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小1算数「たすのかな、ひくのかな」指導アイデア《たし算やひき算の問題づくりと演算決定》

特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
小1算数「たすのかな、ひくのかな」指導アイデア
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執筆/筑紫野市立吉木小学校教諭・松本大輝
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、福岡教育大学教授・清水紀宏

年間指導計画 たすのかな、ひくのかな

単元の展開

第1時 (本時)たし算やひき算の問題づくりと演算決定 

第2時 習熟問題

本時のねらい

場面の絵からたし算やひき算の問題をつくり、その問題の演算決定の根拠を考え、説明することができるようになる。

評価規準

図やブロックを用いて、演算決定の根拠を考え、説明することができる。(思考・判断・表現)

本時の展開

※水族館の大きな水槽の絵を掲示する。

水族館の水槽

ここは水族館です。水槽にはどんな生き物がいますか。

イルカが7匹います。

小さな魚はたくさんいます。

小さな魚は12匹いるよ。

サメが2匹います。

カツオが6匹います。

たくさんの生き物がいますね。今日は絵の中の生きものから、算数の問題をつくってみましょう。まず、先生が1問つくってみます。
カツオが6匹います。ジンベイザメが2匹います。合わせて何匹でしょう。この問題はたし算で解けますか、ひき算で解けますか。

たし算だと思います。

6+2=8で合わせて8匹です。

※ここでは、この程度のやりとりにとどめ、まずは問題づくりに取り組ませます。

では、みなさんにも問題をつくってもらいます。先生はたし算をつくりましたが、ひき算の問題もできるかもしれませんね。問題が1つできたら、次の問題もつくりましょう。

※問題づくりが難しい子供については、教師の問題のように「合わせて」のタイプの問題を別の生き物でつくるよう促します。また、たし算の問題をつくった子供にはひき算の問題をつくるよう促します。

それでは、できた問題を教えてもらいましょう。

水槽にイルカが7匹います。カツオが6匹います。合わせると何匹ですか。(問題①とする)

小さな魚が12匹います。イルカは7匹います。合わせると何匹ですか。(問題③とする)

イルカは7匹います。サメが2匹います。どちらのほうが何匹多いですか。(問題②とする)

小さな魚が12匹います。イルカは7匹います。違いは何匹ですか。(問題④とする)

※子供のつくった問題4問を、問題①、問題③を加法、問題②、問題④を減法になるよう問題番号を割り充てます。
※問題を板書するときは、子供がノートやワークシートに写すことを考え、文章が長くならないよう配慮しましょう。

いろいろな問題をつくることができましたね。4つの問題がありますが、たし算で解ける問題もひき算で解ける問題もあるみたいですね。どちらの計算で解けるのか、順に考えていきましょう。

学習のねらい
たし算かひき算かを考えて説明しよう。

見通し

たし算かひき算かどうすれば求められそうですか。

「合わせると」があると、たし算だと思います。

「違いは」があると、ひき算だと思います。

問題の言葉の他に、たし算かひき算かを説明する方法はありませんか。

ブロックを使ったらいいと思います。

ノートに〇図をかいたらいいと思います。

※見通しでは、どうすれば解決できそうか、既習のたし算やひき算の学習を想起しながら、できそうな方法や考え方を出し合います。

それでは、まず問題①、問題②について、たし算かひき算か考えて説明を考えましょう。

自力解決の様子

A つまずいている子

演算決定ができない。
たし算やひき算であることは分かるものの、ブロック操作や図による説明ができない。


B 素朴に解いている子

たし算、ひき算ができて、たし算の説明はできるが、ひき算の説明ができない。
7+6=13  13匹

図表1

ブロック操作や図で表現して、演算決定をしている。
7-2を求差ではなく、求算と捉えて、説明する。

図表2

 ねらい通り解いている子

たし算、ひき算ができて、たし算、ひき算の説明もできる。
7+6=13  13匹
7+6になるわけは、イルカは7匹いて、カツオは6匹いるので、ブロックを合わせると増えるからです。

図表3

7-2=5  5匹
下の7を上の12から引くと違いが分かる。
違いは5匹です。

図表4

ブロック操作や図を書いて演算決定をし、その理由を言葉で説明することができている。

学び合いの計画

この単元までに、たし算とひき算の意味理解をはかり、計算の仕方を学習してきています。たし算では、数図ブロックを合わせたり、増やしたりする操作を伴って理解してきています。また、ひき算では、はじめにある数量から、数図ブロックを取り去る操作を伴って理解してきています。「合わせて」「全部で」「残りは」という言葉(キ ーワード)を根拠に、たし算やひき算だと判断していることが多いです。しかし、演算決定をする際には言葉だけではなく、場面の全体構成を図や絵に表して関連付けて立式することが必要です。今まで、たし算とひき算の意味理解を図ることがねらいであったため、問題が混合していることがありませんでした。また、それぞれの単元では、計算の仕方を考えてきており、その問題場面がたし算とひき算のどちらになるかの根拠を明確にする機会があまりありませんでした。本時では、身の周りの場面において、これまで学習してきたたし算とひき算の意味を活用して演算決定をし、その理由をブロック操作や言葉などを根拠として説明できるようにさせることをねらいとして学習します。

導入では、教師と一緒に場面から問題をつくることを確認し、次に自分で問題づくりに取り組ませます。1つの場面でも様々な問題をつくることができるように設定しており、問題づくりを通して、子供たちからさまざまな言葉(キーワード)を引き出すことができます。その後、子供たちがつくった問題を取り上げ、決定の根拠を半具体物や図などを使って説明できるようにします。

問題①と②の全体交流では、つまずいている子供が友達の考えを聞いて、ブロックや図による説明の仕方を理解することをねらいます。聞くだけでは定着が難しいので、問題③、問題④について、ペアで説明し合う活動を位置付けましょう。本時のように、与えられた問題ではなく、自分たちがつくった問題を解決しようとしたり、話し合ったりすることで、子供たちの意欲が高まるかもしれません。

ノート例

A つまずいている子

ノート例1

B 素朴に解いている子

ノート例2

C ねらい通り解いている子

ノート例3

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

問題①、問題②のブロックや図による説明の確認

まず、問題①がたし算になるか、ひき算になるか説明してください。

問題に「合わせて」と書いているから、たし算だと思います。

式は7+6で、13匹です。

私はブロックを使って考えました。ブロック7個と6個を合わせて数が増えたので、たし算にしました。

図表5

式と答えはどうなりますか。

7+6=13。13匹になります。

※図の考えも説明させる。

なるほど。ブロックや図を使うと「合わせて」を求めるのに、たし算を使うことがよく分かりますね。それでは、問題②について考えましょう。

「違いは」と言っているからひき算で、式は7-2になると思います。だから、違いは5匹です。

私は算数ブロックを使って考えました。ブロックを7個並べて、2個とればよいので、違いは5匹になります。

図表6

※このように、求差ではなく、求算のような説明をする子もいると考えられます。

イルカとサメの両方を○図でかいた人はいますか。

僕はこんな図をかきました。イルカが7匹、サメが2匹いるから、○を7個と2個かきました。2匹をつなぐと、違いが5になることが分かります。

図表7

この図から、違いが5になることは分かりましたね。式が7-5になるわけが言えますか。

図表8

上の○と下の○に線をかきます。7から下と同じ数だけ引いたら、違いの5が出ます。だから、7-2をすればいいと思います。

なるほど。問題②もブロックや図を使うと、「違いは」を求めるのにひき算を使うことがよく分かりますね。

問題③、問題④をペアで説明する活動

「合わせて」や「違いは」という言葉に注目して、ブロックや図を使って、たし算なのかひき算なのかを説明することができましたね。まだ、問題③と問題④がありますね。2人の問題がたし算なのか、ひき算なのか、隣の人とお話をしましょう。

※ペアで説明し合った後、全員で確認する。

問題③はたし算だと思います。わけは、「合わせて」という言葉があるからです。

私は算数ブロックを使いました。12個と7個を合わせました。式はたし算になって、12+7は19だから、答えは19匹です。 

さっきと同じように図を使って考えました。12と7を合わせると数が増えたので、たし算になりました。

図表9

問題④は、「どちらが多いか」を聞いているので、式は12―7でひき算だと思うな。

さっきのような図を使って説明した人はいますか。

僕は図を使いました。魚が12匹で、イルカが7匹いるから、さっきと同じように○を上と下に並べました。12-7をすると違いができます。魚のほうが5匹多いです。

図表10

問題③も問題④も、たし算なのかひき算なのか説明することができましたね。

学習のまとめ
ブロックや図を使って考えると、たし算かひき算かが分かる。

評価問題

水ぞくかんには ペンギンと ラッコも いました。たしざんや ひきざんの もんだいを つくりましょう。つくったら たしざんか ひきざんか ずや ブロックで せつめいしましょう。

水族館のペンギンとラッコ

※できた子供同士で問題を見合い、図を使って説明し合う交流をさせる。

子供に期待する解答の具体例

大人のペンギンが6匹、子供のペンギンが2匹います。合わせて何匹ですか。

図表11

6+2=8  8匹

ラッコが11匹、ペンギンが8匹います。どちらが何匹多いですか。

図表12

11-8=3  ラッコが3匹多い。

感想例

  • ひき算の図がかけるようになってうれしかった。
  • もっといろいろな問題をつくりたい。
  • 違いの問題の図のかき方が分かった。

ワークシートと板書例

ワークシート(ダウンロード可)
ワークシート見本
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板書例

イラスト/横井智美、やひろきよみ

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