小学1年国語:話す聞く読む書く「4つの格差」を正す授業の工夫

小学校就学前の学習量には個人差があるものの、学校で「教えられていない子」が、「できない子」になるのはおかしなことです。いますでに格差があるとしたら、どう是正していくべきか、国語の授業の中で子どものケアについて紹介します。
執筆/兵庫県公立小学校主幹教諭・佐藤隆史

目次
「話すこと」格差にNO!
クラス全員がわかる授業をめざして
クラス全員がわかる授業。この「全員」ということを実現させるのはとても難しいことですが、私たち教師はプロとして、常に「全員」がわかることをめざして授業をしていかねばなりません。
二学期も後半、「全員」が達成できるように、日々の国語授業を今一度、見直していきましょう。
三文スピーチ
朝の会などの時間を利用して、三つの文でできたスピーチをします「いつ」「どこで」「誰と」を基本の形にして、順序に気をつけて話します。質問コーナーでやりとりさせるのもよいでしょう。また、「見たもの」を、次のように三文でヒントを与えるなぞなぞゲームにするのも楽しいです。
例えば、
①それは教室にあります。
②それは丸い形です。
③それは動いています。
いったい何でしょう。(答えは、時計)
話すのが苦手な子には、前もって教師が一緒に三つの文をつくるのを手伝ってあげて、「◯◯くん、上手に話せるようになったね!」と、みんなの前でほめてあげ、成功体験を積ませてあげることも大切です。
《勘所》
・人前で話すことを習慣化する。
・教師がお手本を示して雰囲気づくりをする。
・形式にとらわれないで、楽しむモードをつくる。

「聞くこと」格差にNO!
「聞きたい!」と思わせる話を教師がする
これが一番です。面白い話、心に響く話、怖い話、昔話・・・などのほかにも、内容はそんなに面白くなくても、教師の表現力で子どもたちが思わず集中して聞いてしまうような技術を身につけるよう、教師自身が日頃から話すことに対して意識を高くもっておくことです。「今のみなさんの聞く態度はとっても素晴らしかったですよ!」と、ほめてあげることができれば、学級全員の聞く力はアップします。
絵本の読み聞かせ
聞くことが苦手な子どもでも集中して聞く体験ができるのが絵本の読み聞かせです。図書室で、「いいな!」と思った絵本をぜひ教室で先生自身の声で読んで聞かせてあげてください。
「なぞなぞゲーム」をペアやグループで
友達のお話をしっかり聞く体験が楽しくでき、聞く力もアップしていきます。
復唱する
単に聞くだけで終わるのではなく、同じ言葉を復唱したり、伝言ゲームにしたりすると、「なんのために聞くのか」という目的がはっきりしているので意欲的に聞くことができます。
《勘所》
「聞く態度」の指導は、低学年でしっかりと指導しておくと、高学年での指導に通じていきます。
①話し手に体を向ける。
②話し手の目を見る。
③表情をつけながら(うなずく、首を傾ける、笑顔で)聞く。
このことは「傾聴」指導で、国語科だけでなく、あらゆる場面で必要なことですね。