小6国語科「発見、日本文化のみりょく」板書例と全時間の指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小6国語科「発見、日本文化のみりょく」(光村図書)の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した全時間の授業実践例を紹介します。

小六 国語科 教材名:発見、日本文化のみりょく(光村図書・国語 六)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/山梨大学大学院教授・茅野政徳
執筆/早稲田大学系属早稲田実業学校初等部・久保田旬平

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本教材「発見、日本文化のみりょく」は「『鳥獣戯画』を読む」で学習したことを生かして書くという複合単元として位置付けられている教材です。「『鳥獣戯画』を読む」では筆者がその魅力を工夫しながら伝えていました。そこで学んだ筆者の工夫を取り入れながら、自分が選んだ日本文化の魅力を効果的に伝えられるようにします。

日本文化を伝える際には本やインターネットを使って調べることになるでしょう。その際は調べた情報を取捨選択し、伝えたいことに応じて詳しく書く部分と簡単に書く部分を考えながら文章を書くことが必要になります。そのような書くことの資質・能力を身に付けるのに適した単元です。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

今回は教科書に準じて「日本文化について書く」という単元の言語活動を設定しました。

ポイントとなるのは、「『鳥獣戯画』を読む」で学んだことを、書くときに生かすということです。「『鳥獣戯画』を読む」の単元の冒頭で、日本文化についてイメージマップを作りながら考えを広げる時間を設けています。最終的には子供たちが興味・関心のある日本文化を自分で選び、自分が感じた魅力を読み手に伝えることができるような文章を書くことで達成感を味わうことができる単元になるとよいです。

教科横断的な学習や学校行事との関連、相手や目的の設定で必然性のある学びを

カリキュラム・マネジメントの観点から、学校・学級の実態に応じて「総合的な学習の時間」と関連させて書くことの学習につなげていくのもよいでしょう。
今回は教科書に準じて「日本文化の魅力を伝える文章」として柔道の魅力を伝える作例もありますが、「修学旅行で行った日光東照宮の魅力を伝える文章」の作例も載せました。
修学旅行をはじめとする学校行事と関連させた言語活動を設定することで、「修学旅行で行った日光東照宮の魅力を伝えよう」というように、学校行事と関連させた展開も考えられます。
学校の先生方でアイデアを出し合ったり、必要に応じて子供たちと相談したりしながら単元の言語活動を考えていきましょう。

4. 指導のアイデア

○ 伝えたい魅力や価値を明確にし、伝える相手を設定する

教科書での単元名は「発見、日本文化のみりょく」です。
まずは書き手である子供たち自身が選んだ日本文化についての魅力を十分に理解することが重要です。選んだ日本文化について情報を集める過程で、その日本文化の魅力は何かを意識しながら情報を集めるように声をかけましょう。

また、そんな魅力を誰に伝えるのかという相手の設定も重要になります。今回は最終的に読んでもらう相手を、あまりその文化について知らないクラスの友達としていますが、例えば交流のある地域の方々や保護者と設定するのもよいでしょう。明確な相手や目的を設定することで、一層子供たちにとっては必然性のある学びとなり、主体的に学習に取り組むようになるはずです。

○ 友達と相談・交流しながら書く

文章を書くことは、基本的に個人での活動です。換言すれば、「自分との対話」の時間です。それ故に苦手意識のある子が多く、思うように活動が進まない子も見受けられます。
そこで、友達と対話する学習活動を積極的に取り入れます。書くことの交流と言えば、文章を全て書き終えた後にお互いに文章を読み合って感想を交流する活動を行う場合が多いでしょう。そういった活動を行うだけではなく、例えば学習計画を立てる際や、構成を考える学習活動に取り組む際にも交流する時間を取り入れるとよいでしょう。
書くことに苦手意識のある子にとって、自分一人で進めていかなければならないという負担感が減ることはもちろん、苦手意識のない子にとっても自分だけでは気付くことができなかった視点で意見をもらうことができるはずです。「みんなでよりよいものを作っていく」という意識で、単元の学習活動に取り組めるよう指導しましょう。

○「『鳥獣戯画』を読む」で学習したことを生かして書く

本単元は上述してきたように前教材「『鳥獣戯画』を読む」との複合単元に位置付けられています。「『鳥獣戯画』を読む」は、これまでの説明的文章には見られない特徴的な書き方が印象的でした。そういった筆者の書き方や説明の仕方、言葉の使い方などからたくさんのことを学んできました。
本教材「発見、日本文化のみりょく」では、そんな「読むこと」の学習で学んだことを常に意識し、「書くこと」に生かすことで、読むことと書くことを関連させた深い学びができるように単元の学習を進めていきましょう。

5. 単元の展開(5時間扱い)

 単元名:「発見、日本文化のみりょく」

【主な学習活動】
・第一次(1時2時
①「『鳥獣戯画』を読む」で学んだ筆者の工夫を整理し、自分が選んだ日本文化の魅力を伝える文章を書くための学習計画を立てる。
② 自分が選んだ日本文化についてインターネットや本で情報を集めたり整理したりする。

・第二次(3時4時5時
③ 集めた情報をもとに、自分の考えが伝わるように簡単に書いたり詳しく書いたりする部分や文章全体の構成を考え、文章の下書きを書く。
④ 自分の考えや選んだ日本文化の魅力がより伝わるよう表現や図の使い方に気を付けながら推敲し、文章を清書する。
⑤ お互いの文章を読み合い、感想を伝え合う。単元で学んだことを振り返る。

全時間の板書例、ワークシート例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例
本時の概要

「『鳥獣戯画』を読む」の1時間目から日本文化についてイメージを広げ、単元のゴールではその魅力について書くことを意識しながら学習を進めてきています。
本格的に書くことの学習をスタートするにあたって、本時はまずワークシートを使って「『鳥獣戯画』を読む」で学習した筆者の説明の工夫を確認することから始めます。読む活動から書く活動へとつなげていくための時間にしましょう。

本時の後半の学習活動では、書くことの学習計画を立てていきます。まずはこれまでの学習を思い出しながら、書くことの学習過程(どのような活動が必要か)を子供たちと確認しましょう。

イラスト/横井智美

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