小6国語「柿山伏」板書の技術
今回の教材は、「柿山伏」です。本単元は、柿山伏のおもしろさを探り、狂言について理解を深め、音読劇の発表会を開くという学習活動です。そのため、狂言についての理解を深めるきっかけとなったり、Xチャートを用いて「柿山伏」のおもしろさを分析したりして、思考を整理しやすい板書の工夫を紹介します。
監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立学校教諭・田中崇亮(せせらぎの会)
単元名 音読劇をして伝統文化を楽しもう
教材名 「柿山伏」「柿山伏について」(光村図書 6年)
目次
単元の計画(全4時間)
1 「柿山伏」について感想を書き、単元のめあてを確かめる。
2 「柿山伏」のおもしろさを探る。
3 「柿山伏について」を読み、狂言について理解を深める。「柿山伏」の山伏と柿主の人物像について話し合う。
4 音読劇の発表会を開く。
板書の基本
〇子供の意見や考えを反映する板書
子供が発表したことを色チョークで板書することで、子供の意見や考えを反映した板書となり、学習を広げたり深めたりする手がかりとなります。
1/4時間目の板書では、狂言について教科書に書かれていることを白チョークで書いた後、子供が考えたことを発表させ、黄チョークで書き足します。また、「柿山伏」という題名から想像したことや調べたことを発表させ、黄チョークで書きます。狂言についての理解を深めるきっかけとなったり、話の内容を想像する手がかりになったりします。
〇子供の思考を整理する板書
チャート図を用いて子供の意見を整理することで、板書を見る子供の思考も整理されて共通点や相違点などの新たな気付きが生まれやすくなります。
2/4時間目の板書では、Xチャートを用いて「柿山伏」のおもしろさを項目別に分類しながら板書し、子供の意見を整理します。子供がそれぞれ「柿山伏」のどんなところにおもしろさを感じているかが分かりやすくなるとともに、音読劇に生かせそうな気付きも生まれやすくなります。
板書を利用した授業の進め方(1/4時間目)
1 「柿山伏」という題名から内容を想像する
日付と題名を板書し、題名から想像できることを発表させます。山伏については子供に馴染みのない言葉なので、辞書などで調べたことを発表させてもよいです。子供に発表させたことは、黄チョークで板書し、話の内容について想像を広げられるようにします。
2 登場人物を確かめる
教科書P164を読み、狂言では主役を「シテ」、その相手役を「アド」と呼ぶことを確認します。「柿山伏」では、山伏と柿主が登場することを確かめ、山伏が「シテ」、柿主が「アド」であることを伝え、それぞれ「山伏…シテ」「柿主(柿の木の持ち主)…アド」と板書します。
3 柿山伏の音声を聞いたり、動画を見たりして、話の内容を確かめる
「柿山伏」の音声を聞かせたり、動画を見せたりします。子供は教科書を見てせりふを確かめながら見聞きできるようにします。その後、子供に「初めに誰が出てきましたか?」「その後、どんなことが起こりましたか?」などと問いかけながら、発表させたことを基に一〜四の話の流れを黒板の上段に板書します。話の大筋を板書することで、どの子供も「柿山伏」がどんな話なのかを理解できるようにします。音声を聞いたり、動画を見たりして印象に残ったことやせりふを発表させ、黒板の下段に板書します。さらに気付いたことを発表させ、黄チョークで板書します。山伏や柿主の人物像につながる発表が出てきたら、「山伏はどんな人でしたか?」「柿主はどんな人でしたか?」と問いかけ、山伏は「自分勝手・見栄っ張り」、柿主は「意地悪」などと子供が答えたことを黄チョークで書き加え、3時間目に2人の人物像を詳しく話し合う手がかりとなるようにします。
4 柿山伏について感想を書く
「柿山伏」の感想を書き、何人かの子供に発表させます。教師は発表を受け止め、感想の言葉をまとめながら板書します。板書した感想の内、狂言の特徴的な部分に黄チョークで波線を引き、そこから本単元のめあてが「柿山伏の音読劇をして狂言にチャレンジしよう」であることを伝え、板書します。
板書を利用した授業の進め方(2/4時間目)
1 めあてを確かめる
本時のめあて〈「柿山伏」のおもしろさを探り、音読劇にいかそう。〉を板書します。本時では柿山伏のどこにおもしろさがあるのかを分析し、そのおもしろさを音読劇で表現できるようにしていくことを伝えます。
2 Xチャートを使って、柿山伏のおもしろさを分類する
黒板に大きくXの形に線を引きます。柿山伏のおもしろさを分類するヒントとして、前時の感想を基に4つの見出しを色分けしてXチャートの中に板書します。
リズムやテンポ …… 黄 セリフ …… 赤 登場人物 …… 青 話の内容 …… 緑
子供にもXチャートをノートに書かせます。それぞれの項目についておもしろく感じたことを記入させ、発表させます。教師は発表を受け止めながら、黒板のXチャートに白チョークで板書していきます。ある程度子供の意見を書き込めたら、そこからさらに気付いたことや考えたことを発表させ、見出しと同じ色で板書します。
3 音読劇で生かせそうなポイントを見付け、音読劇の練習をする
Xチャートで整理したことを手がかりにしながら、音読劇に生かせそうなポイントを発表させ、板書します。板書したポイントを意識させながら、子供たちに音読劇の練習をさせます。
構成/浅原孝子