、今の自分の考えをまとめ、自分なりの表現方法でまとめる。

6. 全時間の板書例・端末活用例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

イラスト/横井智美

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