小2国語「夏がいっぱい」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「夏がいっぱい」です。この単元では「言葉を集め、語彙の量を増やす」ことを目的に学習活動を展開します。知っている語句を大事にし、知らない語句に興味をもたせ、語彙を増やすことに意欲的になるような板書の工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子

 

教材名 「夏がいっぱい」(光村図書)

単元の計画(全2時間)

1 夏を感じる言葉を集め、お話をつくる。
2 書いたものを基に、紹介し合う。

板書の基本

〇2年生の学習内容に「身近なことを表す語彙の量を増やす」というのがあります。教材「夏がいっぱい」は、この学習内容であると理解して、語彙の量を増やすことを目的にしました。

〇2年生にとって、語句には新鮮な気持ちで出合わせることが大切であると考え、板書を有効に活用しようと、次の3つの段階を考えました。

第1段階:知っている語句を大事にし、語句が増えていくことに満足感をもたせる。その満足感を足場にして、知らない語句に興味をもたせる。

第2段階:語句を上手に使っている詩を音読し、季節感を体験する。詩「みんみん」(谷川俊太郎)を音読することによって、夏の雰囲気を感じ取れるように指導する。

第3段階:「夏だなあ」と感じるものをカードに書く。カードに書く活動の効果は、語彙として学んだことを増やし、「2年生で見つけたものじてん」づくりなどに広げることを考えている。

板書のコツ(1/2時間目前半)

小2国語「夏がいっぱい」京女式板書の技術  板書
1/2時間目前半の板書

板書のコツ①

教科書を閉じさせたままで、「夏がいっぱい」と板書をします。「いっぱい」に興味をもたせ、「めあて 夏の生きものをあつめる。」を板書します。

「生きもの」に興味をもっている子に発言させました。「ひまわり」「かぶと虫」などの発言を板書した後、「めあて」を音読させ、学習の内容を理解させました。

板書のコツ②

教科書の「夏がいっぱい」の言葉から、「知っている言葉」「はじめて知った言葉」に印を付けさせ、その言葉について発表させました。生活科で学習したことや図鑑で知ったことなどを話題にして、「しょくぶつ」として「花・やさい」、動物として「虫」を分類して板書しました。 

教科書に示された生きものの名前をノートに丁寧に書かせることにより、語彙の学習であることを意識させました。

板書のコツ(1/2時間目中盤)

小2国語「夏がいっぱい」京女式板書の技術  板書
1/2時間目中盤の板書

板書のコツ①

「つゆ草、すいか、えだまめ、とうもろこし」については、「花、やさい」という仲間に入れることに戸惑いを感じる子がいました。また、「つゆ草」を知らない子や「えだまめ」の挿し絵が理解できない子がいました。そのため「知らない言葉」の仲間として、黒板の右下に板書しました。

教科書に示されている生きものの名前の他にも、「ほうせんか、夕顔」や「あゆ、あり」などの名前が出てきました。それぞれの名前については、知らないという子もいましたが、名前を出すのみにしました。それは、「夏がいっぱい」の雰囲気を次の活動である詩「みんみん」の音読や「カードを書く」ことで体験させたいと考えていたからです。

板書のコツ② 

詩「みんみん」の音読をしました。黒板に模造紙を貼ったのは、「せみ」「みみ」「うみ」「なみ」と並ぶ言葉のおもしろさに気付かせたいと考えたからです。さらに、1連からは風景が想像できること、2連には仲よしの友達への心が表現されていることなどを想像してほしいと思いました。教科書を離れ、板書を通して音読しながら学級の一体感を育てたいという気持ちがありました。

板書のコツ(1/2時間目後半)

小2国語「夏がいっぱい」京女式板書の技術  板書
1/2時間目後半の板書

板書のコツ①

学習してきたことの整理の段階で、次の教科書の文を音読します。

どんなものを見たときに、夏だなあとかんじますか。夏をかんじるものを、カードに書きましょう。

音読の後、「この文には、今まで勉強したことでもっとしてほしいことが書いてあります」と働きかけました。すかさず「カードを書くこと」という発言がありました。「今の発言の意味が分かりますか」と全員に問いかけました。

発言をした子の気持ちを補足しながら、「カードを書くこと」の活動を教科書の「ほたる」「きゅうり」で確認しました。

板書のコツ② 

黒板左の「お話づくり」は、2人の子の発言を文にしたものです。このようなものをつくることが大事であるという見本として位置付けた板書です。この活動は、語彙のカードづくりの始まりとして位置付けています。

 

構成/浅原孝子

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