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小3道徳「ドッジボール大会」指導アイデア

使用教材:ドッジボール大会(教育出版)

執筆/埼玉県公立小学校教諭・井上智仁
監修/前・埼玉県公立小学校校長・藤澤由紀夫、文部科学省教科調査官・浅見哲也

授業を展開するにあたり

新聞報道で、スイスの研究機関「世界経済フォーラム」が発表した男女格差に関するランキング(2019年版「ジェンダー・ギャップ指数」)について取り上げられていました。日本は153か国中121位という結果で、過去最低の順位というものでした。

男女の格差については、SDGsへの取組においても毎年のように日本の重要課題として挙げられており、その改善がなかなか進まないのが現状です。この大きな要因の一つに、男女の在り方に対しての私たちの無意識の思い込みがあるかと思います。

今回扱う「ドッジボール」という教材は、「性別で決めつけるのはよくない」「男女で力を合わせることが大切」などを指導できます。しかし、今回はもう一歩進めて、LGBTQの問題にも触れようと考えました。

それは、性的マイノリティの問題が児童にとって無縁ではないことと、性の多様性を切り口に社会にはさまざまな感じ方、考え方をする人がいることに気付かせることができると思ったからです。

また、自分たちが当たり前と思っていることが差別や偏見を生んではいないか、ということに思いをめぐらせてほしいとも考えました。そして、「誰に対しても差別や偏見をせずに接していこう」「差別や偏見をなくすためには何が大切なのか」という、人としてよりよく生きていくために不可欠な心を育むことをめざして授業を展開しました。

展開の概略

⑴「世界経済フォーラム」が発表したランキング結果について考える

「男女の格差に関するランキング」の日本の順位を知るとともに、自分の身の回りで不平等だと感じたことやそのときの気持ちについて考え、問題意識をもたせる。

⑵教科書教材「ドッジボール大会」で考える

①しゅうへいの作戦への思いや女子の気持ちについて考え、話し合う。
・お互いの思いを考えることで、問題の根底にしゅうへいの偏見があることを捉える。

②スピードボールをキャッチしたありさの姿を見たときの気持ちを考える。
・ありさの活躍を見てからみんなに話すまでの間、しゅうへいが考えたことを押さえる。

③試合後、しゅうへいが言った言葉を考える。
・自らの偏見に気付いたときの気持ちや公正、公平に接することの大切さを考える。

⑶性の多様性について触れる

絵本『くまのトーマスはおんなのこ ジェンダーとゆうじょうについてのやさしいおはなし』(ポット出版プラス)を紹介し、人の感じ方、考え方の違いや公正、公平に接する大切さを感じ取る。

⑷ワークシートに学習したことをまとめ、よりよい生き方への考えを深められるようにする

▼ワークシート

▼資料1

資料1

教材の登場人物などの置かれた立場などを条件・情況として整理して提示することで、教材の中で描かれる性差や偏見という問題に学級全体が気付けるようにする。

▼資料2

資料2

絵本を読み、偏見をもったりすることの弱さや公正・公平に接することの大切さをより実感できるようにする。

実際の授業展開

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