小6国語科「おすすめパンフレットを作ろう」全時間の板書例と指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
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文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小6国語科「おすすめパンフレットを作ろう」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小六 国語科 教材名:おすすめパンフレットを作ろう(光村図書・国語 六)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/山梨大学大学院教授・茅野政徳
執筆/神奈川県平塚市立花水小学校・佐野裕基

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、推薦する文章を書くことを通して、相手や目的を明確にして、読む人を引き付ける言葉を選択したり、必要な情報を用いたりして、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫する力を身に付けることを目指します。

推薦する文章は相手や目的、推薦する理由を明確にして書くことが大切です。推薦する文章の特徴と読み手の興味を引き付ける書き表し方の工夫を学び、小学校での「書くこと」学習の集大成につなげられるようにしましょう。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、推薦したいものをパンフレットにまとめることを言語活動として位置付けました。
パンフレットの他にも、リーフレットやポスターなどにまとめることも考えられますが、載せられる情報量に差があります。リーフレットやポスターは、1枚の紙にまとめるため、情報を精選したり、割り付けを考えたりする学習に適しています。一方、パンフレットは、必要に応じてページ数を増やせるため、推薦する理由を十分に書くことができます。

また、グループで一つのパンフレットにまとめることで、推薦するテーマを多様な視点から載せられたり、想定した読み手に応じて推薦するものの順序を入れ替えたりすることができるなど、これまでの学習を生かした工夫をしやすい言語活動と言えます。

言語活動と指導事項の関連

子供たちはこれまでに、紹介する文章、提案する文章、案内する文章、報告する文章などを書いたり、読んだりする学習を経験しています。その中で、相手や目的に応じて、文章の内容が変わることを学んできました。

パンフレットに関しては、4年生「パンフレットを読もう」で、文字の大きさや位置、文章と写真やイラストとの関係など、パンフレットの形式について学習しています。
本単元では、パンフレットに関する既習を生かしながら、推薦する文章の特徴を重点的に扱いましょう。

4. 指導のアイデア

<相手や目的を明確に設定する>

本単元の導入は、「相手や目的を明確に設定すること」がポイントです。子供たちが相手や目的を設定する場面において、「明確に」という部分が曖昧になりやすいと感じています。例えば、子供たちが、「おすすめの音楽をまとめたパンフレット」を「音楽が好きな人」に読んでもらいたいと設定したとしましょう。しかし、これでは「相手を明確に設定できた状況」とは言えません。
「音楽が好きな人」という大きな括りではなく、「同級生なのか、小学1年生なのか」「大人なのか、子供なのか」「音楽に詳しい人なのか、音楽に興味をもち始めた人なのか」など、パンフレットの読み手を可能な限り具体的に考え、相手を設定できるように支援しましょう。

目的も可能な限り具体的に考えることが大切です。「おすすめの曲を伝える」ではなく、「おすすめの曲の歌詞やメロディのよさについて伝える」「おすすめの曲の効果について伝える」といった目的を設定できるとよいでしょう。

このように、相手と目的を明確に設定することで、その相手を引き付ける言葉や、その人に必要な情報について考えることができるようになり、本単元の目標に向かって見通しをもって学習に取り組むことができるようになるでしょう。

推薦する理由を明確にする>

音楽を推薦したい子供たちに、推薦したい理由を問うと、「歌手が好きだから」「歌詞が好きだから」という、推薦したい音楽以外でも言えるような答えが返ってくることがあります。この状況では、パンフレットを読んだ人に、「この曲を聞いてみたいな」と思ってもらうことはできません。

推薦するときは、推薦する理由を明確にすることが求められます。他のものと比べて推薦するもののよさを際立たせたり、具体的な体験や知識を紹介したり、関連する文章や他者の評価を引用したりするなど、推薦するもののよさを捉え、推薦する理由の説得力を高めるための工夫ができるようにしましょう。

情報の扱い方 〜引用の仕方や出典の示し方を確認する〜

1人1台端末により、子供たちは、たくさんの情報を容易に獲得できるようになりました。そのため、インターネットを用いて収集した情報を使って書く機会も増えています。

調べたことを活用する場面では、情報の整理に関する「引用の仕方や出典の示し方」の知識を活用できるようにしましょう。学習指導要領では「引用の仕方や出典の示し方」が、小学校3・4年生と中学1年生の指導事項として示されています。小学校3・4年生で、「引用の仕方や出典の示し方」について知り、それ以降にも本単元のような活動を通して繰り返し活用することで、定着を目指したい力です。

本単元でも、「引用の仕方や出典の示し方」について確認し、確実に活用することができるようにしましょう。

5. 単元の展開(6時間扱い)

 単元名: 相手や目的を明確にして、すいせんする文章を書こう

【主な学習活動】
・第一次
1時
① 推薦する文章を書く学習の見通しをもつ。
2時
② 推薦したいものを基にグループを決め、テーマや相手・目的などを設定して、情報を集める。

・第二次
3時
③ 集めた情報を基に、グループでパンフレットの構成を考える。
  推薦する文章の構成や特徴について考える。
4時5時)
④担当するページの割り付けを考える。
⑤推薦する文章を書く。

・第三次
6時
⑥完成したパンフレットを読み合って、感想を伝え合う。
  単元の学習を振り返る。

全時間の板書例・端末活用例と指導アイデア

1時間目の概要と板書例

1時間目の概要

実際にパンフレットを読み比べる活動を通して、本単元で学ぶ内容を把握し、2時間目以降に取り組む学習の見通しがもてるようにします。

教科書の「問いをもとう」を基に、読み手の興味を引き付ける工夫について、問いをもてるようにしましょう。そして、「目標」を確認し、自分が書き手として、読み手の興味を引き付ける言葉を使ったり、書き表し方を工夫したりして、パンフレットを作る学習活動に取り組むことを把握できるようにします。

最後に、教科書の「取り上げるものの例」を参考に、推薦するものを決めたり、相手や目的の設定、必要な情報について考えたりするなど、学習の見通しをもてるようにしましょう。

1時間目の板書例
1時間目の板書例

イラスト/横井智美

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