小5算数「合同」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・原田菜苗
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫
目次
本時のねらいと評価規準
(本時の位置 4/8時間)
ねらい
合同な三角形をかくのに、すべての構成要素を調べる必要がないことを理解する。
評価規準
・合同な三角形のかき方を考え、どの辺の長さや角の大きさを使ってかいたかを説明している。
・すべての構成要素を使わなくても、合同な三角形がかけることを理解している。

問題場面
太郎さんは、パズルをしています。もう少しで完成というところで、最後の1つのピースをなくしてしまったことに気が付きました。
なくしたピースを作ってパズルを完成させるには、どうしたらよいでしょうか。
空いているところを見ると、ピースの形は三角形と分かるね。
合同な三角形にならなくてはいけないよ。
では、合同なピースを作るときに、どんなことに気をつけたらよいですか。
合同だから、形も大きさも同じ三角形にする。
対応する辺の長さや角の大きさが同じになるようにかく。
辺の長さや角の大きさが知りたいです。
本時の学習のねらい
最後のピースと合同な三角形のかき方を考えよう。
見通し


(図1を提示する)3つの辺の長さと3つの角の大きさ、合わせて6つの要素がありますが、全てはからないとかけないのでしょうか。
全ての要素は使わなくてもよさそう。
では、6つの要素の中からできるだけ少ない要素を使ってかいてみましょう。使った要素がわかるように、図に書き込んでおきましょう。
自力解決の様子


学び合いの学習
三角形ABCをかいた透明なシートを数枚用意しておくことで、正しく作図ができたか自力解決中に適宜確かめられるようにしておきます。
自力解決後には、「どの要素をいくつ使ったのか」を説明しながらペアでノートを見合う活動を取り入れます。ノートの作図には使った構成要素だけを記録しているので、かき方の違いを簡単に比べることができます。友だちが別のかき方をしていたときには、一緒に確かめながらノートに作図するようにします。
ノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
全体での考えの共有の場では、実物投影機を用いての実演により、作図の手順を確認します。Aのように余分な構成要素を使っている考えは丁寧に取り上げ、辺ACの長さ(または角Bの大きさ)を使わなくても点Aの場所を決定できること、それによりB(1)やB(3)の考えと同じと見られることをおさえます。
3つのかき方の共通点を問うと、「どれも3つの要素を使っている」ということに気付くでしょう。ここで考えさせたいのは、「3つの要素さえあれば、いつでも合同な三角形をかけるのか」ということです。考えるきっかけとして、図3のように作図ができない例を提示します。どんなときにかけて、どんなときにかけないのか、使う構成要素の位置関係に注目させながらまとめていきます。
では、下の3つの要素を使って合同な三角形がかけるのでしょうか。

かけない…。
3つの情報ならいつでもかけるわけじゃないんだね。
どんなときならかけるのかな。
まとめ
合同な三角形は、次のような3つの辺や角をはかればかける。
①3つの辺
②1つの辺とその両はしの角
③2つの辺とその間の角

評価問題
三角形DEFと合同な三角形をかきましょう。
子供に期待する解答の具体例
構成要素を3つ選び、本時のまとめの①②③の中から少なくとも1つのやり方で正しく作図できる。
感想例
- 3つの要素だけでかけるのがびっくりした。
- 三角形がかけたから、合同な四角形もかけるのだろうか。
『教育技術 小五小六』 2020年7/8月号より