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【小三小四国語】物語文を教材とした「深い学び」の工夫

2019/10/4

新学習指導要領のキーワード「主体的・対話的で深い学び」の中で、特にイメージしにくいのが「深い学び」です。ベテラン教師は、「深い学び」をどのように捉えて授業に臨んでいるのでしょうか。小三国語「サーカスのライオン」、小四国語「ごんぎつね」、それぞれの物語文を使った「読むこと」「書くこと」の授業について、具体的な授業の進め方を紹介します。

執筆/新潟県新潟市立上所小学校教諭・山田綾子

キツネ
イラストAC

主体的・対話的な学びを工夫する

「主体的・対話的で深い学び」は一連のものだと思いますが、この一連の学びの結果として、「深い学び」に到達することが、学習の目的だと私は考えます。つまり、主体的・対話的な学びを工夫することで、結果として深い学びが起こるようにしていくことが大切だと思うのです。

例えば対話的も、他者との対話として捉えている先生が多いように思いますが、本や資料を読み込むことも、個人内での自問自答のようなものも対話です。子供たちが自ら学ぼうとし、それらの対話の過程を通して、何かが更新され、上書きされて新たな考えや価値を得る。それこそが深い学びであり、そのような過程を、学ぶ内容に応じて工夫することが必要だと思います。

教科の本質に近づく

深い学びのもう一つの側面は、教科の本質に近づくことだと思います。国語における本質とは、例えば「読むこと」であれば、物語文で一つの叙述から考えるのではなく、いくつかの叙述を関連付けて考えていくと、登場人物の心情がより分かってくるということもその一つです。叙述と叙述を結び付けて考えることは、国語の見方・考え方にも通じることであり、そのような学びを経験させていくことが大事だと思います。

あるいは「書くこと」で、文章の書き出しの工夫といった技能も、大切な国語の学びの本質だと思います。緊張感を表現するために、敬体ではなく常体で書く、時系列ではなくあえて結末から書くといったことも重要な学びです。加えて、このような技能系の深まりは、「自分で書いたものを書き直してみると、よくなった」という手応えも実感しやすいという点があります。

また深い学びは、学びの過程にある、主体的・対話的とは異なり、子供の姿では見えにくいため、表現させることが必要です。その深い学びを顕在化させるため、元々あった力にどのような上書きがなされたのか、学習のねらいに沿って視点を示しつつ、子供自身の評価としてのふり返りを書かせることが大切だと思います。

「じんざ日記」を書かせ、学習をふり返る

3年では「サーカスのライオン」という教材がありますが、この物語はいくつかの叙述を関連付け、じんざという登場人物の気持ちの変化を捉えるのに適している作品です。

そのような心情の変化を見ていく時に、よく心情曲線が使われます。私は、じんざの気持ちを「元気度」で表すグラフを使い、0%から25%刻みの目盛りを縦軸にとり、1場面から順番に横軸にとっていくものを読みに活用しています。

そうすると、1場面は誰でもじんざに元気がないことが読めますが、2場面は男の子と出会い、じんざが次第に元気になっていきます。それを場面ごとに読みとり、三角ロジックを使って「自分の考え」「根拠(叙述)」「理由」を整理して書かせていくようにしています。その後の全体交流で、人によって元気度の%に違いが出てくると、それぞれ自分の読みを説明していくため、よりていねいに叙述を結び付けながら読み込んでいくことになります。

これを場面ごとに続けていくと、3場面ならば、「もうねむらないでまっていた」「目がぴかっと光った」「火の輪を五つにしてくぐりぬけてやろう」等の叙述を結び付けながら、説明していくことになります。

その一方で1場面には、この表現と対比的な、「一日じゅうねむっていた」「目も白くにごってしまったよ」「二本でも三本でも、もえる輪の中を」があったことに気付くでしょう。そしてこれらを関連付け、対比して読むと心情の変化が分かるということを、子供たちに意識付けていくのです。

加えて、このような学びを自覚化させるため、私は授業の最後に、じんざになりきって心情を書く、「じんざ日記」というものを書かせます。その日記を書く過程で学習をふり返り、友達から学んだことも含め、学習を整理していくわけです。

「サーカスのライオン」の心情曲線
「サーカスのライオン」の心情曲線
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選択型の問いにすることで読みを深めていく

4年の教材では、「ごんぎつね」が全国で使われていると思います。この作品も、いくつかの叙述を関連付けて読むと深く読める作品です。

例えば「一人ぼっちの小ぎつね」「一人ぼっちの兵十」とありますが、この叙述を関連付けて読むと、ごんが同じように一人ぼっちになった兵十に心を寄せていくことが見てとれます。

そのような読みを進めていく時、「AかBか」選択型の問いを投げかけることも効果的です。全文を読んだうえで、「ごんは幸せだったか、不幸せだったか」と問い、それぞれの支持派に分かれて対話をしていきます。その時も、互いがそう考える根拠となる叙述と理由を示し、三角ロジックで整理し、自分の考えを説明します。

こうした選択型で読んでいく時には、黒板も左右で分け、それぞれの支持するほうにネームプレートを貼り、相手の意見を聞いて考えが変わったら、ネームプレートを貼り替える「ブラックボード・サーフィン」を行ったりします。そうやって、何人の子供が動いたか可視化されることで、説得力のある根拠と理由というものが明らかになっていきます。

そうすると、「僕の考えで多くの子が考えを変えてくれた」という喜びもあるし、「自分たちの考えに同意する人数が増えるよう、より詳しく読もう」という、主体的な読みを生む仕掛けにもなります。

もちろん、根拠や理由をより明確にしながら対話的に学習が進むことにもなります。

そのようにして、「分かり合えた幸せ」「分かり合えたけれども、ごんが死ぬ」という、友達との読みのズレを可視化し、選択型にすることで読みを深めていくのです。

「ごんぎつね」の選択型授業の板書
「ごんぎつね」の選択型授業の板書
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取材・文/矢ノ浦勝之

『教育技術小三小四』2019年10月号より

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