英語でも辞書引き学習「知ってる言葉がこんなにあるんだ!」
中部大学教授の深谷圭助先生が提唱し、全国に広まった「辞書引き学習」。付箋紙に調べた言葉を書いて辞書に貼っていくという作業を重ね、付箋で辞書がどんどん分厚くなっていき、それが一層、子どもたちの学習意欲を刺激するという、素晴らしい効果を上げている学習法です。英語学習にも同様に活かせるということで、新たに打ち出したの英語の辞書引き学習について、お話を伺いました。
目次
海外で好評の英語辞書引きを日本でも
――英語で辞書引き学習を開発しようと思ったきっかけは何ですか?
深谷 2020年から、小学校高学年では英語が教科化されます。教科化にあたり、英語の読み書きも必要になるため、語彙力の指導にも注目が集まるでしょう。
私は1990年代から国語辞典を使った「辞書引き学習法」を開発し提唱してきました。8年前からは、海外の小学生にも辞書引き学習の紹介をすることが多くなったのですが、現地でも英語の辞典を使った実践の評価が高かったので、日本でも紹介したいと考えました。辞書を使って調べて単語を書くという活動とは違って、小学生にも十分取り組める学習法です。
――「英語の辞書引き学習」のメリットは何ですか?
深谷 やり方はとてもシンプルで、「辞書を開いて知っている言葉を探す。その言葉を付箋に書き、辞書に貼る」というものです。小学生に英語の辞典は難しそうと思われがちですが、英語の読み書きに不慣れな子どもでも、辞書の中から自分の知っている単語を探し、付箋に書くことは、学びのハードルが低いので、あっという間にたくさんの単語を探し出します。どんどん付箋が増えると学びの蓄積が可視化されるため、満足感や達成感が得られるという点もモチベーションにつながるのでしょう。
実際に子どもに感想を聞くと、「英語の辞典にこんなに自分の知っている言葉があるとは思わなかった」「知っていると思っていた言葉に違った意味があって驚いた」と言う子がたくさんいます。
実は英語と日本語は極めて接点の多い言語であるという気付きが得られるのもメリットです。
まずは英語由来のカタカナ語からスタート
―― 小学生の低中学年に英語の辞書引きは、ハードルが高くはないでしょうか。
深谷 英語の辞書引き学習では、英語辞典から自分の知っている言葉を拾いだすことで、英語に親しむきっかけをつくることをねらいとしています。
なぜなら、子どもは自分の経験や自分の持っている知識からかけ離れたことには関心がありません。だからこそ、子どもが経験したことから学びを広げていくほうが効果が高いのです。
例えば、子どもが難しさを感じないよう、日本語になっている英語由来のカタカナ語からスタートする。その中から自分がすでに知っている語彙を探しつつ、英語の語彙の獲得を意識させるのです。語彙を獲得するということは、言語を獲得する上で必要不可欠なことです。
そういう意味でも、付箋を使って英語の辞典を読んでいく、調べていくことは大変重要な実践だと思います。
先生方の中には、英語の指導に不安を感じている人も多いと思います。しかし、辞書引き学習は教師や子どもの英語力は関係なく、子どもが自分のペースで自主的に学ぶ学習法です。短時間で切り上げられるので、授業の導入や朝の帯時間などに取り入れるのをお勧めしています。
公式ホームページ( http://eijisho.sgkm.jp )には、実践された先生方の声も掲載しているので、参考になるのではないでしょうか。
辞書引き 英語ふせんBOOK
(英語ふせん200枚+英語の辞書引きまるわかりガイド)
監修/深谷圭助・相田眞喜子 定価:500円+税/小学館
ISBN 978-4-09-941670-6
https://www.shogakukan.co.jp/books/09941670
「英語でも辞書引き!」公式HP http://eijisho.sgkm.jp
インタビュー/EDUPEDIA まとめ/出浦文絵
●これと関連したインタビュー記事が「EDUPEDIA」でも配信されます。
『教育技術』2019年1月号より