小3算数「大きい数のしくみ」指導アイデア《大きな数の読み方の工夫》
執筆/神奈川県横浜市立山下みどり台小学校教諭・渡邊将道
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、島根県立大学教授・齊藤一弥
目次
単元の展開
第1時(本時)大きな数の読み方の工夫
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第2・3時 万進法を基にして、10000より大きい数の読み方や書き方、表し方
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第4時 数直線を用いた10000より大きな数の並び方
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第5時 1000や10000を基にした計算のしかた
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第6時 数の構成や相対的な大きさに着目した、いろいろな表し方
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第7・8時 整数を10倍、100倍、1000倍した数や[MATH]\(\frac{1}{10}\)[/MATH]した数を観察し、十進位取り記数法のしくみについて考える
本時のねらい
大きな数を読む活動を通して、記数法や命数法についての理解を統合・拡張する。
評価規準
数の構成や仕組みに着目し、万の単位を用いた数の仕組みについて類推して考え、大きな数の表し方を統合的に捉え、説明している。
本時の展開
今日の日直さんは、3年1組27番です。この数字はどう読みますか。
3と1と27です。
こう書くと……。(数字を横に並べて、「3127」と書く)
3127!(三千百二十七!)
なぜ急に読み方を変えたのですか。
並べて書くと、千の位に3、百の位に1、十の位に2、一の位に7という意味になるからです。
読みを漢数字で書いてみると……、三一二七。
それはだめです。単位を付けないとだめです。
分かりました。読みのときには数字の次に単位を付けないといけないのですね。いくつ分の数字の後に単位を付けると……、三千百二十七一。
一はいりません。最後の一は付けません。
本当にいつも「一」は読まないのですか。ちょっと、ほかの数字でも見てみましょう。(3128と3129)
やっぱり「一」は読んでいません。
「千」「百」「十」は全部読んでいるのに。
ところで、この3とか7は何を表していますか。
それぞれの位にある数のことです。3は千がいくつ分かを表しています。
でも、百の位の「一」も読んでないよ。
本当だ。一つ分の「一」が読まれていない。
「一」は読まなくても分かるから、分かることは書かないようにしているんじゃないかな。
では、1ばっかりの数で考えてみましょう。例えば1111は……、千百十一。
あれ、「一」を読んでいる。
「一」は読まないはずなのに。
その「一」は読まないとだめな「一」なんだよ。
なんで読んだり、読まなかったりする「一」があるのかな。
「一」じゃないけど、僕の出席番号にも読まない数があります。僕の番号は3107。三千百七だから、百の位の「一」だけじゃなく、十の位の「零」も読んでいません。
数字通りに読むと、三千百零七って読まないといけないのに、十の位を読んでいない。
私の3130も、三千百三十だから一の位は読んでない。
読むときと読まないときの理由を考えよう。
いろいろな発見がありますね。見付けたことを少し確認します。
・読む「一」と、読まない「一」がある。
・いくつ分が「れい」のときは何も読まない。
なんで、こんな読み方をするようになったのかな。
なるべく楽に読めるようにしたんだと思う。
それなら、いつも読まなければいいのに。
なんで、読むときと読まないときがあるのかを考えてみよう。自分や友達の出席番号を例にして、説明してみよう。
記数法や命数法について発見したこと、新たに気付いたことに関心を持ち、その視点から改めて数について見つめ直し、理解を深める。
自力解決の様子
A 「一」に着目して考えている子
同じ「一」でも、いくつ分を表しているのか、位を表しているのか考えている。
B 「零」に着目している子
読むときと読まないときを並べて書いて、比較しながら考えている。
C さらに深く考えている子
「なぜ、読まなくても分かるのか」という点についても、考えることができている。
学び合いの計画
数の記数法、命数法は、小さい頃から自然と子供たちは見たり聞いたり使ったりしているため、授業の中で扱ったときに、意欲的に取り組ませることが難しいと感じることがあります。
イラスト/横井智美