小4らくらくUnit 2「Let’s play cards.」①【モトヨシ先生のスライドde外国語活動】
ゆたかな言語活動を行うためにICTを活用した授業が求められる外国語活動。しかし、様々なツールや教材を切り替えながらでは、手惑う場面もしばしばでしょう。本好利彰先生がこれまでの授業で作成してきたパワーポイント(スライド)教材は、これひとつ、授業の導入から終末までモニターに映すだけで授業を組み立てられる”お助け教材”です。「モトヨシ先生のスライドde外国語活動」で外国語活動の授業を、らくらくクオリティアップ!
今回は、Let’s Try! 2 Unit2「Let’s play cards. すきな遊びをつたえよう」の第1時のらくらく授業の進め方です。
執筆/福島県公立小学校教諭・本好利彰
監修/拓殖大学准教授・居村啓子
目次
スライドは学級の実態にあわせて修正して使いましょう
小学校4年生の「Let’s Try! 2」のUnit2「Let’s play cards. すきな遊びをつたえよう」全3時の1時目の授業の流れです。本時も、私が作成したパワーポイント(スライド)を使った授業を紹介します。学級の実態に合わせて修正し活用してください。
パワーポイント(スライド)を使った授業の進め方
この記事の最後で、パワーポイントのファイルをダウンロードできるようになっています。必要な教師の発話やイラスト、音源などを挿入してあり、この資料を使うことで1時間の授業を行うことができるように作成してあります。このスライドを活用して、クリックしながら授業を進めてみてください。
- クリックでスライドを進めるだけで、スムーズに授業を行えます。
- デジタル教科書を使用する場合は、パワーポイントから切り替えてください。
目標と授業の流れ
【目標】
天気の言い方に慣れ親しもう。
〇世界と日本の遊びの共通点と相違点を通して、多様な考え方があることに気付くとともに、さまざまな動作、遊びや天気の言い方、遊びに誘う表現に慣れ親しむ。(知識及び技能)
〇好きな遊びについて尋ねたり答えたりして伝え合う。(思考力、判断力、表現力等)
〇相手に配慮しながら、友達を自分の好きな遊びに誘おうとする。(学びに向かう力、人間性等)
【言語材料】
◎How’s the weather? It’s [sunny / rainy / cloudy / snowy]. Let’s (play cards). Yes, let’s. Sorry.
○天気(weather, sunny, rainy, cloudy, snowy)
○状態・気持ち(hot, cold)
○動作(stand, sit, stop, jump, turn)
○身体の部位(hand, leg)
○遊び(tag, jump rope, bingo, game), outside, inside,
○衣類(shirt, shorts, sweater, pants, boots, cap)
[既出]挨拶・自己紹介, I like (blue). Do you like (blue)? Yes, I do. / No, I don’t. What (sport) do you like?
- 挨拶
- サイモンセズ
- じゃんけんゲーム(引き算、かけ算)
- ティーチャーズトーク
- ジェスチャーゲーム
- デジタル教科書P6 Let’s Watch and Think①
- キーワードゲーム
- デジタル教科書P8 Let’s Listen!①
- デジタル教科書P8 Let’s Listen!②
- ふりかえり
各活動の流れ
①挨拶
②サイモンセズ
授業開きやUnit 1で行ってきたサイモンセズです。ウォームアップとして短時間で行いましょう。
③じゃんけんゲーム(引き算、かけ算)
前時にやったことと同じですので、実態に合わせてデモンストレーションを児童と行ってやってみるとよいでしょう。前半に引き算、後半にかけ算を行いましょう。かけ算は初めて行うので必ずALTとデモンストレーションをしましょう。
ここで大事なことは「次はかけ算だよ」とは言わずにデモンストレーションで理解をさせるということです。つまり推測させることです。例えば
5(パーで5と分かるようにジェスチャー)
2(ピースで2と分かるようにジェスチャー)
10! I am the winner. I am the champion! Let’s do it one more time!
このような形で2、3回同じことを繰り返します。この段階で理解している児童としていない児童がいるので、教師が「何算だと思う?」と聞くと、児童は「かけ算!」と答えます。今度はかけ算と共通理解できたところで次のデモンストレーションを見せます。
グー=0、指1本=1はデモンストレーションの最後の方で、使わないと共通理解を図るとよいです。(もちろん、あえて指導しないで活動し、どうやったら簡単に勝てるか考えさせるのも方法の1つでしょう)
0(グーで0と分かるようにジェスチャー)
2(ピースで2と分かるようにジェスチャー)
0! I am the winner. I am the champion! Let’s do it one more time!
このような形で2、3回同じことを繰り返します。教師は少し演技をして、目をつぶって What’s the number 1,2,3! と演技しても簡単に勝てるよという演技をします。また1を出してすぐに相手の指の数を言って常に勝つというデモンストレーションも行ってもよいでしょう。「なるほど~」と反応する児童や、笑いながら笑顔でその演技を見ている児童もたくさんいると思います。
④ティーチャーズトーク
How’s the weather today?(窓の外に視線を向けて)
It’s(その日の天気)today.(外の天気を確認しながら)
Which picture is a cloudy card?(黒板に貼っている4枚の天気カードを指しながら)
児童に推測させてカードをタッチさせるとよいでしょう。
⑤ジェスチャーゲーム
指導者や代表者と同じジェスチャーを児童がしてしまうとゲームオーバーという単純な活動です。児童も喜んで意欲的に行える活動です。天気(晴れ、曇り、雨、雪)のジェスチャーは以下のようにしましたが、自由に変更してオリジナルなジェスチャーを児童と考えてもよいでしょう。
何度か Let’s say it together. といい、天気の聞き方や答え方を練習してからジェスチャーゲームを行うとよいと思います。
<やり方>
- 代表者(教師)と児童全員で“How’s the weather?”と言います。
- 手拍子を2回(パン・パン)叩いたら、一斉に“It’s sunny(rainy / cloudy / snowy).”と、自分が選んだ天気を言い、同時に天気のジェスチャーをします。
- 代表者と同じジェスチャーをした児童は負けです。負けた児童は座ります。
- 1~3をくり返します。
ポイントは、全員で How’s the weather? と指導者(代表者)に聞くことと、天気のジェスチャーをする時に(It’s sunny.)などと言わせることです。ゲームをうまく活用しながら児童が表現に慣れることができるようにしましょう。
私の場合は、だいたい3回繰り返して終わりにします。最後の一人までやり始めると、そちらに気がいってしまうので、8人程度残っていても、その児童達を Very good, you are the champions. とほめてリズムよく進んでいくほうがよいでしょう。ゲームにフォーカスし始めるとマイナスの雰囲気になることもあるので、3回程度がよいと思います。また、指導者が一度終えたら、今度は児童を代表者にするといいでしょう。Any volunteers? Raise your hands! と聞くとよいでしょう。
ここで、言語活動について簡単に記載しておきます。指導書などで言語活動を行う、言語活動を充実させる等の文言を見ることがあると思いますが、このようなジェスチャーゲームのような活動は、言語活動とは言い難いです。言語活動とは、自分の伝えたいことや自分のことを他者に伝える活動を言います。簡単なゲーム形式な活動は、言語活動に向けてのアクティビティー、練習試合などとして捉え、それだけで単元や授業が終わってしまわないように注意する必要があります。ジェスチャーゲームのようなアクティビティーをうまく活用しながら、単元のゴールでどのような力を身に付けさせたいか常に考えながら授業を構成することが大切となります。
イムラ先生の〈ココがポイント!〉
Non-verbal Communication
一般にコミュニケーションは、言語よりも非言語で行う比率の方が高いと言われています。レイ・L・バードウィステルという研究者は、ことば以外の要素で、気持ちや感情などの情報を伝え合う比率は約65%から70%であると主張しています。非言語要素の中には、ジェスチャーはもちろんのこと、顔の表情や目線、姿勢、声の調子、距離感なども含まれます。英語の理解を助けるこれらの非言語の要素は日本人にとって、やや苦手なものとも言えるかもしれません。繰り返し練習させましょう。ジェスチャーなどが上手に使えると、表現力がより豊かになり、相手に自分の気持ちが通じやすくなることを伝えましょう。
⑥デジタル教科書P6 Let’s Watch and Think①
デジタル教科書の映像をすぐに見せるのではなく、まずは音声で聞かせて巻末のカードを活用して隣の友だちと天気と遊びのカードのペアを考えさせるようにしましょう。映像を最初から見せると児童は映像に目がいってしまい、音声を聞こうとする意欲が減ってしまいます。また、順番も工夫するとよいでしょう。play tag などはむずかしいので選択肢が限られる最後にするなど難易度順にすることも児童への支援となります。
<指導書順>
① I’m in Hokkaido. It’s snowy. It’s very cold. Let’s make a snowman!
② Hi, it’s cloudy here. Let’s play tag in the playground!
③ Oh, it’s rainy. Let’s play cards in the classroom.
④ Hi, it’s sunny here. Let’s go outside and play dodgeball. I like dodgeball very much.
私の場合以下のようにします
① I’m in Hokkaido. It’s snowy. It’s very cold. Let’s make a snowman!
④ Hi, it’s sunny here. Let’s go outside and play dodgeball. I like dodgeball very much.
③ Oh, it’s rainy. Let’s play cards in the classroom.
② Hi, it’s cloudy here. Let’s play tag in the playground!
リスニング毎に天気と遊びのペアを確認するといいでしょう。<音声を聞く→ペアを確認する→映像を見る>という流れで進めていきましょう。例えば②のペアを確認したら、教師が I like dodgeball. Do you like dodgeball? など児童と簡単なやりとりをするとよいでしょう。Let’s play dodgeball today! とこの単元の表現を意図的に使ってもいいと思います。また、日本で行う遊びや海外での遊びの共通点や相違点を発表させるのもよいでしょう。
⑦キーワードゲーム
児童に8枚のカードを配り、表向きでシャッフルさせます。キーワードのカードを先に取った方が勝ちです(カードはパワーポイントといっしょにダウンロードできます。教科書の巻末のカードを使うこともできます)。
あらかじめキーワードとなる天気や遊びを決めて、黒板に板書しておきます。キーワードとなる表現を決めたら、黒板を使うならキーワードの表現を赤で囲ったりすると視覚的にも児童は理解しやすいと思います。
新しい活動を導入する時は、ALTや児童とデモンストレーションを実際に見せることがお勧めです。実際の活動をそのまま見せることでだいたいの活動を児童に理解させることができます。児童とデモンストレーションを行う場合は、事前に教師と児童で練習しておくとよいでしょう。キーワードゲームのポイントは、キーワード以外の単語は必ずリピートをさせることです。
Cloudy!
Cloudy!
(児童にリピートするようにジェスチャーする)
Play cards!
Play cards!
Sunny!
児童はキーワードが聞こえたらカードを取ります。先にカードを取れた方が勝ちとなります。
You can keep the card with you. O.K. Next keyword is….
と同じ要領で進めていきます。
キーワードゲームは数字に限らず他の単元のどの単語でも活用できます。1時目なので単語ベースで行うとよいと思います。2時目のキーワードゲームでは、文で It’s sunny. のように行うとよいでしょう。ただ実態に応じてと考えると、児童の活動の様子を見て指導者の判断で1時目から文で行ってもOKです。
⑧デジタル教科書P8 Let’s Listen!①
Let’s say it together. と言って天気の表現や遊びの表現を確認してから行うとよいでしょう。答えの確認も、1問ずつでも全部終わってから一斉にやるのもよいでしょう。実態に合わせて行ってください。
⑨デジタル教科書P8 Let’s Listen!②
ここでは、天気と衣類について聞いて、線で結ぶ活動を行います。まずは、衣類についてこれまでの授業では、触れてきていないので、簡単に児童に単語をタッチさせて確認するとよいでしょう。
Open your textbook to page 8. Now please touch the words.
Touch the red cap.
※ALTがいればALTにデジタル教科書の画面をタッチさせるとよいでしょう。
もちろん授業の進度や実態に合わせてWhat’s this?と児童とやりとりしながら、衣類の単語を確認していく指導法もあります。
1問目では、Look, it’s sunny today. Put on your cap. No, not the brown one. Put on the red cap. となっていて、私の経験上、否定文もあり児童が難しさを感じます。教師は、ジェスチャーで×をするなど視覚的に支援するとよいでしょう。
同じ要領で2、3、4問目まで進めてみましょう。
ここで工夫できる発問は、例えば雨の日のブーツのリスニングの後に教師は「なんで黒じゃなくて黄色のブーツなのかな?」と聞いてみるとよいでしょう。児童は「雨だから黄色の長靴のほうがよいから」と発言するでしょう。ちょっとした発問ですが、なぜ?ということを問うと生活経験から想起してリスニングに取り組むようになります。すべての問題で聞くのではなく適宜、児童の様子を見て行うとよいと思います。
⑩ふりかえり
本時の授業内容を振り返り感想を書かせましょう。時間がない場合は、窓の外を見させ How’s the weather today? と聞き、児童が It’s sunny. や Sunny. などと答えて終わる授業があってもいいかもしれませんね。
居村啓子(いむらけいこ)
拓殖大学外国語学部英米語学科准教授。言語学博士。児童図書出版社、児童英語教育機関勤務、立教大学異文化コミュニケーション学部助教、上智大学言語教育研究センター嘱託講師を経て現職。2020年よりNHKラジオ「小学生の基礎英語」講師を務める。研究テーマは「子どもの第二言語習得」、「フレーゾロジー」。
本好利彰(もとよしとしあき)
福島県公立小学校教諭。福島県小学校・中学校・千葉県小学校教諭を歴任。また地区外国語教育推進リーダーを務める。2018年より拓殖大学外国語学部で「小学校英語教育入門」を担当。2021年東京書籍アドバイザー。
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構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ アニメーション/鶴岡信治