小4理科「月と星」指導アイデア

特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
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執筆/福岡県北九州市立星ヶ丘小学校教諭・馬塲隆太
   福岡県北九州市立黒崎中央小学校主幹教諭・冨田基史
監修/文部科学省教科調査官・有本淳
   福岡県北九州市立曽根東小学校校長・中村弘幸
   福岡県北九州市立花房小学校教頭・松永庸助

単元目標

子どもが月や星の位置の変化や時間の経過に着目して、それらを関係付け、月や星の特徴を調べる活動を通して、それらについて理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想する力や主体的に問題解決しようとする態度を育成することがねらいである。

評価規準

知識・技能

①月は日によって形が変わって見え、1日のうちでも時刻によって位置が変わることを理解している。
②空には明るさのちがう星があることを理解している。
③星の集まりは、1日のうちでも時刻によって並び方は変わらないが、位置が変わることを理解している。
④月や星の特徴について器具や機器などを正しく扱いながら調べ、それらの過程や得られる結果をわかりやすく記録している。


思考・判断・表現

①月や星の特徴について、既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想し、表現するなどして問題解決している。
②月や星の特徴について、観察、実験などを行い、得られた結果を基に考察し、表現するなどして問題解決している。


主体的に学習に取り組む態度

①月や星の特徴についての事物・現象に進んで関わり、他者と関わりながら問題解決しようとしている。
②月や星の特徴について学んだことを学習や生活に生かそうとしている。

評価計画

総時数 13時間

第1次 星の明るさや色の違いを調べる。

1 星の明るさや色について気付いたことを話し合い、問題を見いだす。

思考・判断・表現①
月や星の特徴について、既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想し、表現するなどして問題解決している。〈発言分析・記述分析〉

主体的に学習に取り組む態度①
月や星の特徴についての事物・現象に進んで関わり、他者と関わりながら問題解決しようとしている。〈行動観察・発言分析・記述分析〉

2~3 星の明るさや色の違いを調べる

知識・技能②
空には明るさのちがう星があることを理解している。

知識・技能
月や星の特徴について器具や機器などを正しく扱いながら調べ、それらの過程や得られる結果をわかりやすく記録している。〈行動観察・記録分析〉

思考・判断・表現②
月や星の特徴について観察などを行い、得られた結果を基に考察し、表現するなどして問題解決している。〈発言分析・記述分析〉

第2次 月の位置の変化を調べる。

4 半月の位置について気付いたことを話し合い、問題を見いだす。(授業の詳細①)

思考・判断・表現
月や星の特徴について既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想し、表現するなどして問題解決している。〈行動観察・発言分析・記述分析〉

5~8 半月や満月の位置の変化と時間の関係について調べてまとめる。

知識・技能
月は日によって形が変わって見え、1日のうちでも時刻によって位置が変わることを理解している。〈発言分析・記述分析〉

知識・技能
月や星の特徴について器具や機器などを正しく扱いながら調べ、それらの過程や得られる結果をわかりやすく記録している。<行動観察・記述分析>

思考・判断・表現
月や星の特徴について、既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想し、表現するなどして問題解決している。〈発言分析・記述分析〉

第3次 星の位置の変化を調べる。

9~11 星の位置や並び方は、時間が経つとどのように変わるか調べてまとめる。(授業の詳細②)

思考・判断・表現
月や星の特徴について、既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想し、表現するなどして問題解決している。〈発言分析・記述分析〉

知識・技能
星の集まりは、1日のうちでも時刻によって並び方は変わらないが、位置が変わることを理解している。〈発言分析・記録分析〉

知識・技能
月や星の特徴について器具や機器などを正しく扱いながら調べ、それらの過程や得られる結果をわかりやすく記録している。〈行動観察・記録分析〉

思考・判断・表現
月や星の特徴について観察、実験などを行い、得られた結果を基に考察し、表現するなどして問題解決している。〈発言分析・記述分析〉

第4次 冬の星

12~13 冬の星座について調べてまとめる。

主体的に学習に取り組む態度①
月や星の特徴についての事物・現象に進んで関わり、他者と関わりながら問題解決しようとしている。〈行動観察・発言分析・記述分析〉

主体的に学習に取り組む態度②
月や星の特徴について学んだことを学習や生活に生かそうとしている。〈行動観察・発言分析・記述分析〉

授業の詳細

第2次 月の位置の変化を調べる。

4 半月の位置について気付いたことを話し合う。


月の位置の変化について問題を見いだし、表現することができる。

板書例の画像①
板書例①(クリックして拡大)

 
本単元では、月や星の位置の変化や時間の経過を関係付けながら、時間的・空間的な見方をはたらかせて問題を見いだすといった問題解決力の育成を目指しています。また、既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想する力や主体的に問題解決しようとする態度を養うことを目指しています。
問題を見いだす場面では、月や星を見た生活経験や自然の事物・現象の提示から気付いたことを話し合う活動を通して、問題を見いだすようにしましょう。

①自然事象と出合う

月についてどんなことを知っていますか。

習いごとの帰り道に満月を見たことがあります。

お家に着いた時にも満月は見えましたか。

見えたけど、住んでいるマンションの近くに位置が変わっていました。

それは、見ている人が移動したからじゃないかな?

②気付きを共有する

この写真を見てください。何か気付いたことはありますか。

昼間の空に浮かぶ月のイラスト


事象を提示するときは、2つの写真を比べる活動を通して、昼間にも月が確認できることや時間によって位置が変わっていることに気付くことができるようにしましょう。

昼でも月が見えています。

昼間の空に浮かぶ月(数時間後)のイラスト

これは、同じ場所で同じ日にとった写真です。月の位置について気付いたことはありますか。

 
気付いたことを出し合う中で、時間的・空間的な見方を働かせている児童の発言をキーワードとして板書し、問題を見いだすことにつなげていきましょう。

月も太陽と同じように動くのかな。

月の形が半月ではないときはどうなるのかな。

みなさんの問題からどんなことが考えられますか。

太陽の動きを調べたときのように同じ場所で時間を変えて観察すると、月の動き方を調べることができると思います。

月が太陽と同じように動いているのならば、東から昇って南の空を通り、西に沈むのではないかな。


生活経験や気付いたことを十分に話し合うことができるようにすることで、予想や仮説を立てながら問題を見いだすことができるようにしましょう。また、既習内容を想起できるようにし、問題を解決するには、定点で時間を変えて観察することに気付くことができるようにしましょう。

③問題を見いだす


時間が経つと、月の位置はどのように変わるのだろうか。

授業の詳細②

第3次 星の位置の変化を調べる。

10 はくちょう座の位置や並び方の変化と時間の関係を調べる。


星の特徴について、観察、実験などを行い、得られた結果を基に考察し、表現することができる。

板書例の画像②
板書例②(クリックして拡大)

①問題を見いだす

星をいくつかのまとまりに分けて、名前をつけたものを「星座」と言います。わかりやすいように、星座を線で結んだものを見たことがあると思います。
1時間後に同じ場所から見ると、星はどうなっていると思いますか。

夜空に浮かぶ夏の大三角と星座のイラスト


時間が経つと、星の位置や並び方はどのようになるのだろう。

②予想する

月と同じように星も時間がたつと位置が変わると思う。

時間がたっても、星座のならび方は変わらないんじゃないかな。

では、時間を変えながら、はくちょう座を観察してみましょう。

③観察をする

 
星の観察は、家庭での観察が必要となります。家庭でも正しく観察ができるように、星座早見の使い方が身に付くように指導しておきましょう。また、夜間の観察は危険なので、保護者に観察への協力を依頼することも大切です。

④結果を処理する

星空観察レポート1枚目
星空観察レポート2枚目
星空観察レポート3枚目
星空観察レポート4枚目

はくちょう座を観察した結果について確認しましょう。

夜空に浮かぶはくちょう座のイラスト①
夜空に浮かぶはくちょう座(数時間後)のイラスト


結果を処理するために、ICT端末に観察結果を撮影して貼り付けたノートを作成することができます。ノートを集約して、多くの結果を基に考察ができるようにしましょう。


観察を記録する際にタブレットで星空を撮影するなどICTを活用することができます。しかし、星を写真に写すことは困難です。その際は、夜空を写真で撮り、ペイント機能で見つけた星座の星の位置を記すとわかりやすくなります。また、天体観察ソフト(例えば、「ステラナビゲーター」など)が販売されていますので、観察が困難だった場合はそのソフトを活用することで、星座の動きを観察することができます。

⑤結果を基に考察する

それぞれの結果から、星の位置や並び方についてどのようなことがいえますか。

時間がたつと星の位置は変わっていたよ。

星の位置は変わっても星座の並び方は変わらないね。

⑥結論を出す


時間がたつと星の位置は変わるが並び方は変わらない。


結論を導出する場面では、「結論」は「問題」に対する答えであることを子どもたちに伝えると、何を書けばよいのかイメージしやすくなります。

⑤振り返る

他の星座でも同じようなことがいえるか調べてみたいです。


次時につながりそうな発言があれば、そこを少し取り上げておくとよいでしょう。また、自ら学習したことを日常生活に当てはめて考えられている子どもを評価してあげましょう。

安全指導

夜に観察をする際は安全上、必ず大人の人と一緒に観察をするようにしましょう。

その他のポイント

おうちの方がスマートフォンをお持ちの場合は、無償の天体観測ソフトを活用して星の位置を調べることもできます(例えば、名古屋市科学館作成の「星座早見」などがあります)。

アプリを使うと、学校で学習した星座早見と同じような操作感覚で、星の位置を調べることができます。

イラスト/難波孝

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