小二道徳「およげない りすさん」パペットを使ったショートストーリーで関心を持たせる
道徳の研究に力を入れている小学校へ文部科学省の浅見哲也教科調査官にご同行いただき、その授業実践をご紹介するルポ。今回は東京都荒川区立峡田小学校です。
目次
教材
教材名:「およげない りすさん」(文部科学省)
主題:仲よく助け合う 〈B友情、信頼〉
導入
本時のねらい
友達と仲よく活動し、 互いに助け合っていこうとする心情を育てる。
1 教材の内容に興味や関心をもつ
ショートストーリーを視聴します。パペットを使ったショートストーリーにより、日常の遊びなどの場面を想起させ、ねらいとする価値への導入を図ります。
展開
2 教材「およげないりすさん」のデジタル紙芝居を視聴して話し合う
机の配置をコの字型にして見やすさと安心感を与え、自作のデジタル紙芝居によって教材文への関心を高められるようにします。
発問
りすさんに「ぼくもいっしょにつれていってね。」と言われたとき、かめさんたちはどんなことを考えたでしょう。
子供たちの発言
みんなで遊びたいから、うれしい。
心配。
りすさんは泳げない。
発問
島で遊んでいるとき、かめさんやあひるさんや白鳥さんは、どんな気持ちだったでしょう。
子供たちの発言
3人だと楽しいけど、りすさんがいたらもっと楽しい。
つまらない→りすさんがいたらいいのに。
子供たちが 「考えてみたい 」 という気持ちを引き出し、自分の言葉にできたらよいと思って、役割演技を取り入れました。「 自分もやりたい 」と思うように簡単な小道具を作りました。 子供たちは興味をもって自分たちの言葉で語ったと思います。
浅見先生の花まるポイント
「最初の島に行ったとき「どうして楽しくなかったのでしょうか?」と発問したくなりがちですが、楽しいかどうかは子供たちが決めることです。その言葉を使わなかったことによって、子供たちは自分の体験を想起して考えられるようになったのがよかったですね。 」
中心発問
島にみんなで向かったとき、りすさんと、かめさんやあひるさんや白鳥さんは、どんな話をしたでしょう。
島に向かうときの役割演技を行います。
3 自己を見つめる
自分自身をふり返ることを通して、友達と仲よくすることのよさや大切さを考えます。
発問
友達っていいなと思うときはどんなときですか?
ワークシートに書かせ、電子黒板に映して多様な考えを共有します。
終末
4 教師の説話を聞く
仲よく助け合おうとする子供たちの考えが高められるようにします。
子供たちのワークシート
ともだちがいてあんしんする。
けがをしたらほけんしつにつれていってくれる。
さそってくれるとき。
たすけてもらってうれしい。
いっしょにあそんでくれる。
文部科学省教科調査官 浅見哲也先生からのアドバイス
実物に近い状況を設定すると、素直な気持ちや考えを表現しやすくなる
授業の導入では、パペットを使って本時のねらいに関わるショートストーリーを演じ、子供たちの興味を引き付け、問題意識をもたせていました。低学年では教科書だけでなく、実物に近い状況を設定すると、子供は素直な気持ちや考えを表現しやすくなるものです。鈴木先生手作りの教材や教具の工夫が子供たちの豊かな心を育てているようにも思えました。また、二人の子供の発言を聞いてから本時の学びをふり返るための書く活動に入るなど、子供たちへの配慮の行き届いた授業でした。
取材・文・構成/浅原孝子 撮影/北村瑞斗
『教育技術 小一小二』2021年8/9月号より