小2算数「図を使って考えよう」指導アイデア《加法逆の減法の問題解決の仕方》

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小2算数「図を使って考えよう」指導アイデア タイトル

執筆/さいたま市立大砂土東小学校教諭・天野翔太
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫

年間指導計画 図を使って考えよう

単元の展開

第1時(本時)加法逆の減法(未知数が後に出てくる)

第2時 減法逆の加法(未知数が先に出てくる)

第3時 加法逆の減法(未知数が先に出てくる)

第4時 減法逆の減法の問題づくり

第5時 学習内容の定着及び数学的な見方・考え方の価値付け

本時のねらい

全体と部分の数量の関係に着目して、加法逆の減法の問題解決の仕方を考える。

評価規準

加法と減法の相互関係を理解し、場面を表したテープ図を基に、加法逆の減法の問題を解決することができる。(知識・技能)

本時の展開

問題
みかんが15こあります。何こか買ってきたので、ぜんぶで32こになりました。買ってきたみかんは何こですか。
みかんを買った子供

(問題を板書する)買ってきたみかんを求める式は、立てられますか。

簡単です。「ぜんぶで」という言葉があるからたし算です。

15+32だよね。

でも、計算してみると47だよ。買ってきたみかんが47個はおかしいな……。

だったら、ひき算かな。でもなんで。

「ぜんぶで」と書いてあるのに、なぜたし算ではなくひき算なのか、考えてみましょう。

学習のねらい
「ぜんぶで」となっているのに、ひき算になるわけを考えよう

見通し

図に表すと分かるんじゃないかな。どんな図に表せるかな。

お話の通りに、場面をテープ図に表してみようよ。

買ってきた個数は分からないから、□にして図に表してみよう。

自力解決の様子

A つまずいている子
・どのように場面をテープ図に表したらよいかが分からない。
・お話の通りに、テープ図に表そうとするがうまく表せない。


B 素朴に解いている子
・お話通りに、場面をテープ図に表すことができる。
・テープ図を根拠に、全部のみかんの数からはじめにあったみかんの数を引けばよいことが分かる。


C ねらい通り解いている子
・「全体」と「部分」に注目しながら、表したテープ図と式の対応関係について説明することができる。

学び合いの計画

学び合いの時間では、テープ図に表していく過程を一つ一つ確認していくことで、「全体」と「部分」の数量の関係に着目したことを言語化・顕在化し、学級全体で共有することが重要です。確認する方法としては、黒板に子供に1つずつ描いてもらう方法もありますが、子供がノートにかいたテープ図をタブレット端末を使って写真で撮り、Teamsなどのプラットフォームで共有することもできます。

解決過程も分かるテープ図を書く子供は少ないと思われます。しかしながら、「どういう順番で書いたと思う?」と問うことで、書いた過程を言葉で説明させたり、黒板に書かせたりすることもできます。

また、完成した図を見て、求めるのは図の「部分」にあたる「買ってきたみかんの数」であることを確認することで、加法と減法の相互関係を捉えさせていくことも重要です。さらに、子供の実態によっては、□を使うと、「15+□=32」とお話通りに式に表せることにふれてもよいでしょう。

今後単元を進めるにあたり、求めたいのは「全体」なのか「部分」なのかを問うことで、数量関係をしっかりと意識できるようにしていきましょう。そうすることで、数学的な見方・考え方が豊かになっていきます。

まとめでは、問題解決の結果や過程をふり返りながら、図を見てどこを求めるかを考えることで正しく立式ができたことを確認します。そのために、子供のつぶやきや素朴な問いを吹き出しで書き残したり、子供の働かせた数学的な見方・考え方を色チョークなどで強調したりした板書の工夫をすることも大切です。

ノート例

A つまずいている子

ノート例1

B 素朴に解いている子

ノート例2

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

なぜひき算になったのか、説明してください。

お話の通りに場面をテープ図に表していくと、よく分かります。

 まず、みかんが15個あるので、だいたいの長さで表します。

図表1

次に、何個か買ってきたのですが、数が分からないから□にします。この□個の分のテープを、はじめのテープにくっつけます。

図表2

最後に、全部で32個になったことが分かるように、テープ図全体を32個とします。

図表3

こうやって考えると、□個を求めるには、32個から15個を引けばいいことが分かります。

(テープ図を完成させたうえで)今回求めたいのは、テープ図のどこの部分でしたか。

買ってきたみかんの数です。分からないから□で表したところです。

図の全体ではなく、部分を求めるわけですね。今回大切だった考え方は何ですか。

「全部で」という言葉でたし算と決めつけないことです。

テープ図に表すことで、どんな計算か分かったことです。ひき算で求めるわけがよく分かりました。

学習のまとめ
全体と部分に注目して図をみると、なぜひき算になるのか分かる。

評価問題

校ていに、子どもが16人います。後から何人か来たので、ぜんいんで25人になりました。後から来た子どもは何人ですか。

子供に期待する解答の具体例

図表4

25-16=9 答え 9人

感想例

  • 私は、「全部で」という言葉があったので、たし算になると思いました。でも、場面を図に表すとひき算であることが分かりました。これからは、テープ図を使っていきたいと思います。
  • テープ図を使うと、たし算ではなくひき算になる理由がよく分かりました。

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板書例

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イラスト/横井智美

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