小5算数「割合とグラフ」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・原諒太
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫
目次
本時のねらいと評価規準
(本時の位置 4/8時)
問題場面
複数のグラフから、割合や実数値を読み取り、データの特徴や傾向について説明することができる。
評価規準
データの特徴や傾向を読み取り、問題に対する結論を自分なりに考え説明している。
問題
20年前と今の、好きな給食のメニューについて学校全体で行ったアンケートの結果を示したものです。


好きな給食のメニューの20年前と今を比べてどんなことがわかりますか?
どちらもカレーライスとラーメンが人気です。
カレー好きな人数が半分くらいになってる。
ラーメンの人数もだいぶ減っているね。
カレーライスやラーメンの好きな人が、20年間でずいぶん減っているんだね。
確かに20年前と比べると、カレーライスやラーメン好きな人が減っているんだね。
でも、本当に減っていると言ってもいいかな?
それぞれのメニューの人数も減っているけれど、合計の数も減っているからなぁ。
20年前は650人、今は400人になっているよ。
合計の人数が違うから、人数を比べただけでは分からないね。
では、好きな給食のメニューの変化の様子をどうしたら比べられるかな。
全体の人数をもとにして、それぞれのメニュー別の人数の割合を求めればいいと思います。
帯グラフや円グラフに表せば見やすくなると思います。
本時の学習のねらい
それぞれの人数を割合の表やグラフに表し、読み取ったことを説明しよう。
合計の人数が違うから、割合で比べるといいんじゃないかな。
それぞれのメニューの割合を求めて比べてみよう。
それぞれのメニューの割合をグラフに表してみよう。
自力解決の様子
A つまずいている子
20年前と今の人数の差で比べて考えていて割合で比べられない。
B 百分率を用いて比べる子
それぞれのメニューの割合を求めて、百分率で比べている。
C グラフに表して比べる子
割合のグラフに表し、傾向を読み取り、説明することができている。
人数を表している部分に着目してしまう児童がいる中で、割合と関連づけて比べることが大切です。導入では、各項目の人数が減っていても、全体の人数が違うと本当に減っていると言ってよいか投げかけ、全体の人数が違うので、数だけでは比べることができないことを確認し、割合の表やグラフに表せば傾向をつかむことができることに気づかせていきます。本時では、人数と割合の両面を用いて比べ、傾向を読み取ることができるようにします。
本時の子どものノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

表やグラフを読み取って気づいたことはありますか。
どちらもカレーライスはラーメンの2倍以上の割合になっています。カレーライスの人気はすごいと思いました。
でも、カレーライスは人数も減っていて割合で比べても6%減っています。人気が少し落ちたのかな。
ラーメンは、人数は減っているけれど割合で比べるとどちらも20%なんだね。
あげパンは人数は減っているけれど、割合では今の方が多くなっているよ。パンが好きな人が増えたんじゃないかな。
全体の人数が違っていても、割合で比べるといろいろなことが分かるんだね。
学校栄養士の先生に伝えると、献立作りに役立つかもしれないね。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
全体の人数が違っても、割合の表やグラフで表して確かめることで、いろいろなことが読み取れる。
評価問題
20年前のやきそばと今のハンバーグの人数について、下のこうたさんの考えは正しいですか。正しくないですか。ことばや式を使って、その理由を説明しましょう。
割合もだいたい同じなので、人数もだいたい同じになっていると思います。
子供に期待する解答の具体例
・正しくない。
20年前 650×0.06=39人
今 400×0.07=28人
割合がだいたい同じでも、全体の人数が違うので、人数もだいたい同じとは言えない。
感想例
- 全体の人数が違っていても、それぞれのメニューの割合で比べることができた。
- グラフで表すと違いが見やすく、いろいろなことを一目で比べられることが分かりました。
イラスト/横井智美
『教育技術 小五小六』 2021年1月号より