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小5国語科「冬の朝」全時間の板書例&指導アイデア

特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官の監修のもと、小5国語科「冬の朝」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小五 国語科 教材名:冬の朝(光村図書・国語 五)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立けやき小学校校長・前田元
執筆/東京都渋谷区立神南小学校・佐藤綾花

1. 単元で身に付けたい資質・能力

この単元では、教科書に示されている「枕草子」や俳句を楽しみながら音読することを通して、古文特有の言葉の響きやリズムに親しむことができるようにします。
また、ここで示されている作品のように、季節の情景を描いた優れた表現に触れることを通して、語感や言葉の使い方に関する感覚を養うこともねらっています。
読んで触れるだけでなく、優れた表現の仕方を参考にし、短い文章の中で自分が冬らしいと感じる様子や美しいと感じる冬の風景について書き表すことを通して、語感や言葉の使い方に対する感覚を意識し、語や語句を使うことができるようにします。
楽しんで音読をしたり、古文のリズムや言葉の使い方を真似て作品を作ったりすることを通して、古文に触れることが楽しいと感じられるような時間にすることが大切です。
本単元を通して、季節の移ろいを感じ取ろうとする眼差しや、感じ取ったことを言葉で表現しようとする心も育っていくことを期待します。季節の移ろいの中で注目したことや感じ取ったことを表現しようとすると、自分の知っている言葉だけでは表現することが難しいと感じる児童もいるでしょう。そうしたとき、四季の事物や年中行事についてまとめた「歳時記」を開き、その中から自分の表現に生かせそうな言葉を見つけるとよいでしょう。
教科書にも「木枯らし」や「風花」など、児童にとってはあまり馴染みがないと考えられる言葉が示されています。このような、知らなかった言葉を学ぶことを通して、表したいことを適切に表現できるようになったり、季節の移ろいも一層感じ取れるようになったりします。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、自分が冬らしいと感じる様子や、美しいと感じる冬の風景について短い文章を書くという言語活動を設定します。教科書に示されている清少納言の「枕草子」や、二句の俳句を参考にして書きます。
本単元は、教科書では「季節の言葉」の最後に位置付けられており、これまでに学んできた「春の空」、「夏の夜」、「秋の夕」と関連させて学ぶこともできます。これまでに「枕草子」の文体を真似て書き表してきた作品があれば、それらの作品と併せて「私風枕草子」を完成させてもよいでしょう。
これまでは俳句に表してきたのであれば、本時で作った俳句と比べて読むことで、自分の語感や言葉の使い方の変化に目を向けることもできます。これまでの学習を生かして、どのような文体で表現するかだけではなく、完成した作品のまとめ方や読み合い方も児童と話し合って決めるとよいでしょう。

作品に表す前に、自分が冬らしいと感じる様子や、美しいと感じる冬の風景について話し合う時間も設定します。話し合うことを通して、そのときの様子や自分の思いを具体的に思い出しやすくなります。長い文章ではなく「枕草子」や俳句のような短くリズムのよい文章の中で表そうとすることで、思い描いた様子、描きたい様子にふさわしい言葉やリズムのよい言葉を探すことにつながります。

4. 指導のアイデア

・古文には、現代文とは異なる響きやリズムがあります。目で追いながら読んだだけでは、意味が分かりにくく「難しい」と思ってしまいがちです。自分で声に出して読んでみることで、初めて古文独特の響きやリズムのよさ、楽しさを感じ取ることができます。
本時では、まず教師が範読した後、文節ごとにみんなで音読をし、さらに一人一人自由に音読する時間も設定します。その後、言葉の響きやリズムがいいな、楽しいなと思ったところについて話し合います。このとき、明確な理由が言えなくても「なんとなく、この部分のリズムが楽しい」というところを共有できるようにします。
そうした時間を通して、今後古文に触れたときもまずは声に出して読んでみよう、楽しいところやいいなと思うところを探してみようと、楽しんで古文に親しもうとする姿勢が養われていきます。

・本時では、「枕草子」や二句の俳句を参考にして、自分が冬らしいと感じる様子や、美しいと感じる冬の風景について短い文章を書きます。書く前にそれらの様子について想像し、話し合うようにします。書く前に話すことを通して、自分の中のイメージがより具体的なものになります。
その際、教師から冬の風景や冬にまつわるものの写真やイラストを示し、それらを手がかりにすることで、イメージしやすくなるようにします。
さらに、教師が書いた例文を示すことで、現代語で書かれた作品に触れ、「なるほど、このような作品を作るんだな。楽しそうだな。自分だったら……」と自分の学習活動の見通しをもちやすくします。

5. 単元の展開(1時間扱い)

 単元名:「冬の朝」

【主な学習活動】
第1時
・これまでの「春の空」、「夏の夜」、「秋の夕」での学びや作品を振り返り、本時の学習の見通しをもつ。
・「冬の朝」で紹介されている作品を読む。(範読を聞いた後、音読をする。)
・感じたことや思ったことを話し合う。
・自分が冬らしいと感じる様子や、美しいと感じる冬の風景について短い文章で表現する。
・友達と互いの作品を鑑賞し合う。

6. 全時間の板書例・ワークシート例・端末活用例と指導アイデア

【 1時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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