小5算数「単位量あたりの大きさ」指導アイデア《単位量あたりの考え方について知る》

特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
小5算数「単位量あたりの大きさ」指導アイデア タイトル

執筆/横浜市立浜小学校教諭・太田博英
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一
   島根県立大学教授・齊藤一弥

年間指導計画「単位量あたりの大きさ」

単元の展開


第1時(本時)部屋の混み具合を調べ、単位量あたりの考え方について知る。

第2時 日常生活のなかで単位量あたりの考え方が使われていることを知り、量の大きさを比べる。

第3時 人口密度について知り、大きさを比べる。

本時のねらい

どちらが空いている部屋であるかを考えることを通して、混み具合は2量の割合で捉えられることに気付き、その比べ方について考える。

評価規準

人数と面積の2量に着目し、2つの場面を比較しながら、一方の量を倍にして数をそろえて、もう一方の量で比較したり、どちらかの量を1にそろえて、もう一方の量で比較したりして、図や数直線、式を使って比べ方を説明している。

本時の展開

問題
どちらが空いていますか?
①5年1組の教室、10人、64㎡
②図書館、25人、170㎡

来週、校内のウォークラリーを行います。校内の全教室を使って行います。個人で各教室を回ってスタンプを集めてきてください。

どのように回るか考えたいです。

混んでいるのやだなぁ。

空いている部屋から回りたい。

「空いている」ことは、どうやったら分かりますか。

人数が分かればいいと思います。

では、5年1組の教室に10人、5年2組の教室に25人いたとします。どちらの教室が空いていると言えますか。

5年1組の教室です。

なぜですか。

同じ教室で人数が少ないからです。

「同じ」とは何のことですか。

面積のことです。

面積が同じ場合は、人数の少ないほうが空いていると言えます。

空いているか混んでいるかは、何が分かればいいですか。

人数と面積です。

そうですね、では、図書館に今、25人います。図書館は5年1組や5年2組の教室と比べて空いていますか。

5年2組の教室よりは空いていると思います。

なぜですか。

人数は同じだけど、面積が図書館のほうが大きいからです。

人数が同じ場合は、面積が大きいほうが空いていると言えます。

でも、5年1組の教室と図書館のどちらが空いているかは分かりません。

なぜですか。

人数も面積も違うからです。

面積を教えてください。

5年1組の教室が64㎡、図書館が170㎡です。

5年1組と図書館のどちらが空いているかをどうやって考えたらいいのだろう。

学習のねらい
人数も面積も違うとき、どちらがより空いているかをどのように比べたらよいか考えよう。

見通し

人数が同じだと比べることができそうだけど……。(方法の見通し)

人数や面積、どちらかを何倍かすると数字がそろいそうだね。(方法の見通し)

面積を人数で割ると、1人分の面積が出るはず。(結果の見通し)

自力解決の様子

A つまずいている子
わり算で解いてはいるが、単位量あたりで求めた商にあたる数が何を意味しているのか分からない。


B 素朴に解いている子
教室と図書館の人数(面積)がそろうようにそれぞれ〇倍し、それに伴って同じように〇倍したときのそれぞれの面積(人数)で比べている。


C ねらい通り解いている子
面積を人数で割ったり、人数を面積で割ったりした数を、図や数直線を用いて説明している。

学び合いの計画

割合を用いて比べる場合、2量の関係で考えることができるような具体的な場面が必要です。そのなかでも、混み具合を調べる活動では、前提として、どちらかが一方がそろっていると比べられることを押さえる必要があります。人数と面積のような2つの数量をどのように扱っていくかは、単位量あたりの考えでも、公倍数を用いて考えても、比例関係が成立することを前提としています。

そこで本時では、比例関係を前提としたり、室内に均等に人がいるといった事象を理想化したりしながら学習を進めていくことが大切です。そして、より混み具合が分かるように、2量の関係を図や数直線で表して説明していきます。自分なりに数量関係を表した経験は、今後の「速さ」や「人口密度」「割合」の学習などでも生かされます。なので、混み具合をどのようにして表すことができたか、ペアや4人班で説明し合うとよいでしょう。その際は、図や計算結果の数字が何を表しているかを明確にすることが大切です。

さらに、単位量あたりで考えていくほうが効率的なときもあるということも、この単元を進めていくにあたって理解する必要があります。なので、全体での協働的な学びのなかでも、グループでの考えの共有と同じように、2つの数量をどのように扱ったか説明したり、単位量あたりの大きさで表した数がどんな意味をもつのかを図に立ち返ってしっかり理解したりすることを繰り返し行っていくとよいでしょう。

ノート例

A つまずいている子

ノート例1

B 素朴に解いている子

ノート例2

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

*C1、C2、C3それぞれ発表をする。

C1
面積をそろえました。
教室:64×85=5440、図書館:170×32=5440
よって、
教室:10×85=850、図書館:25×32=800
面積が同じ場合、人数の少ないほうが空いています。だから、人数の少ない図書館のほうが空いています。


C2
人数をそろえました。
教室:10×5=50、図書館:25×2=50
よって、
教室:64×5=320、図書館170×2=340
人数が同じ場合、面積の大きいほうが空いています。だから、面積が大きい図書館のほうが空いています。


C3
1人分の面積の大きさで考えました。
教室:64÷10=6.4、図書館:170÷25=6.8
これは1人分のもつ面積の大きさを表しているから、図書館のほうが空いています。


3つを見比べて、似ているところはありますか。

イラスト/横井智美

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