オルゴールの音をデカくする方法【土作先生ミニネタ動画】
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【知っているか知っていないかで大違い! ツッチー先生のミニネタコーナー】第13回
授業ミニネタの達人・土作彰先生が、理科の授業を楽しくするネタを紹介します。子供たちに手回しオルゴールの微かな音を聞かせた上で、身の回りのものを使って音を大きくする方法について考えさせます。学級の雰囲気を盛り上げつつ理科への興味を引き出し、「音の性質」についての探究的な学びへとつなげます。
目次
今から鳴らすオルゴールの音、聞こえる? 聞こえない?
楽しい理科実験をご紹介します。
今回、紹介するのはコレです。…なんでしょう?
![「回しオルゴール」](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2022/09/8ae8476dd1cb53258c15371de2825f86-1024x575.jpg)
『手回しオルゴール』です。
子供たちに「これは手回しオルゴールといって、手で回して鳴らすオルゴールなんだよ」という話をしたあとに……
「問題です! 今から先生が、オルゴールを手で回します。鳴る音がよく聞こえると思いますか?」と聞きます。
![Q.鳴る音がよく聞こえるでしょうか?](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2022/09/4dfb8d50c82e550677109bd0df1aa047-1024x573.jpg)
「よく聞こえる」の基準がわからないので、たとえば、「一番うしろの席にいる君がこの曲が何の曲か、だいたいのメロディーがわかったら『よく聞こえた』ととらえます」などとします。
「今から先生が回しますが、よく聞こえると思う人? あまり聞こえないと思う人?」
と聞いてみます。できれば、なぜそう考えたかの理由を聞いてください。
聞こえるという子は、「オルゴールだから、楽器だから聞こえるに決まっている」と言うし、
聞こえないという子は、「小さいから、遠いから鳴らないよ」と言ったりします。
それも非常におもしろい議論になるので、ぜひ意見を出させてみてください。
すべて認めてあげたらいいと思います。
意見がちゃんと言えたね、と言って褒めてあげましょう。
なにー!? どういうことやねん!!
では回します。
……ほとんど聞こえません。
「なにー!? オルゴールやのに聞こえへん! どういうことやねん!!」
![なにー!?](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2022/09/ec7400370c25f89a53d244b3666e28f7-1024x575.jpg)
となりますが、子供たちに聞きます。
「これ、オルゴールだけ回しても音はよく聞こえない。でも、あることをすると音がよく聞こえるようになります。どうしたらいいと思いますか?」
こういうことやねん!!(音の仕組みを解説)
…はい、紙コップを用意しました。
この紙コップの裏にオルゴールをぴったり密着させます。
この状態で回してみましょう。
![紙コップの底にオルゴールをぴったり密着させる](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2022/09/0a06ecff09d3cb0dc7207d1a9e86fe98-1024x580.jpg)
……なんと! よく聞こえます!!
音は、空気を振動させて伝えていくものですが、振動だけでは弱いんですね。
振動を大きくすることを「増幅」といいますが、底面に密着させることで、カップ本体とカップに接している空気分子が振動するので、音が大きく聞こえるようになります。
「振動」+「振動を増幅させるもの」があって音はよく聞こえるんだよ、という話をします。
![振動+振動を増幅させるものがあって](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2022/09/130398169f3381070e446e1f844cca7b-1024x575.jpg)
クラスでおすすめの実践法
たとえば、6つくらいの手回しオルゴールを用意しておき、各グループに1つずつ渡します。
![例えば6つくらい購入して各グループに一つずつ与える](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2022/09/a77b2ee0f90b7ac3025b95166266b277-1024x584.jpg)
「教室や学校中を回って、どんなものが音がよく鳴るか、鳴らないかを調べてきてごらん!」
というようにすると、子供たちはいろいろなところにくっつけたりして音を鳴らし、楽しんで学ぶことができます。
例①身近にある「机」
たとえば、身の回りにあるものなら、机。机に付けて回すと聞こえます。
机に接している空気全体が振動しているから、音がよく聞こえます。
接している面積が大きければ大きいほど、たくさんの空気分子を振動させることができるので、よく響きます。
例②少し大きめの「プラスチックケース」
プラスチックケースも、紙コップと同様に、オルゴールを密着させると音が響きます。
例③面積の大きな「黒板」
教室にある大きなものだと、黒板。きれいに拭いて、子供たちに黒板に耳を当てさせ「聞こえたら手を挙げてね」などとやってみると、メチャクチャ音がよく響いていることに気づきます。
黒板の端で振動させても、反対側の端までよく聞こえます。それは、オルゴールが黒板全体を振動させているからですね。
そして、「黒板に接している空気分子が全部振動して、周囲の空気に伝わり、みなさんの鼓膜に響くから音は聞こえるんだよ」と伝えます。
手回しオルゴールは、日本全国にあるオルゴールセンターや、風光明媚な場所に旅行に行くと見かけるオルゴール館などで入手できます。
1つ500円〜1000円くらいです。通販でも売っています。
ぜひ、お買い求めの上、実験してみてください!
![※日本全国にあるオルゴールセンターまたはオルゴール館や通販で買えます!](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2022/09/8c423386dcd075c13d116f99381f89a8-1024x574.jpg)
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音が鳴るはずのものが、鳴らない……ここから子供たちの頭の中はフル回転です! 空気中の分子、その振動など、音が聞こえるメカニズムを体感をもって学ぶことができる今回の理科実験は、もはや校内探索のアクティビティのようですね。手回しオルゴールが入手できたら、みなさんの学級でも取り入れてみてはいかがでしょう?
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![土作彰教諭](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2020/05/d5ad1b56c29d783cda8deb6e76b29f3b-289x300.jpg)
土作彰(つちさくあきら)●1965年生まれ。奈良県公立小学校教諭。「学級づくり」改革セミナー主宰。『マンガでわかる 学級崩壊予防の極意: 子どもたちが自ら学ぶ学級づくり』(小学館)、『知っているだけで大違い!授業を創る知的ミニネタ45」(黎明書房)他多数。