小2国語「ふきのとう」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」京都女子大学附属小学校特命副校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「ふきのとう」です。単元の目標は「お話の様子がよく分かるように音読しましょう」です。音読につなげるために、学習場面を書き写す活動を行います。そして、場面ごとに音読の工夫を考える手がかりとなる板書の工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子

 

教材名 「ふきのとう」(光村図書)

単元の計画(全9時間)

1 全文を読み、登場人物や出来事を確かめる。
2〜6 場面ごとに音読の工夫を考える。
7・8 グループで音読発表の練習をする。
9 音読発表を行い、互いに聞き合う。

板書の基本

○学習活動を「場面を書き写すこと」と「音読につながる文章の読み方」の2つにしました。場面の区切りは、1場面を2つに分けているところもあります。それは、「書き写す」という活動の時間的配慮と学習負担にならないようにということを考えたからです。

○「学習場面を書き写す」ということを大事にしました。
「ふきのとう」の目標は、「おはなしのようすがよくわかるように音読しましょう。」です。そのためには、文章を正しく読むということを大事にしたいと考え、それにつながる文を教師が板書し、子供がそれをノートに写すという活動にしました。書き写しの過程で大事にしたのは、次のことです。

1つ目は、句読点や、かぎかっこを正しく書くことです。音読で大事にしたいことなので、特に気を付けて書かせました。

2つ目は、登場人物や出来事につながる文を書かせました。主語と述語を意識させながら「書き写し」をしました。

○2年生の始まりを大事にすることを板書で示しました。
1年生で丁寧に書くことを覚えたひらがなが乱れるのが、2年生です。そこで、1年生で覚え、習得した文字を正しく書くように、書き順やトメ、ハネなどを意識させることを言葉で説明をしながら板書しました。また、鉛筆の持ち方、書くときの姿勢など、1年生で学習したことが2年生でも大事であることを板書しながら指導しました。

板書のコツ(2/9時間目)

小2国語「ふきのとう」京女式板書の技術 板書
2/9時間目の板書

板書のコツ①  

本時の学習場面を音読し、続いて書き写しをしました。その過程で、「よいしょ、よいしょ。」が繰り返されていることを見付けさせました。また、子供が「小さなこえ」に気が付いたので、赤のチョークで囲み、音読で大事になることを説明しました。

板書のコツ②  

子供たちは、「よいしょ、よいしょ。おもたいな。」「よいしょ、よいしょ。そとが見たいな。」の音読が気に入った様子なので、音読させました。板書では、「小さなこえ」「ふんばっている」が手がかりになるように赤チョークで示しました。想像していることを声に出したい様子でしたが、どうすればよいのか理解できないようでした。

板書のコツ③  

「よいしょ、よいしょ。」の音読遊びを取り入れました。「大きい声」「小さい声」「明るい声」「怒ったように」「うれしいように」「にこにこして」「下を向いて」「上を向いて」と、いろいろな声で読むという学習をしました。

そして、板書を見ながら、「よいしょ、よいしょ。おもたいな。」「よいしょ、よいしょ。そとが見たいな。」を音読させました。それぞれの子が想像している様子が理解できる音読になりました。

板書のコツ(4/9時間目)

小2国語「ふきのとう」京女式板書の技術 板書
4/9時間目の板書

板書のコツ① 

本時の学習場面を音読しました。続いて、書き写しを通して、お話の大体を理解させました。次に、音読のしかたを考えて、1人学習として、「どのように読みたいか」をノートに書かせ、発表させました。発表したことを板書しました。

板書のコツ② 

「すまない」では、「小さなこえ」という子供の発表がありました。その理由を確認しながら、「あやまっているように」という発表を生かして板書しました。声に気持ちが入ってくるということを理解させるために、「あやまっている様子が分かるように小さい声で読みます」という発表の指導を行いました。

板書のコツ 

「くらいかんじ、小さなこえ」や「ざんねんそうに、かなしそうに」という板書は、子供の音読を聞いてからのものです。「言葉にするとどうなりますか」と前置きして、気持ちを言葉(声の大小)で表現できることを補足しました。これは、教材「ふきのとう」が2年生の第1教材であり、これから学習する「気持ちを表す言葉」につなげるためです。

 

構成/浅原孝子

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