学年末の総復習は「さかのぼり指導」で【先生のための学校】
残り少ない三学期で行う算数の総復習では、算数の力の確実な定着のための「さかのぼり指導」が必要です。今回は、学力研の
くぼ・いつき●1949年、京都府京都市生まれ。京都教育大学教育学部哲学専攻卒業。教育アドバイザー。40年以上にわたり「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(学力研)」において《読み書き計算》の発達的意義について研究するほか、どの子にも均質で広範な学力をつける一斉授業のあり方を研究・実践し、現在も講演活動を中心に精力的な活動を続けている。
目次
クラスや学年を挙げて算数の仕上げを
ついに、三学期もあとわずかとなりました。子供たちの算数の力はしっかり付いてきたでしょうか。一人ひとりチェックしてみましょう。
基礎の基礎
□ 6+7のように1桁のたし算(特に繰り上がりがあるもの)がすらすらとできる。
□ 11-6のようにひく1桁のひき算(特に繰り下がりあり)がすらすらとできる。
□ 定規を使ってまっすぐな直線を引くことができる(横も、縦も)。長さを正しく測れる。
大切な学習事項
□ かけ算九九がどの段も30秒以内で何も見ずに唱えることができる(特に4、7、8の段)。
□ かけ算の意味(1つ分の数×いくつ分=ぜんぶの数)がわかる。
□ 二位数・三位数のたし算・ひき算が筆算でできる(特に繰り上がり・繰り下がりがあるもの)。
□十進法のしくみや1万未満の数の量感がわかる。
□長さやかさの単位がわかる(m・㎝・㎜・L・dL・mL )。
計算のまとめ100点大作戦
教科書やドリルの巻末にあるまとめの問題を使うといいでしょう。その学力実態をもとに改めて問題を作って復習、練習させることで、3年生に向けての仕上げとなります。
特に計算力をどの子にもしっかりと定着させることは、今後も算数好きになるポイントです。 計算力は、単に算数の基本であるだけでなく、学力そのものを引き上げる牽引車の役割を果たします。計算で自信を付けた子供は、さまざまな学習活動でも積極的になっていきます。
計算力の仕上げとなる取り組みを紹介します。名付けて「計算のまとめ100点大作戦」です。
まず下の画像にあるような計算のテストを作ります。 問題数は10問。1問10点、100点満点です。これがゴールであり、みんなで100点満点をとるのが目標です。
〇練習プリントを用意する
テストの第1問・第2問は二位数+二位数です。そこで二位数+二位数だけの練習プリントを用意します。ポイントはいろいろな型が混じって網羅されていることです。同じように、三位数+二位数、二位数-二位数、三位数-二位数、かけ算の練習プリントをそれぞれ用意します。
〇クラスで宣言する
学級通信で「みんなで100点をとるぞ」と知らせるなど、ムードを高めます。
〇練習プリントに取り組む
学校で1枚、宿題で1枚と、同じ問題で2回します。間違った問題だけをやり直しさせます。
〇総合問題で最後のツメをする
間違いが多かった問題だけを集めたスペシャル問題や、本番によく似たプリントで練習します。
〇クラスや学年を挙げて取り組む
遅れがちな子は、このようにクラスや学年を挙げて取り組む熱気の中でやる気を高めると、個別指導もしやすくなります。教え合いを奨励し、クラスづくり・学年づくりとして集中的に取り組むのです。教師は間違い直しのチェックをしっかり行います。
二年生で学習した計算が、どの子もすらすらとできる力を付けて、三年生に送り出したいものです。それが、最高の進級プレゼントになります。
執筆/学力研・
久保校長からひと言
図書先生が示しているような要素の入ったプリントを自分で作って算数のさかのぼり指導をしてください。そして、3年生の担任の先生に「基本的なことはしっかり鍛えられていますね」とお褒めの言葉がいただけるように頑張りましょう。
図書先生の手作りプリントのような、今の自分のクラスの実態にフィットしたものを作って授業したり、復習させたりすることは、算数を楽しく、しかも、どの子にもできるようにするための大切な教師の営みです。
『小二教育技術』2019年2/3月号より