新学習指導要領の下で求められる学校づくりを再確認しよう

新学習指導要領下ではどのような学校づくりやカリキュラムづくりが求められるのでしょうか。新学習指導要領のポイントを確認しつつ、「社会に開かれた教育課程」「カリキュラム・マネジメント」「主体的・対話的で深い学び」の3つの観点から解説します。

桜土手にかかる橋を渡る小学生
撮影/高野宏冶

「社会に開かれた教育課程」の実現

新学習指導要領では、これまでにはなかった「前文」が新設されました。総則の前に置かれたこの前文では、約1260字で学習指導要領の位置づけや方向性が明示されています。教育基本法第1条の「教育の目的」および第2条の「教育の目標」を具体的に示しつつ、これらの達成をめざし、これからの時代に求められる教育を実現していくために、学校と社会が連携・協働する「社会に開かれた教育課程」の実現が重要であると述べられています。

この概念には、学校に社会の変化への対応を求めるとともに、教育課程を通じて学校が社会を変化させていくという積極的な意味合いが込められています。子どもたちが身近な地域を含めた社会とのつながりの中で学び、自らの人生や社会をよりよく変えていく実感を持てる教育課程の編成が求められることになります。

また、前文では、こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を大綱的に定めたものが学習指導要領であると定義され、その役割の一つとして、学校における教育水準を全国的に確保することが挙げられています。さらに、この学習指導要領を踏まえ、各学校の創意工夫や家庭・地域社会との協力により、教育活動のさらなる充実を図っていくことの重要性も示されています。

資質・能力を育成するための主体的・対話的で深い学び

続く総則も、その構成が大きく変化し、大幅かつ抜本的な改善がなされました。旧学習指導要領では第1〜第4の柱立てであったものが、新学習指導要領では第1〜第6の柱立てとなり、第1で「小学校(中学校)教育の基本と教育課程の役割」を述べた上で、教育課程の編成と実施、教育評価について言及され、その上で児童(生徒)の発達の支援と学校運営上の留意事項、道徳教育に関する配慮事項について述べられる流れとなっています。

このうち、第1では、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して児童(生徒)に生きる力を育むことを教育活動の目的として挙げた上で、学習の基盤をつくる活動の充実や学習習慣の確立、道徳教育や体験活動を通じた豊かな心や創造性の涵養、健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現などがその具体的な内容として挙げられています。

「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」については、第3に項目が設けられている。ここでは、各教科等指導上の配慮事項が示され、各教科等において身につけた知識・技能の活用や、思考力、判断力、表現力、および学びに向かう力、人間性等を発揮して、各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら学ぶ学習の過程を重視することが強調されています。

「次期改訂が資質・能力を育むためには、学びの量とともに、質や深まりが重要であり、子供たちが『どのように学ぶか』についても光を当てる必要がある」とまとめられている「論点整理」や、「審議のまとめ」でも強調されているとおり、主体的・対話的で深い学びの実現に向けては、単に授業に対話を取り入れることや、特定の「型」の授業を行うことが目的ではないことに留意する必要があります。

教科等横断的な視点が求められるカリキュラム・マネジメント

第2の「教育課程の編成」では、各学校の教育目標を明確にするとともに、教育課程の編成についての基本的な方針を家庭や地域と共有するよう努めることを求め、さらには今回の学習指導要領の特色でもある教科等横断的な視点に立った教育課程の編成についても言及。現代的な諸課題に対応した資質・能力を、教科等横断的な視点で育成していくことが示されました。

また、第5の「学校運営上の留意事項」では、校長の方針のもと、各教職員が連携してカリキュラム・マネジメントに努めることが明記され、各学校が行う学校評価についても、このカリキュラム・マネジメントと関連づけながら行うよう求められています。

カリキュラム・マネジメントは、「総合的な学習の時間」の導入を機にその重要性がたびたび叫ばれてきましたが、今回の改訂では三つの側面から捉えることが提示されています。これまでは、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図るPDCAサイクルを確立することが重視されてきましたが、新学習指導要領においては、学校教育目標を踏まえた教科等横断的な視点からの教育課程編成や、地域資源の活用を含めた学校の経営資源のマネジメントといった、より広範なカリキュラム・マネジメントが求められるようになっています。

構成・文/藤沢三毅(カラビナ)

『総合教育技術』2020年4月号より

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