本ばなれした子どもが本を読まずにはいられなくなる方法

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本を読まない子どもに本の魅力を伝える具体策を、読み聞かせのプロ教師に教えていただきました! 現代の子どもたちは、本を読まない大人に囲まれて育ち、本の面白さを知らない子も多いもの。読み聞かせのプロたちは、どんな風にして子どもたちを本の世界へ誘っているのでしょうか?

本好きな子どもに育てましょう

仕掛け絵本は最強の武器

執筆/大阪府公立小学校・桜田恵美子

絵本を使って授業づくりや学級づくりをしてきた私にとって、仕掛け絵本は一つの武器と言えます。というのも、仕掛け絵本は間違いなく子どもの目をひくことができるからです。目をひくからこそ使い方を考える必要があります。そこで、仕掛け絵本をタイプ別に分類し、どんなときに読むのがよいかをまとめてみたいと思います。

タイプ1 「飛び出す」

「飛び出す」のが王道の仕掛け絵本。以下の二冊は持っていると便利です。

『ポップアップ人体えほん』(ポプラ社)
『ポップアップ人体えほん』(ポプラ社)

『ポップアップ人体えほん』(ポプラ社)。人体絵本はさまざまありますが、これが一番わかりやすい。中から140cmの人体模型が出てきます。子どもたちは背比べをしたり、ハイタッチをしたりと大喜び。筋肉の話や給食の話をするときに読んで学びました。

『ながーい おはなのブタくん』(文化出版局)
『ながーい おはなのブタくん』(文化出版局)

『ながーい おはなのブタくん』(文化出版局)はブタがなぜブーブー言っているのかを愉快なストーリで教えてくれます。最後の飛び出すブタページが圧巻。「ブーブー」と言いながら開いたり閉じたりして見せると迫力満点です。

タイプ2 「開く」

『ことりのちいさなちいさなたまご』(大日本絵画)
『ことりのちいさなちいさなたまご』(大日本絵画)

『ことりのちいさなちいさなたまご』(大日本絵画)は一ページずつ開くと桜の木に。出合いの4月におすすめ。同じシリーズで『おおきなおおきなきいろいひまわり』は開くとひまわりに。これらの作者である、フランセス・バリーさんはこういった仕掛け絵本をたくさん作っています。

また、昨年出合った中でも群を抜いて素晴らしいと思ったのが、『動物の見ている世界』(創元社)。仕掛絵本図鑑として出版。子どもたちは動物大好き。図鑑なので細かい文をそのまま読まず、要約しながらいろいろなページを読んでみんなで学びながら楽しみました。

『動物の見ている世界』(創元社)
『動物の見ている世界』(創元社)

タイプ3 「穴あき」

一番簡単な仕掛けであり、種類もたくさんあります。『フルーツケーキいただきます』(ポプラ社)はフルーツケーキができていく過程にワクワクします。縦開きなのも効果的。『ヨセフのだいじなコート』(フレーベル館)は穴を絶妙に使いながらのストーリー展開。これからの季節によいでしょう。英語で意味がわからなくても楽しいのが『Go Away, Big Green Monster ! 』(LBKids)。表紙から穴あきになっており、モンスターがこっちを見ています。

『フルーツケーキいただきます』(ポプラ社)
『フルーツケーキいただきます』(ポプラ社)

タイプ4 「感じる」

『まるまるまるのほん』(ポプラ社)は今までになかった絵本。本の中の丸を押したり、拍手したり・・・丸が自由に動くような仕掛けで子どもたちの心をつかみました。絵で表現された感じる絵本です。その後、よく似たタイプの絵本が出版され始めました。『おおかみだあ!』(ポプラ社)、『ふしぎなふしぎなまほうの木』(ひさかたチャイルド)など。派手な仕掛けを使わずとも、子どもたちの感性に任せるタイプの絵本です。

『まるまるまるのほん』(ポプラ社)
『まるまるまるのほん』(ポプラ社)

学べる仕掛け絵本も紹介しましたが、基本的に仕掛け絵本は料理に例えるとスパイスのようなものです。ちょこっと読んで、本の世界に子どもたちを誘うことができれば十分でしょう。

子どもたち同士で広げていく

執筆/千葉県公立小学校・藤木美智代

子どもたちの本の世界は子どもたち同士で広げることもできます。「あの子が読んでる本、面白そう」「へ~、そんな本もあるんだ」とお互いの読書生活を紹介し合います。いつも同じジャンルばかり読んでいる子や、どんな本を読もうか悩んでいる子には、大人が紹介するよりも、すんなりと、その世界へ入っていくのではないでしょうか。

ここでは、ビブリオバトルによる本の紹介の仕方と、教科書に出てくる物語のシリーズ本を並行読書させ、お気に入りの本を他のクラスに紹介するという、二つの実践を提案します。

ビブリオバトルで本を紹介

私の勤める小学校では、1週間に3冊ずつ本を借りられます。一年生は、みんなで一緒に借りに行き、みんなで一緒に返します。図書室に返しに行く前に、教室で簡単ビブリオバトルを行っています。まず、3冊の中から一番みんなに読んでもらいたいオススメの本を選ばせます。5分間ほど、紹介スピーチの練習をさせます。手立てとして、いくつかの型指導してます。

①「登場人物の○○は、~な性格です。~なことをします」
②「○○と○△△が出てきて、最初~をして、次に~をして、最後どうなったかは読んでのお楽しみです」
③表紙や挿絵をぱらぱらと見せ、お気に入りのページを少し読み聞かせする。

最初に「これから、私のオススメの本を紹介します」、最後に「面白いのでぜひ読んでみてください」という決まり文句をつけたすだけで、一年生でも、立派な紹介ができます

練習が終わったら、4人の班になり、一人1分ずつ区切って紹介スピーチをします。時間が余ったらフリートーク。最後に、机の上に4冊の本を置き、「いっせーの、せ」で自分本以外の読みたくなった本を指さします。それがチャンプ本です。同点一位が2冊、4冊あることもあります。それぞれの班のチャンプ本を全体の中で発表した後、図書室へ。もうその頃には、次に借りたい本を決めている子が多いのです。

教科書からの発展

教科書の教材として出てきた物語のシリーズ本を教室に持ち込みます。私は、『おてがみ』の作者アーノルド・ローベルの本を十種類ほど用意しました。

選んだ本ごとにチームを組み、登場人物、あらすじ(始め・中・終わり)、好きな場面をマップにまとめさせます。これは、ビブリオバトルの手立て①②③で練習していれば、すぐにできます。場面ごとに発表用パネルを描き、裏に発表原稿を貼り、紹介します。

アーノルド・ローベルの世界に浸りながら、好きな場面を見つけることで、読書に深まりが見られました。

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