小3らくらくUnit 6「ALPHABET」③【モトヨシ先生のスライドde外国語活動】
ゆたかな言語活動を行うためにICTを活用した授業が求められる外国語活動。しかし、様々なツールや教材を切り替えながらでは、手惑う場面もしばしばでしょう。本好利彰先生がこれまでの授業で作成してきたパワーポイント(スライド)教材は、これひとつ、授業の導入から終末までモニターに映すだけで授業を組み立てられる”お助け教材”です。「モトヨシ先生のスライドde外国語活動」で外国語活動の授業を、らくらくクオリティアップ!
今回は、Let’s Try! 1 Unit 6「ALPHABET~アルファベットとなかよし~」第3時のらくらく授業の進め方です。
執筆/福島県公立小学校教諭・本好利彰
監修/拓殖大学准教授・居村啓子
目次
スライドは学級の実態に合わせて修正して使いましょう
小学校3年生の「Let’s Try! 1」のUnit 6「ALPHABET~アルファベットとなかよし~」全4時の3時目の授業の流れです。本時も、私が作成したパワーポイント(スライド)を使った授業を紹介します。学級の実態に合わせて修正し活用してください。
パワーポイント(スライド)を使った授業の進め方
この記事の最後で、パワーポイントのファイルをダウンロードできるようになっています。必要な教師の発話やイラスト、音源などを挿入してあり、この資料を使うことで1時間の授業を行うことができるように作成してあります。このスライドを活用して、クリックしながら授業を進めてみてください。
- クリックでスライドを進めるだけで、スムーズに授業を行えます。
- デジタル教科書を使用する場合は、パワーポイントから切り替えてください。
目標と授業の流れ
【本時の目標】
アルファベットの大文字を自由にグループ分けしてみよう
【単元の目標】
〇身の回りには活字体の文字で表されているものがあることに気付き、活字体の大文字とその読み方に慣れ親しむ。(知識及び技能)
〇自分の姓名の頭文字を伝え合う。(思考力、判断力、表現力等)
〇相手に伝わるように工夫しながら、自分の姓名の頭文字を伝えようとする。(学びに向かう力、人間性等)
【言語材料】
○(The “A” card), please. Here you are. Thank you. You’re welcome.
○大文字 (A~Z), the, card, alphabet, please, here, thank, welcome, 数 (21~30, 0), book, drum, fish, gorilla, hat, ink, jet, king, monkey, notebook, pig, queen, rabbit, sun, tree, umbrella, violin, watch, box, yacht
単元の流れ(例)
- 挨拶
- 歌
- アルファベットペアさがし
- アルファベットレース
- めあての確認
- デジタル教科書 Let’s Play P24、 P25
- アルファベット並べ
- ふりかえり
各活動の流れ
①挨拶
挨拶のあとにUnit 5までに学習した What ○○ do you like? 等の質問を児童にしてみてもよいでしょう。
②歌
1時目で扱った ABC song を普通のスピードとスピードアップ版とで歌いましょう。そしてその後にアルファベットの順番を入れ替えた ABC song を歌ってみましょう。
教師は授業前にアカペラでしっかり練習しておくことをお勧めします。実際に練習で歌ってみるとなかなか難しいので、十分に練習をして児童へお手本を見せられるようにしましょう。
③アルファベットペアさがし
ダウンロードした板書用のアルファベットカードをA4サイズぐらいで印刷してラミネートし、アルファベットの文字を半分に切ります。切り方は自由に行ってください。学級の人数にもよりますが、完成イメージは以下のようになります。色で判別できないようにすることも工夫になると思います(モノクロで印刷すると、色の判別はしにくくなると思います)。
私が実践した時は、帰国するALTにお願いして事前に動画を撮っておき、「ALTがいたずらしていったから、みんなで協力して探してほしい!」というようなシチュエーションを設定しました。パワーポイントにはどのように行ったか、実際に使ったスライドを非表示にしてあるので、参考にしてみてください。他の先生にお願いして同じような動画を撮っておくことで、小学校3年生なら意欲的に取り組んでくれると思います。
まず、シャッフルしたバラバラのアルファベットカードを児童に配りましょう。配る際は Unit3 で既習の How many? を使って各列先頭の児童にアルファベットカードがいくつ欲しいかを尋ねましょう。
ここで大切なのは、配る前に裏返しにすることを伝えておくことです。何も言わずに配ってしまうと、児童がアルファベットカードをもらった瞬間にキョロキョロと周りをみてペア捜しをしてしまうでしょう。英語で I am going to give you the alphabet cards. Keep it secret, so face down your card. O.K? とジェスチャーを加えながら、「カードを裏にすること」と「何のアルファベットか秘密にしておくこと」を最初に伝えておきます。
活動で使う表現は、実態に応じて行うとよいでしょう。以下にいくつかの案を例示しておきます。
例1→Hello と挨拶後、すぐに児童同士が「せーの」でお互いのアルファベットを見せ合う。
例2→Hello と挨拶後、すぐに児童同士が ”Three, two, one” と言ってお互いのアルファベットカードを見せ合う。
例3→Hello と挨拶後、例えば児童1が自分のもっているアルファベットカードを見せて (The “A” card), please.
とAが欲しいと伝え、児童2がアルファベットのAカードを持っていたら Here you are. と言い、そこで1つのカードが完成となる。単元で使用する言語となるのでお勧め!
例4→Helloと挨拶後、児童1が I have the A card. How about you? と問いかけ、児童2が I have the A card, too. と答える。
※例1~4のいずれにおいても相手と違うカードを持っている場合は See you. と別れ、ペアになったら先生のところにカードを持ってこさせましょう。正しい組み合わせのカードを持ってきた2人は、教師が What alphabet is this? とアルファベットカードが何か聞くこともできますし、持ってきたカードを黒板に貼らせてもよいでしょう。
④アルファベットレース
前時に行ったアルファベットレースです。曲の速度やアルファベットの並べ方を変えて、3回行いましょう。
アルファベットを逆から並べさせるレースでは、「ゴールのAから逆に置いていくことはなし」とルールを伝えるとよいです。ちょっとの工夫を行うと、児童も飽きずに取り組むことができます。
1回目はABCの歌が倍速で流れるようにしてありますが、人気ゲームソフトのバトルの曲などを使うと、より楽しんで取り組むと思います。私の授業では、ゲームの「星のカービィ」の曲に変えて行いました。のりのりで楽しく児童は取り組んでいました。運動会の徒競走で流れていて、この曲ならきっとBGMとして児童たちは喜ぶだろうなと思って使い始めました。6年生でも英語の授業で使ったところ、リズムに乗って取り組んでいたのでお勧めです。
⑤めあての確認
本時のめあてを確認しましょう。
⑥デジタル教科書Let’s Play P24、P25
指導書には~~
アルファベットの形への認識を深めるために、自由に大文字で遊ぶ体験をさせる。例で示したのは「直線」でできた仲間である。そのほか「カーブでできている文字」「よく似ている文字」「カーブと直線でできている文字」「半分に折ると重なる文字」、あるいは、「私が好きな文字」など、児童の発想を生かして自由に仲間分けさせる。そうした体験を通して、児童は大文字を認識し、その読み方にも慣れ親しむようになる。ただし、あくまでも慣れ親しむことがねらいであることに留意する。
と記載されています。まずは、教師が教科書に載っている「直線」でできた仲間を黒板を使って例示しましょう。例示の仕方は、意図的に定規を使って書くことで児童が直線をより意識できるのでお勧めです。児童に「どんな仲間のアルファベットだと思う?」と問い、「直線ばかりのグループ」のような回答が出てきたところで本時のめあてにつなげるとよいでしょう。
実際に授業を行った時には、児童は「ななめのグループ」「自分の家族のイニシャルの仲間」「アルファベットのDの友達グループ」「アルファベットのVのグループ」など自由な発想から教師の想像を超えるような仲間分けをしていました。
発展的な学習として、児童が発表を行う際にクイズ形式にして、どんな仲間分けをしたか聞いてみることもよいでしょう。そのような活動を通して、児童がアルファベットの形に着目し、慣れ親しんでいけるようにしていきましょう。
⑦アルファベット並べ
身の回りや身近な事柄から知っている英語になるように、アルファベットのカードを並べる活動です。まずは、簡単なクイズを行い、どんな活動をしていくか理解させていくといいでしょう。
クイズには、USA、BTSなど、いくつかのスライドを準備してあるので活用してみてください。クイズが終わったら、児童に知っている英語になるようにアルファベットのカードを並べ替えさせます。知っている英語になるように英語のアルファベットを思い出しながら意欲的に活動すると思います。
⑤の活動と同様に、活動後に児童が並べたアルファベットを板書し発表させたり、クイズにしてみたりするのも面白いです。クイズにする場合は、例えばBTSならアルファベットの順番を入れ替えるなどして、ヒントを出しながら答えを考えさせることもできるでしょう。
ここでは、
●身の回りには活字体の文字で表されているものがあることに気付き、活字体の大文字とその読み方に慣れ親しむ。(知識及び技能)
について評価していきましょう。
⑧ふりかえり
本時のめあてから振り返りを行いましょう。児童の感想を全体で共有し、称讃しましょう。
アルファベットの活動を通して児童が楽しく大文字に慣れ親しむことができるようにしましょう。この単元は、次年度の4年生で学習する小文字、そして5年生での書く活動に繋がる大切な学習となります。アルファベットは個人差が出る学習です。たくさんの活動を通して児童に知識を教え込むという形ではなく、楽しみながら学習することができるように工夫していきましょう。
プラスアルファの活動
朝の時間など、時間があるときにもできる簡単な活動を紹介します。参考にしてみてください。
●アルファベット消しゴムゲーム
消しゴムを両サイドに置き、アルファベットを読みながら消しゴムを2人の児童が動かしていきます。お互いの消しゴムが重なったところでじゃんけんをし、勝った方はそのまま進むことができます。負けた方はスタートに戻り、またアルファベットを発音しながら消しゴムを動かします。時間制限を設けておけば、ストップの時点で相手側のゴールにより近い方が勝ちとなります。アルファベットの順番でカードを作成してもよいでしょうし、ランダムに上記のように作成することもできます。学級の人数分を違ったカードにすることもできます。
●アルファベット迷路
スタートのAから順番に進み、ゴールのZまでたどる迷路です。途中にいくつか児童が迷うポイントがあるので個別支援をしながら進めるとよいでしょう。『天国と地獄』をBGMにして行ってもよいでしょうし、ABC song を流して進めても支援になります。
●アルファベット点つなぎ
★からスタートして順に点をつなぎ、何の絵かを当てるゲームです。3問のうち1問はAからアルファベット順につなぐ問題です。あとの2問はアルファベットがランダムになっているので、「先生が言った順に点をつなぎます」と説明してから始めてください。アルファベットの順番は答えのスライドに記載してあるので(非表示になっています)印刷しておき、見ながらアルファベットを言っていくとよいでしょう。
居村啓子(いむらけいこ)
拓殖大学外国語学部英米語学科准教授。言語学博士。児童図書出版社、児童英語教育機関勤務、立教大学異文化コミュニケーション学部助教、上智大学言語教育研究センター嘱託講師を経て現職。2020年よりNHKラジオ「小学生の基礎英語」講師を務める。研究テーマは「子どもの第二言語習得」、「フレーゾロジー」。
本好利彰(もとよしとしあき)
福島県公立小学校教諭。福島県小学校・中学校・千葉県小学校教諭を歴任。また地区外国語教育推進リーダーを務める。2018年より拓殖大学外国語学部で「小学校英語教育入門」を担当。2021年東京書籍アドバイザー。
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構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ アニメーション/鶴岡信治 歌・チャンツ/本田有紀子